研究

理工学部物理学科教授 中村真らの論文がPhysical Review Letters誌に掲載されました。

2020年05月13日

今泉拓也さん(理工学研究科博士前期課程2019年修了)、松本匡貴さん(理工学研究科博士後期課程2020年修了)、理工学部物理学科教授 中村真による「ラージNcゲージ理論における電流駆動型三重臨界点」に関する論文が、アメリカ物理学会発行のPhysical Review Letters誌に掲載されました。

【掲載論文】Phys. Rev. Lett. 124, 191603 (2020)

【タイトル】Current Driven Tricritical Point in Large-Nc Gauge Theory

【著  者】Takuya Imaizumi, Masataka Matsumoto, and Shin Nakamura

【概  要】
物質の状態が不連続に変化する現象として相転移があります。例えば、温度の変化により水が沸騰して水蒸気に変化するのも相転移の一種です。相転移にはいくつかの種類があり、物質の密度、外から加える磁場など、物質が存在する条件を変えることで、その物質で生じる相転移の種類を変化させることができる場合があります。本研究では、あるプラズマ状の物質に電流を流すと相転移の種類が切り替わり、三重臨界点とよばれる特別な状態を実現できる場合があることを理論的に示しました。三重臨界点そのものは他の例でも知られていますが、電流を流すことで実現する例については未解明でした。電流が存在してジュール熱の発生を伴う状態は、非平衡状態とよばれる状態の一種であり、理論的な扱いが難しいことが知られています。本論文では、超弦理論と一般相対性理論を応用したゲージ・重力対応とよばれる手法を用いることで、電流の流れる非平衡状態での理論的解析が可能となりました。

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