理工学研究所

理工学部助教 早川健:参画している内閣府プログラムの研究成果(2014~2016年度)が公開されました

2017年07月12日

理工学部精密機械工学科助教 早川健が参画している内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の、2016年度までに開発した成果(超高速な流体制御技術を用いて、細胞を高速かつ高生存率で分取する世界最高レベルの細胞分取技術の開発に成功)が公開されました。

 

 名古屋大学 大学院工学研究科 新井 史人教授、佐久間 臣耶助教、早川 健 特任助教(現:中央大学理工学部助教)、笠井 宥佑 博士課程学生の研究チームは、超高速な流体制御技術を用いて、細胞を高速かつ高生存率で分取する世界最高性能の細胞分取技術の開発に成功しました。

近年、膨大な数の細胞の中から目的の細胞を高速に分取する技術(セルソーティング)は、細胞の特性解析に貢献するのみならず、細胞集団の中から優れた特性を持つ細胞を発見するための強力なツールとして注目されています。この技術により、血液中の循環腫瘍細胞を発見・解析して癌の早期診断を行う、多数のミドリムシの中から脂質を大量に含む個体を分取してバイオ燃料の品種改良に利用するなど、医療や産業への応用が期待されています。しかし、従来の細胞分取装置では、分取速度と細胞の生存率にトレードオフが存在し、大きな細胞を高速に分取する際の細胞の生存率の低下が問題でした。

本研究チームは、マイクロ流体チップを用いて、わずか16マイクロ秒で、超高速に流体を切り替えることで、大きな細胞を高速かつ高生存率で分取することに成功しました。藻類細胞としてミドリムシおよび動物細胞として胃がん細胞を対象とした分取実験では、成功率、純度、生存率のすべてにおいて、9割以上の世界最高レベルの分取性能を実現し、従来のトレードオフを打破する細胞分取技術の開発に成功しました。 

本研究成果は、平成29年7月7日付(日本時間午後6時)英国の科学雑誌「Lab on a Chip」オンライン版に掲載されました。

 

本研究開発プロジェクトは、2014~2016年度のPhase1(要素技術開発)を経て、2017年度よりPhase2で総合システム開発の段階に移っており、早川助教も引き続きプロジェクト研究に参画しています。

リンク:

名古屋大学プレスリリース「世界最高速の細胞分取マイクロ流体チップ」

科学技術振興機構(JST)プレスリリース(平成29年7月7日)「世界最高速の細胞分取マイクロ流体チップ」

内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「セレンディピティの計画的創出による新価値創造」