理工学研究所

穏和な条件での炭素・窒素三重結合の切断:理工学部准教授 山下 誠の研究成果を発表

2014年06月30日

理工学部准教授(応用化学科)山下 誠の研究成果についてプレスリリースを行いました。大学院理工学研究科博士前期課程2年・浅川 博祈、香港科学技術大学化学科大学院生・Lee, Ka-Ho、香港科学技術大学化学科・教授・Lin, Zhenyangらと共同で、ホウ素・ホウ素単結合を持つ化合物が、最強の化学結合の一つである炭素・窒素三重結合を穏和な条件で切断することを発見しました。

今回、炭素原子と窒素原子の間にこの強い三重結合を持つイソニトリルという有機化合物に対して、原子番号5番のホウ素原子(元素記号B)を二個含む分子を混ぜると、高い温度・強い酸・金属成分、のいずれも不要なままイソニトリル分子の炭素・窒素三重結合を切断する反応が起こり、分子2(図は詳細資料をご参照ください)ができることを明らかにしました。分子2にはもともとイソニトリル分子の三重結合を形作っていた炭素原子と窒素原子が含まれますが、これらの原子は分子2の構造の中で直接結合しておらず、離れた位置にある、すなわち三重結合が切断されたことがわかります。

本研究成果は、2014年5月オンライン公開されたNature Communicationsに掲載されました。