日本比較法研究所

2020年度 講演会・スタッフセミナー 概要

テーマ:環境保護のグローバル化におけるEUの役割:影響と抵抗の間

シンポジウム「グローバリゼーションへの抵抗」において、第3報告者として「環境保護のグローバル化におけるEUの役割:影響と抵抗の間」と題する報告を行った。グローバルな環境問題へのEUの対応を論じた。EUは、世界の環境保護へのとりくみにおいて主導的な役割を果たすとともに、国際規範遵守を求められたときには、一定の抵抗を示してきた。つまり、一方で野心的な義務を他国に受諾させようとし、他方で野心的義務を域内法にとりこむよう求められたときは、その規範的・制度的自律性を守るため、ときにその野心的義務の効果の無力化に努めてきた。このようなEUの二面性が、具体例を通じて明らかにされた。報告後、牛嶋教授がコメンテーターとしてコメントし、報告者との間で意見交換が行われた。
関連リンク 「中央大学・エクス=マルセイユ大学 交流40周年記念シンポジウム」 開催報告

 

テーマ:法の支配の世界化へ向けて:勝負はついたか?

シンポジウム「グローバリゼーションへの抵抗」の第5報告者として、「法の支配の世界化へ向けて:勝負はついたか?」と題して報告。グローバル化と法の支配との矛盾に満ちた関係を論じる。一方で法の支配がグローバル化し、アラブ世界も「アラブの春」により法の支配を一部受け容れた。他方、法の支配のグローバル化に国家主権や地域的差異主義に支えられた民族主義的反発が増大し、そこに世界中に広がるポピュリズムが加わった結果、法の支配の疲弊化・脆弱化が進行し、法の支配は今日重大な困難に直面している、という内容の報告は、法の支配とグローバリゼーションとのこのような二面性を説得的に示すものだった。報告後、亘理格教授がコメンテーターとしてコメントし、報告者との間で意見交換を行った。
関連リンク 「中央大学・エクス=マルセイユ大学 交流40周年記念シンポジウム」 開催報告