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2018年04月18日

公開研究会「秩序と同盟―アジア太平洋におけるアメリカ外交―」開催報告(社会科学研究所)

2018年1月26日(金)、中央大学多摩キャンパス2号館4階研究所会議室1にて、下記の公開研究会を開催しました。

【テーマ】 秩序と同盟―アジア太平洋におけるアメリカ外交―

【講 師】 玉置 敦彦 氏(東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員)

【日 時】 2018年1月26日(金)17:00~18:30

【場 所】 中央大学 多摩キャンパス2号館4階研究所会議室1

【主 催】 社会科学研究所 研究チーム「国際関係の理論と実際」

 

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【要 旨】

 同盟とは何かという問いから始めて、現代の日米同盟のような非対称同盟についての考察が行われた。まず同盟については、「共通の脅威に対抗する暫定的攻守協定」として説明され、戦後世界においてはソ連に対する「封じ込め」、抑止、力の均衡として作用し、それはアメリカによる支配と統制、アメリカによる国際公共財の提供を意味していたとされる。

 アメリカにとって同盟によってどのような政策目標を実現しようとしてきたのかという点に関しては、アメリカは、同盟国の多岐にわたる継続的協調、すなわち軍事力、外交、政治・経済システムの継続的協調、そして非対称同盟である主導国と提携国の保護と協力を実現しようとしてきた点が指摘された。

 同盟問題でのポイントとなっていたのは、「提携勢力」という概念である。アメリカは戦後経済的な支援などをベースとした間接支援を「提携勢力」としての東アジア諸国に行ってきたが、このことが同盟形成の基礎に置かれ、同盟の安定化をもたらした。しかし、フィリピン、韓国、日本という同盟国、いいかえればアメリカとの「提携勢力」の不安定化という事態が生じ、アメリカは「提携勢力」安定化の試みを行ったとした。こうして同盟と秩序の肯定的関係がもたらされたが、冷戦終結後、東欧諸国のNATOへの加盟、日米同盟のグローバル化、中露のリベラルな秩序への参加と存在感増大によって、秩序と同盟との乖離がもたらされたとされる。2000年代のアフガン戦争、イラク戦争、ロシアのクリミア侵攻、中国の南シナ海・尖閣への拡張はその代表的な事例である。またトランプ政権はリベラルな国際秩序構想の放棄につながっている点が説明された。

 最後に、秩序と同盟の将来については、同盟と法の支配、民主主義、自由貿易などのリベラルな秩序の維持ということの重要性が指摘された。(主催チーム記)