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2018年02月21日

公開講演会「Criteria for Professional Performance Evaluation of Teachers」開催報告(社会科学研究所)

2017年11月30日(木)、多摩キャンパス2号館4階研究所会議室2にて、下記の公開講演会を開催しました。

ナンシー・サンダーズ 教授

【日 時】2017年11月30日(木)15:00~17:00

【場 所】中央大学 多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室2

 

【テーマ】

Criteria for Professional Performance Evaluation of Teachers

教員の評価基準とは~SDG 4 Quality Education の実現に関連して~

 

【講 師】

 Professor Nancy M. Sanders

(California State Polytechnic University Pomona)

ナンシー・サンダーズ 教授

(カリフォルニア・ポリテクニック州大学ポモナ校)

 

【主   催】 社会科学研究所 担当教員:武石智香子 商学部教授

 

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【概 要】

 サンダーズ氏は、アメリカにおいて校長評価にかかわった経験がある。校長を評価するということは、教育のあるべき姿を定め、それを目標項目に落とし込むという作業をするということである。実質的な教育目標を達成するために、教師たちは恵まれないこどもたちに手を差し延べ、時間を割いて成長を促してきた。

 しかし近年のアメリカにおいては、教育現場に競争原理が持ち込まれ、学校ごとの目標達成が数値化される傾向がある。達成度の計測には、民間業者のテストが用いられることが多い。しかし、アメリカではどの業者のどのテストを用いるのかまったく不統一であり、しかも短いサイクルで変えるため、比較のためのテストであったはずが、そもそも比較が容易ではない。

 さらに問題なのは、テストスコアで教育成果を計測する方向で偏って行ったことである。サンダーズ氏は、テストを実施する民間業者がビジネスの論理を教育に持ち込むことの弊害、および国際機関が“経済成長的”視点から教育成果を計測して判定することが長期的に及ぼす社会への悪影響について、論議を繰り広げた。テストスコアを上げるためには、恵まれないこどもたちに時間を使うよりも、教育時間が容易に高い点数につながりやすい経済的・環境的に恵まれたこどもたちに投資する方が効率的である。教育に携わる人の評価はテストスコアによってなされて良いものなのか?

 氏の投げかけた問いは、ビジネスとは異なる教育分野における「価値」について、その根本を問う深遠なものであった。ビジネスの論理と教育の論理のボタンを掛け違えてしまった場合の、社会への大きなダメージについて深く考えさせられる講演であった。(担当教員 記)