社会科学研究所
公開研究会「科学的思考に対する社会科学的アプローチ」開催報告(社会科学研究所)
2016年12月20日
2016年11月9日(水)、多摩キャンパス研究所会議室4にて、下記の公開研究会を開催しました。
【テーマ】 科学的思考に対する社会科学的アプローチ
The social science approach to scientific thinking – advancements of teleological theorizing
【講 師】 マイケル・クーン(Prof. Michael Kuhn, 元ブレーメン大学教授)
解説:矢澤修次郎(一橋大学・成城大学名誉教授)
使用言語:英語
【日 時】 2016年11月9日(水)13:30~16:30
【場 所】 中央大学多摩キャンパス研究所会議室4
【主 催】 第27回中央大学学術シンポジウム「臨場・臨床の智チーム」
研究チーム「惑星社会の臨場・臨床の智」(社会科学研究所)
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【要 旨】
1.世界人文社会科学ネットワークの代表を務めているマイケル・クーン教授は、近著”How the social sciences thinking about the world's social - Outline of a critique"に基づき、下記の報告を行った。
A.globalizing social sciences それぞれの国の社会科学が存在している。国際会議でも各国からの報告がなされるのみだ。どの国の社会科学で育ったかで違ってくる。
B.どうしたら、国単位の社会科学をのりこえることが出来るか。
C.目的論的な考えについて。
D.知をどのように創造するか。知の構築。
E.社会科学をこえてオルタナティヴへ。社会科学のメタレベルの意味、社会の意味、社会を理論化するときのパターン、古典的な学問である哲学のときには存在しなかった分化が起こっている。政治・経済・社会といったaspectに分化している。この固有性を問題にしたい。
2.この報告を受けて、矢澤修次郎教授より、「国民国家の枠組みに捉えられた社会科学を批判し、グローバル時代に相応しいGlobal Social Thoughtを提唱すべきである。グローバル・ソーシアルとは何か、disciplinary thinkingの特徴とその問題点、とその問題点の議論を踏まえて、目的論の特徴、社会科学的認識様式、社会科学的理論化、自然科学のスティグマ、科学的知識の短命な知識への対抗を如何にするか」といった点についてのコメントと解説がなされた。
3.さらに、クーン教授の問題提起に対して、参加との質疑応答を行ない、「社会科学は私たち自身についての知だ。本日、話したマクロ経済学は市場とかかわるという点で重要な例だ。私たちの頭がどのように教育されてしまっているかを考える。身体的体験を大切にする。200年以上の理論化の歴史。社会は人間がつくったものだ。」等々の応答がなされた。この結果、あらためて、今日のグローバル社会が、その構造と動態、そこから生じる諸問題は必ずしも「明晰」「判明」ではなく、惑星規模のグローバル社会そのものをとらえるための社会科学の革新が必要とされていることが確認された。
(主催チーム 記)