経済研究所

【経済研】『ディスカッションペーパー』No.427 (中村俊紀準研究員『資産格差の厚生評価と資産移転課税の役割 ―アトキンソン指数に基づく再分配シミュレーション分析―』)を発行しました

2026年6月3日に発行された『ディスカッションペーパー』No.427を学術リポジトリで全文公開いたしました。

論文名:資産格差の厚生評価と資産移転課税の役割―アトキンソン指数に基づく再分配シミュレーション分析―

執筆者:中村 俊紀 準研究員(中央大学大学院経済学研究科博士後期課程

キーワード:資産格差、厚生評価、資産移転課税、アトキンソン指数、再分配

要 旨:

 本研究は、Atkinson(1970)のアトキンソン指数を用いて日本の資産格差が社会厚生にもたらす損失を定量化し、資産移転シミュレーションによって再分配の厚生改善効果を分析した。2019年全国家計構造調査の十分位別データを用いた推計の結果、標準ケース(ε=1.0)における等価純資産のA=0.780は、現在の格差が平均純資産の78.0%に相当する厚生損失をもたらすことを示した。再分配シミュレーションでは移転率の上昇に伴い限界的厚生改善が逓減し、移転率5〜30%の区間で改善額が59.0%低下した。さらに5資産の比較から、純資産概念に基づく資産では再分配の厚生改善効果が最も大きいことが確認された。これらの結果は、純資産を課税標準とする資産移転課税(富裕税を含む)の有効性と、移転率10〜15%を基準とする課税水準設定の重要性を実証的に示した。

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