経済研究所

【経済研】『ディスカッションペーパー』No.426 (篠原正博研究員『ニュージーランドの資産課税 −土地税、相続・贈与税および富裕税を巡る議論のサーベイ−』)を発行しました

2026年512に発行された『ディスカッションペーパー』No.426を学術リポジトリで全文公開いたしました。

論文名:ニュージーランドの資産課税−土地税、相続・贈与税および富裕税を巡る議論のサーベイ−

執筆者:篠原 正博研究員(中央大学経済学部)

キーワード:ニュージーランド、税制改革、資産課税

要 旨:

 本稿の目的は、ニュージーランドにおける資産課税をめぐる議論をサーベイし、それを踏まえて、同国の資産課税の方向性について若干のコメントを加えることである。

 経済格差のうち資産格差に焦点を当て、資産格差是正の観点から資産課税のあり方を考察するための一つのモデルケースとして、ニュージーランドの議論に注目する。現在ニュージーランドには、資産再分配に関連した資産課税は存在しない。経常純資産税(富裕税)を導入した経験は無く、相続・贈与税は廃止されている(相続税は1992年、贈与税は2010年)。また, 一時導入されていた土地税も現在は存在しない(1991年廃止)。さらに、キャピタル・ゲインに対する課税は限定的である。このような税制は他の先進国に例を見ない。富裕税および相続・贈与税のない国として、スウェーデンとオーストラリアも該当するが、キャピタル・ゲイン課税の状況がニュージーランドとは異なる。

 取り上げる論点は、ニュージーランドにおける(1)資産格差の状況、(2)資産再分配に関連する資産課税廃止の経緯、(3)資産課税のあり方を巡る議論の動向、(4)資産課税に対する国民の反応および政治的動向である。これらについてサーベイした後、租税体系、経済・社会環境、政治的判断の視点から、今後の資産課税の方向性について考察する。

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