経済研究所
【経済研】『ディスカッションペーパー』No.420 (小口好昭客員研究員『2008SNAにおける「破壊的兵器システムの資本化」に関する批判的検討』)を発行しました
2026年02月24日
2026年2月13日に発行された『ディスカッションペーパー』No.420を学術リポジトリで全文公開いたしました。
論文名:2008SNAにおける「破壊的兵器システムの資本化」に関する批判的検討
執筆者:小口 好昭客員研究員(中央大学名誉教授)
キーワード:SNA 、軍事支出、破壊的兵器システム、自律型致死兵器システム (LAWS)、
民間軍事会社 (PMC)、国連憲章、軍縮アジェンダ
要 旨:ミサイル、ロケット、戦車、軍艦や潜水艦等の破壊兵器システムは、戦争を抑止するサービスを生産する経済的生産過程に投入される経済財であり、民間の生産設備と何ら変わるものではない。したがって、それらを政府による総固定資本形成として扱うべきである。これは、国際連合を中心とした5つの国際機関が世界各国に作成を勧告している現行の2008年版SNAにおける、軍事支出と兵器システムに関する基準である。わが国もこの勧告に従っている。この基準は、破壊的兵器システムは生産ではなく破壊に使用されるものであり固定資本ではないとした1993SNA基準から改定されたものである。この2008SNA基準は、安全保障のジレンマを激化させ軍備拡張を正当化する結果を招き、軍縮を基本理念とする国連憲章に反する基準である。この基準を勧告することは、国連が軍縮と軍拡という矛盾する立場を同時に表明していることになる。わずか15年の間になぜこのような正反対の基準改正がおこなわれたのであろうか。本稿は、軍拡を奨励するような 2008SNA基準が勧告されるに至った経緯と論拠をできるだけ詳細に分析し、この勧告が内包する問題点を明らかにする。さらに国連事務総長が2018年に公表した「軍縮アジェンダ」と対比して国連の矛盾を指摘し、2008SNA基準の再改定と、SNA教育の充実を提案する。