経済研究所

2019年3月23日開催  研究会開催報告 (国際経済研究部会)

2019年03月23日

 2019年3月23日(土) 研究会を開催しました。

【テーマ】「中東の国際秩序と安全保障」

【報告者】池内 恵 氏(東京大学先端科学技術研究センター)

【日   時】2019年3月23日(土)15:00~17:00

【場   所】後楽園キャンパス6413号室

【要   旨】

 

中東地域の政治情勢について、次のような報告があった。

ひとつは、中東情勢は2011年頃のアラブの春を契機に大きく変化をした。それまで、アラブ社会は隣の人が何をやっている人かもわからないような「恐怖の壁」があったが、それが崩壊した。そして、「軍部かイスラーム主義か」という二項対立、イラン、トルコ、イスラエル、サウジアラビアといった地域大国・強国間の利害調整が鮮明になってきたという。

もう一つは、中東地域は米・露の代理戦争、あるいはイランのシーア派とサウジのスンニ派という宗派対立という対立軸で論じられることが多いが、これは作られた対立軸である。実際の対立軸はいくつかある。一つはイスラエル対イラン、あるいはアラブ諸国であるが、今日ではイスラエルが技術力を背景に優位を占め、必ずしも敵対化していない。さらには、トルコが経済開発・発展によって台頭し、オスマン化、地域覇権を得つつあり、中東ではクルド問題などに関心を示していること、サウジアラビアの大国化には限界があることなど、興味深い見解が報告された。