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2018年09月01日

2018年9月1日開催  研究会開催報告 (国際経済研究部会)

 2018年9月1日(土) 研究会を開催しました。

【テーマ】国際金融の現場から――JBICAIG、ソニー、住友銀行の経験

【報告者】近藤 章 氏(株式会社国際協力銀行前代表取締役総裁)

【日   時】2018年9月1日(土)15:00~17:00

【場   所】後楽園キャンパス6409号室

【要   旨】

 

まず初めに、国際金融とそのシステムは表裏一体の関係にあるが、日本のIT環境は劣悪であるとの指摘があった。実際に、ムーアの法則に照らすと、他の国々に比べて4~5周回遅れの状態にあり、極めて生産性が低い。特に、日本ではペーパーレス化が進んでいないこと、キャッシュレス化が遅れていることが問題がという。

 そのうえで、2年間総裁を務めたJBICについては、主要な顧客はTOPIXのコア30に入るような大企業が中心であるが、その生産性は低く、国際競争力も強くない。その最大の原因は工場現場ではなく、本社部門の大きさと生産性の低さにあるという。総裁時代には、中小企業への融資案件を拡大させたが、まだ十分とは言えないとのことであった。

 AIGについては、ユダヤ系の企業として急成長してきたが、リーマンショックによって蹉跌をきたし、アメリカ政府の救済を仰ぐこととなった。その急成長も破綻もワンマン経営者にあったという。特に、破綻は経営者がデリバティブを理解せずに取り組んだことにあるとのことであった。

また、ソニーについては、90年代の成功体験が仇になっていること、ムーアの法則を読み違い、デジタル化への取り組みに遅れたことがつまずきとなったが、再浮上する技術力を持っているとの指摘があった。

 長年のアメリカ駐在経験を踏まえた、今のトランプ政権の政策は決して「トランプ・バイアス」ではなく、今後の世界の潮流になるかもしれないという発言は、前回の本研究会での経済産業省の浦上米州課長の報告とは対照的であり、興味深かった。