Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所公開研究会開催のお知らせ(「多言語話者の言語知識」チーム)

日程
2026年5月16日(土) 13:20~14:50
場所
2号館4階研究所会議室1及びオンライン会議システム(Zoom)によるハイブリッド形式
日程
2026年5月16日(土) 13:20~14:50
場所
2号館4階研究所会議室1及びオンライン会議システム(Zoom)によるハイブリッド形式
内容

報告者1     大滝 宏一 氏(中京大学准教授)
                 (田崎佑・児玉美緒・青山怜愛・阿部樹那との共同研究) 

テーマ1     日本語における格助詞脱落の制約に関する心理言語学的考察 

要     旨1    日本語では、動詞の補部に位置する目的語の格助詞は主語の格助詞に比べて脱落しやすいが、目的語がかき混ぜによって文頭に移動すると格助詞脱落が許されなくなるという制約が存在し、この制約に関してこれまで様々な文法的説明がなされてきた(Kuno, 1973; Saito, 1983; Takezawa, 1987; Fujiwara, 2025)。しかし、「格助詞脱落」と「かき混ぜ」は各々単独で文の容認性を下げる要因であり、もしかき混ぜ文における格助詞脱落の悪さが単に「格助詞脱落」と「かき混ぜ」の悪さを足した効果(加算効果)であるとしたら、文法的な説明は不要となる。本研究では、以下の3種類の容認性判断課題を日本語母語話者を対象に行うことによって、心理言語学的観点から格助詞脱落の制約について検討する。実験1では、語順(「-が-を」vs.「-を-が」)と格助詞脱落([–を] vs. [+を])を要因とする2x2の要因計画を採用した容認性判断課題を行い、従来理論研究で報告されてきた格助詞脱落の制約が加算効果によるものなのか、それとも文法的説明を要するものなのか(その際は、二要因間に交互作用(超加算効果)が観察されることを予測する)を検証する。実験2では、二重補部非対格動詞文(例: この部屋に太郎がいる。)と呼ばれる文に関して、語順(「-に-が」vs.「-が-に」)と格助詞脱落([–に] vs. [+に])を要因とする2x2の容認性判断課題を行うことによって、着点項と対象項の構造的位置と基底語順に関して考察する。実験3では、目的語が疑問詞の文(例: 先生が何を言ったの?)に関して、実験1と同様の容認性判断課題を行うことによって、日本語にも英語型のwh疑問文が存在するかを検討する。


報告者2     若林 茂則 研究員(中央大学文学部教授)

テーマ2     第二言語話者の自己ペース読解速度データの謎と解明:機能範疇列挙の任意性に基づく提案

要    旨2     英語を第二言語として使用する者にとって、3単現の-sや過去形の-edの動詞形態素を一貫して母語話者のように使用することが非常に困難であるという点はよく知られており、その原因について多くの研究がなされてきた。3単現の-sに関する自己ペース読解速度測定による研究では、三人称単数主語と一致すべき動詞が正しく屈折している場合のほうが、屈折がない動詞原形が使用されている場合よりも、動詞の読解速度が遅くなるという実験結果が複数の研究で報告されている(Wakabayashi, 1997; 山田 2023ほか)。この結果は、母語話者のデータが示す「非文法文のほうが文法文よりも読解時間が長くなる」という現象とは逆の現象である。一方、Yamazaki et al.(2024)は、過去時制の文において、例えばYesterdayのような過去を表す副詞が現れた後では、正しく過去屈折されている動詞のほうが、屈折がない動詞原形が使用されている場合よりも読解時間が長くなることを報告している。これも母語話者とは逆の結果となっている。これらの二つの現象に共通する「文法適格形式のほうが非文法的形式より読解時間が長い」というデータに関して、本研究ではWakabayashi(2009)が提案する「列挙の任意性(Optionality in Numeration)」の観点から統一的な説明を試みるとともに、「文法適格形式のほうが非文法的形式より読解時間が短い」英語母語話者のふるまいとの違いから、母語話者と第二言語学習者の文法の違いおよび第二言語学習者の文法にかかわる一般的な原理を提案する。


【参加方法】
参加を希望される方は、以下のフォームからお申込みください。
申込フォーム

【申込締切日】2026年5月14日(木)17:00
※ご入力いただいた個人情報は、研究会以外の目的では使用いたしません。

 

【注意事項】

・参加には アプリのダウンロードが必要になります。

・レクチャー中の録音・録画はお控えください。

・オンライン会議のお問合せは当研究チーム責任者までお願いします。
 事務室では対応いたしかねますのでご了承ください。

・構内でのマスクの着用については個人の判断に委ねることが基本となりますが、3密を回避できない場合はマスクの着用を推奨します。

・手洗い手指消毒などの基本的な感染防止対策にご協力ください。 

参加費

無料

企画実施名義

主催:人文研チーム「多言語話者の言語知識」チーム(責任者:若林 茂則 研究員)