応用化学科・専攻

理工学研究科修士2年 渡部栞さんらの論文が ACS Omega 誌の表紙を飾りました

2023年04月26日

理工学研究科修士2年 渡部栞さんらの論文が ACS Omega 誌の表紙を飾りました

 物質の創成において、理論に裏打ちされた狙い撃ち機能設計が求められています。この度、理工学研究科応用化学専攻の渡部栞さん(修士2年)らは、安価な CO2 物理吸収液として期待される水素結合性混合溶媒(深共融溶媒;DES)について、高精度量子化学計算に基づく分子間相互作用解析と統計熱力学計算を実施することで、1,533,528 種類の候補から、イオン性をもつ化合物(塩化コリン等)を僅かに溶解させた DES(96 種類)が、CO2 分離吸収能力に優れていることを見出しました。計算の結果は、既報の実験データを矛盾なく説明しました。また、当該計算結果の更なる解析からは、イオン性化合物が水素結合ドナーとなる場合、ガス吸収液の機能が一般に低下する湿潤条件下でも優れた吸収能を発揮できることも予測され、地球温暖化解決への貢献が期待されます。

 本成果のイメージは、アメリカ化学会の ACS Omega 誌の表紙として紹介されています。表紙には、地球温暖化問題に苛まれるシロクマが、今回発見された DES の実装を切望している様子が表現されています。

<タイトル>

COSMO-RS Exploration of Highly CO2-Selective Hydrogen-Bonded Binary Liquid Absorbents under Humid Conditions: Role of Trace Ionic Species

<著  者>

渡部 栞(中央大学),黒木 菜保子*(中央大学・JST ACT-X),森 寛敏*(中央大学)

<発表雑誌>

ACS Omega, 8(16), 14478–14483 (2023)
(オープンアクセス;どなたでも無料で閲覧頂けます)
selected as Cover

理論化学研究室(森 寛敏 教授グループ)

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