生命科学科・専攻

学科詳細

研究室のテーマ

細胞生理学・マイクロバイオメカニクス/微生物生態学/植物系統進化/形態形成・組織構築/細胞生物学/分子細胞遺伝学/バイオインフォマティクス

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学びの目標

DNAの発見から半世紀以上、研究者たちが遺伝情報(DNA塩基配列)をもとにして生命の謎を解き明かす夢を追い続けた結果、さまざまな生命現象を分子のレベルで説明できるようになりました。ヒトの全ゲノム解析に象徴される網羅的アプローチによる生命科学の目覚しい進展から、生命科学に対する社会的期待はますます高まっています。すなわち、生命現象を、ゲノム情報をもとに物質情報レベルで解明する分子生物学的手法が、健康と医療の分野を始めとして、多くの人類の課題を解決してくれると考えられています。一方、地球環境問題等では、そのような微視的なアプローチのみでの解決は困難で、伝統的な科学分野と新たに創造された科学分野との融合の必要性が次第に認識されてきました。すなわち、従来の分子生物学的アプローチを乗り越える新たな発想が必要な時代に入ってきています。この時代の趨勢を見据えつつ、生命科学科では、分子生物学的すなわち微視的研究と、生態学や進化学、すなわち巨視的研究との融合を目指した教育と研究を展開します。生命科学科では、生物およびそれをとりまく環境(生態系)を生命システムとして総合的に理解するための基礎知識を持たせる教育を展開します。今日の生物界は、それぞれの生物を構成する物質の相互作用とその時間的空間的変化として記述できますが、それは、階層性・多様性が内在する複雑な系であると同時に、進化という歴史的産物でもあります。このような事実を理解させることを目指した理学的生命科学教育こそ、高度専門職業人および幅広い職業人を併せて養成するための最適な手段であると考えます。

研究者の育成

地球環境との共存に根ざした持続的発展が、人類の将来を方向付ける基本命題となった今、我が国は、生命科学を、特に振興・発展させるべき分野の一つと特定し、人類が直面する、エネルギー・環境・食料・人口・高齢化社会での健康と医療・生物多様性保全と自然再生などの問題の解決に貢献できる人材の育成に本腰をいれています。すなわち、バイオ産業、環境関連産業、医薬産業などにおいて、生命科学の新たな知識と技術に対する期待が増大しているだけでなく、広範囲の産業分野において、生命科学に基づいた技術が、従来型の技術に置き換わろうとしています。しかし、残念なことに、生命科学の新技術の大半が欧米由来であり、日本のバイオテクノロジーの空洞化が起こっています。その原因の一つとして、目先の研究に追われる科学者が日本に多くなってきたことがあげられます。今日の日本では、博士の学位を持つ研究者はかなり増加してはおりますが、独創的なプロジェクトを立案し、創造的科学を推進できる人材が不足しています。自分の研究テーマの意味を十分に吟味せず、目先の技術に注意が集中してしまうような専門技術者教育は望ましくありません。生命科学科では、21世紀の高度専門職業人の教育に先鞭をつける幅広い履修モデルを作り、独創力に富んだ人材作りを目指します。

教養ある社会人の育成

科学技術の進歩とは裏腹に、人間の心、そして地球環境の破壊が進んでいます。この破壊を止めるべく、様々な施策が、国および国際協調のもとに実施されています。しかし、多くの施策は、現象に対する対処的処理であり、根本的解決になっていません。生命科学科の学生達は、「生命とは何か」について、また、「生命を取り巻く環境」について、様々な角度から学習します。これを通じて、生命の尊厳や地球環境保全の重要性を、科学的事実に立脚して理解してもらえるものと考えます。さらに、この知識を醸成し自らの行動規範へと発展させていくことを期待しています。このような教育を実践することにより、道徳心に富み、かつ、人類が直面する、地球・社会・個人レベルの諸問題を生命科学の観点から正確に把握できるのみならず、その対処案を提案できるような幅広い職業人を養成していきます。