理工学部生命科学科

1.生命科学科における教育上の目的

理工学部の教育研究上の目的に加えて、以下に挙げるような基礎知識を有し、高い専門性を持った課題解決法と実験技術を習得した教養人、技術者、および研究者を養成することを本学科における教育上の目的とします。

  • 生命現象の基礎的な原理や原則を理解していること
  • 生物を生命システムとして総合的に理解できる資質を有すること
  • 多様な生物界・地球環境の現状と将来を、科学的根拠を持って洞察できること
  • 人類が直面する地球レベルの諸問題への対策を提案できる教養人であること
  • 生命の理解に立脚した高い社会倫理とコミュニケーション能力とを兼ね備えること
  • 生物機能の産業利用に関わる深い知識を有し、最新バイオ技術に習熟していること
  • 創造性、独創性、先見性を高めるための努力を惜しまず、持てる知力を社会の様々な場面で有効かつ有意義に活用できること

2.生命科学科における卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)

  1. (1)生命科学科において養成する人材像
    地球環境との共存に根ざした科学技術の持続的発展が、人類の将来を方向付ける基本命題の1つとなっています。我が国は、知識基盤社会形成を前提とした科学技術立国と国際貢献を国家目標の一つとして定めており、生命科学(ライフサイエンス)を特に振興すべき分野の一つとしています(文部科学省平成18年版 文部科学白書)。この白書にも強調されている点は、生物多様性の減失や環境汚染、温暖化と環境変動、化石燃料の枯渇や人口急増による食糧問題、さらには、新たな疾病の脅威、健康や子育て、食品安全など、今日の世界が抱えるさまざまな問題は、いずれも、何らかの形で生命科学と関連している事実です。「ポストゲノム時代」に入った生命科学の研究は、まさに、これらの広汎な問題解決への貢献が期待され、この分野から、これまでになかった技術や産業が生み出されることと考えられます。
    このような社会的な要請に応えるべく、博物学を含めた基礎生物学の知識から遺伝子工学・先端医療などの最新技術まで網羅した幅広い教育を行い、国際的にも評価される研究活動を展開し、高度専門職業人を養成し、人類が直面している諸問題の解決に生命科学の観点から貢献できる有能な卒業生を輩出します。
  2. (2)生命科学科を卒業するために身に付けるべき資質・能力
    理工学部を卒業するために身に付けるべき資質・能力に加え、専門知識を有し、柔軟な発想で生命現象を深く探求し、その成果を新たな発見や提言へ結びつけ、社会教育にも貢献すると共に、環境と安全に考慮しつつ、食糧・燃料の生産、医薬等の開発、生態系管理・自然再生へと展開できる資質と能力として、卒業生に以下の専門性を獲得していることを期待します。
    1. a.遺伝子から機能性タンパク質までのセントラルドグマが生命現象の基となっています。その生命現象の原理を正しく理解し、応用生命科学、遺伝子工学に関わる幅広い分野での提言、応用展開ができること。
    2. b.すべての生命は、40億年もの試行錯誤による永い進化史の上に成立したものです。これが、共通性と多様性という生命現象の独特の特性を支配している点、また、生命現象を応用する上での長所と制約にもなっている点を、正しく理解できていること。
    3. c.大きな自然の攪乱の歴史はあったとしても、現在の地球環境は生命によって作り上げられて来たのは事実です。現在、人類が直面している環境問題も広い意味で、人類の生命活動の結果である点を正しく理解し、これからも地球規模で起こると危惧される多様性の変貌、環境汚染、エネルギー問題に対して正しい判断と提言ができること。
    4. d.医療技術の中で、ゲノム分析、遺伝子診断、幹細胞創出、さらに遺伝子改変や遺伝子編集の技術が、重要な位置を占めつつあります。その原理を正しく理解し、斬新な提案ができ、さらに予測される問題点を指摘できる基礎能力を有すること。
    5. e.世界的な科学進展の競争により、生命科学分野のもっとも重要で新しい情報は常に英語で世界中に発信されています。グローバルな国際人として英語を用いた表現や会話の基礎能力を有するばかりではなく、専門性の高い論文や報告を読み、理解し、国内外へと再発信できる能力を有すること。
    6. f.数学、物理、化学、地球科学、情報工学,社会科学,経済学,法学など、現在の生命科学と接点を持たない科学分野は存在しません。他分野との接点を把握し、それぞれの専門性、および、生命科学への応用的な側面が多々ある点を正しく理解でき、専門的な立場から、共通課題の提案や問題解決に貢献できること。

3.生命科学科における教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)

本学科は、その教育上の目的に基づき高度な専門能力と創造性、豊かな教養を兼ね備えた人材を育成するため、卒業の認定に関する方針に従って、以下のようにカリキュラム(教育課程)を編成し、これを実施します。

  1. a.遺伝子から機能性タンパク質までのセントラルドグマが生命現象の基となっている点を理解するために、「基礎分子生物学」・「分子遺伝学」・「分子細胞生物学」の専門教育と、基礎実験技術を習得するための「遺伝子工学実験」・「遺伝情報学実験」・「代謝生物学実験」の実験科目を設置します。
  2. b.すべての生命が、永い進化史の上に成立したもので、これが、共通性と多様性という生命現象の独特の特性を支配している点を、正しく理解するために、「基礎生物学」・「植物分子生理学」・「進化多様性生物学」・「進化学」・「分子発生学」、および、実験科目として、「自然史野外実習」を設置します。
  3. c.人類が直面している環境問題やこれからも地球規模で起こると危惧される生物多様性・環境汚染・エネルギー問題に対して正しい理解ができるように、「環境応用微生物学」・「地球環境・生態学」・「環境工学」・「生産応用微生物学」・「生物環境情報学」・「生物資源経済学」、および、実験科目として、「環境生物学実験」・「生理・生化学実験」を設置します。
  4. d.医療技術への応用展開を目指して、その原理を理解するために、「基礎生化学」・「生体物質機能学」・「代謝生物学」・「応用生物学」・「エイジング生物学」・「ヒトと病気の生物学」・「ヒューマンバイオロジー」・「脳・神経科学」・「免疫学」を設置します。
  5. e.グローバルな国際人として英語を用いた表現や会話の基礎能力を有し、また、専門性の高い論文や報告を読み、国内へと再発信できる能力を得るために、生命科学系の英文に早くから接することのできる科目、「生命科学英語初級」・「生命科学英語中級」・「生命科学英語上級1,2」を設置します。
  6. f.他分野との接点を把握し、それぞれの専門性、および、生命科学への応用的な側面が多々ある点を正しく理解できるように、「バイオインフォマティクス」,「タンパク質デザイン」,「生体エネルギー論」,「動物分子生理学」,「バイオテクノロジー概論」、および、実験科目として「動物生理学実験」を設置します。
  7. g.身につけた生命科学の基礎知識と技術を応用して、実際の生物試料を使った新しい研究テーマに挑戦し、その成果から学問的価値を見いだし、展開させる能力を育成するために、「卒業研究」を必修科目として設置し、指導教員と大学院生によるきめ細かな個別指導を行います。