情報工学科・専攻

2022年度情報工学科卒業式・情報工学専攻修了式を挙行

2023年03月27日

卒業証書授与の様子

3月24日金曜日、桜が満開に咲き誇るなか、理工学部情報工学科の卒業式および情報工学専攻の修了式を執り行いました。

卒業生・修了生の晴れやかな笑顔が印象的な式典でした。

この学科・専攻で学んだいくつものことを生かし、それぞれの道を、力強く歩んでいってくれることと思います。

皆さま、ご卒業・ご修了おめでとうございます。

式辞

 情報工学科卒業生106名、及び、情報工学専攻修了生22名のみなさん、本日は卒業・修了おめでとうございます。また、苦楽を共にされたご家族・保証人の方々にも心よりお慶び申し上げます。法律上は大学入学以前に成人となる時代になりましたが、卒業式・学位記授与式は人生のさらなる一歩を踏み出す日です。本人だけでなくご家族・保証人の方々も期待と不安が相半ばする想いかと拝察いたしますが、引き続き人生の先輩として見守っていただければと存じます。


 さて、1992年の設立から4月で31年、研究室・演習室がある3号館竣工からちょうど20年を迎える情報工学科にとって、本日は、情報工学科にとって28回目の、情報工学専攻にとって26回目の卒業生・修了生を送り出す日です。皆さんにとっては人生の大きな節目であると同時に、送り出す教職員にとっても忘れがたい日です。今年は幸いなことに、ご家族・保証人の方々のお立ち会いの下、卒業生・修了生の顔を直接見て、卒業証書・学位記を直接手渡せることになりました。承知の通り、2020年3月に始まった本学を含む教育機関の一斉休校から、様々な行動制限が皆さんにも大きな影響を与えました。それを経て迎えた今日という日を心から楽しんでください。そして、この3年間、まじまじと見ることがなかったであろう友人の顔を脳裏に是非刻んでください。


 3年前の今日、私は今日と同じく学科・専攻主任として皆さんの3学年先輩に式辞を送る予定でした。しかし、東日本大震災直後の2011年でも実施した学科・専攻による卒業生・修了生への授与が中止となったため、式辞を直接伝えることはできませんでした。その際に用意した式辞には、SF作家であった故 小松左京氏による小説「復活の日」を引き合いに出して、当時の混乱した状況下において情報工学を修めた人がより良い社会の実現に向けて志してほしいことを述べていました。


 それから3年が経過し、災厄の日々と称しても不自然ではなかった状況は峠を越しつつあります。しかし、いつ何時新たな脅威が発生するとも限りません。疫病以外でも、気候変動が引き続き懸念すべき状況をもたらしていることに加えて、政治対立や戦乱等、「想定していなかった」ことが次々と起きています。もちろん、悪いことばかりではなく、オリンピック・パラリンピック、直近ではワールド・ベースボール・クラシックなど、「筋書きのないドラマ」に我々は強い感動を覚えました。


 「想定外」という言葉は何か大きなことがある度に、言い訳、免責のためによく使われます。しかし、未来がどうなるかを100%の精度で予想することは誰にもできません。ましてや、アナログな現実をディジタルに近似して計算する現在の情報処理ではモデリング時の誤差は不可避であり、続いて行う数値計算の精度や計算時間に制限があることからも、我々が入手できる答と称するものは現実から何らかの乖離があることは、情報工学を修めた皆さんであれば十分理解していると思います。したがって、良くも悪くも「想定外」は日常茶飯事です。ですから、我々にとって好ましくない想定外な出来事が起きたとしても、決して想定外であることを言い訳にしてはならないと私は考えます。


 皆さんは高等教育機関で情報工学を修めたプロフェッショナルとして社会に踏み出し、修めた情報工学を道具としてこれから社会で活躍することが強く期待されています。特に、自分だけでなく周囲を豊かにしたい・持続的に発展させたいと大きな夢と希望を強くもち、その実現に向けて知識と能力を発揮してほしいと願います。その際、取り組む対象をできるだけ幅広く、かつ、深くすることで、想定に収まる範囲をできるだけ広げてください。そして、どんなに広くしてもその外側に何かがあることを忘れず、良くも悪くもその外側が目の前に現れた場合には、それまでに得た知識とそれを活用する能力や経験、情報機器を活用し、かつ、同僚・友人・知人と協力することで、より良い結果、より新しい価値を求めてください。もし、想定できる範囲内だけを計算し、結果を出すだけであれば、情報工学が生み出したAI等のテクノロジーで十分であり、そこにプロフェッショナルである皆さんが携わる余地は今後減っていくでしょう。想像できない「想定外」を敢えて想像し、それに備えることこそが、人にできることであり、人がなすべきことであろうと思います。加えて、先に述べた話にもある通り、人は想定外なことが起こるからこそ喜怒哀楽の感情を表し、行動を変化させます。皆さんの前途に現れるであろう想定外なことが皆さんの心を躍らせ、人生を豊かにしてくれることを願っています。


 想定外なことが確実に起こるであろう皆さんの進む道は、その意味で平坦ではありえません。しかし、悪路であろうとも、前方に高い山々や深い谷が現れたとしても、皆さんであれば何かができるはずです。自ら道を切り開くという信念をもって進み、続く人への導(しるべ)となられますよう、心より期待し、情報工学科・情報工学専攻教職員を代表して式辞といたします。


 卒業・修了を心より祝し、皆さんの前途に実り多きことを願います。卒業・修了誠におめでとうございます。

2023年3月24日

情報工学科・情報工学専攻 主任 牧野光則

答辞

 日差しが日に日に温かさを増し、本格的な芽吹きの季節となりました。本日は私たち卒業生・修了生のために、このような式典を挙げていただき、まことにありがとうございます。

 振り返ると、大学での時間は瞬く間に過ぎて行きました。私たちが在学中、新たな感染症により、大学生活は大きく変容しました。仲間と顔を合わせて学ぶ機会が少なくなったことは残念でなりません。その一方で、それまで当たり前のように過ごしてきた日常が、決して当たり前ではないことを痛感し、人との繋がりの大切さを、改めて実感しました。だれも先が予想できない状況のなか、オンラインでのご指導など、迅速に学びの場を設けてくださった大学の方々への感謝は尽きません。

 学生生活最後の年に取り組んだ研究活動は、集大成ということもあり、一筋縄ではいかないものでした。自ら課題を見つけ、それを解決するための方法を考えていくという、これまでより、さらに高度な学び。それを1年間という長い期間をとおして、やりきるということ。これは、共に研究に励む友人なしでは、成しえない事でした。

 画像・映像コンテンツ演習では、チームを組み、プロジェクトを考案し、決まった期限の中で完成させる経験を積み、チーム開発力を培いました。その内容を評価していただき、最終的にはCG-ARTS賞を受賞することができました。

 チーム力は、同期や先輩方と共に医療プロジェクトの研究を推し進める上でも、非常に役に立ちました。国家公務員共済組合連合会の直営病院、国立高度専門医療研究センターの病院、県の災害拠点病院、国立大学の附属病院との共同研究において、自身のエンジニアとしてのキャリアが中心的な役割を果たしていくことを考えると、胸が高鳴ります。

 大学に入学してから、課外活動として、競技プログラミングを始めました。目標の1つは、ICPCと呼ばれる国際大学対抗プログラミングコンテストで良い成果を残すことでした。過去問を研究することはもちろん、競技プログラミングのコンペであるAtCoderに毎週参加することで、実力の向上を目指しました。その結果、二年連続でアジア大会に出場することができました。ICPCはチームでの参加です。先輩や同期と参加することにより、ここでも仲間とのコミュニケーションの重要性を学び、共にモチベーションを高めあうことの大切さを知りました。

 いずれも、努力によって何かを達成するという経験は、私に自信を与えてくれました。また、学業や課外活動で出会った多くの人々と交流することにより、視野が広がったと感じています。勉強して得た「知識」だけではなく、大学生活でのすべての経験が、今の私を形作り、将来の糧になると、今では確信しています。

 現在の社会は大きな変革期にあります。私たちが想像もしなかったような未来が待ち受けているでしょう。個々の力だけでは解決できない課題に直面することもあるかもしれません。そういった場面でも、この中央大学で培った経験を活かし、仲間たちと協力することにより、社会に貢献できるよう、邁進していきたいと思います。

 本日まで、ご指導・ご支援下さいました先生方、職員の皆様、共に学生生活を過ごした友人たち、そして、一番近くで支えてくれた家族に、心より感謝申し上げます。中央大学がこれからも素晴らしい発展を遂げていくことを祈念して、答辞と致します。

2023年3月24日

情報工学科卒業生・情報工学科修了生 代表 今枝俊輔