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2020年12月01日

CBSからのメッセージ No.2 -CBSのコミュニティが目指す With コロナの新たな学び:CBS 型ハイブリッド講義-

--- 目 次 ---
1. はじめに
2. ハイブリッド講義とは?
3. CBS型のハイブリッド講義とは?
4. ハイブリッド講義を生み出すコミュニティ力
5. 実際の講義運営:ブレンド型講義
6. おわりに
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1.はじめに


新型コロナウイルスの感染拡大の懸念は、私たちの生活を大きく変えてしまいました。仕事、娯楽、日常の買物といった毎日の生活のあり様は、以前のそれを思い出すのも難しいくらいに変化を遂げてしまっています。ビジネススクールにおける学びも、その例外ではありません。コロナ禍は、学びのあり方を、以前のものとは完全に変えてしまいました。

私たちCBS(中央大学ビジネススクール)は、この状況下であっても、ユニバーシティ・メッセージである 「行動する知性 (knowledge into action)」を合言葉に、研究と教育を続けてきています。2020年7月までの私たちの取り組みについては、すでに「CBSからのメッセージ ―今、この時だからこそ、チェンジ・リーダーを目指すCBSのコミュニティへ―」としてリリースをしています。ご関心あるかたは、ぜひご一読ください。

CBSからのメッセージ ―今、この時だからこそ、チェンジ・リーダーを目指すCBSのコミュニティへ―

コロナ禍が強制的に生み出した新しい学びのあり方は、一時的なものになることはなさそうです。感染の懸念があるなかでは、以前のような講義のスタイルに戻ることはできません。

このような状況は、ビジネススクールの特徴を理解したいと思われるみなさんにとっては、困った状況なのかもしれません。これまでの常識や「あの学校に通った人は、・・・だと言っていた」などの、過去の経験のクチコミなどが、通用しないことも多々あるからです。

このような不足を補うため、私たちは、このメッセージを通じて、With コロナ時代において、CBSがどのような新しい学びの方向に向かっているのかを紹介しようと考えました。このメッセージが、ビジネススクールを理解したい皆さんの助けとなれば幸いです。



2.ハイブリッド講義とは?


みなさんは、「ハイブリッド講義」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。コロナ禍であっても、教室で学びたいという気持ちを持つ人がいます。また、感染拡大のリスクを避けるために、オンラインの受講を望む人たちもいます。ハイブリッド講義とは、このようなニーズの両方に合わせ応えた講義です。ハイブリッド講義とは、同じ内容の講義を、教室での対面形式とオンライン形式を混ぜて提供する講義の総称と言えるでしょう。

このハイブリッド講義には、いくつかの形があります。一例は次のようなものです。

「教員は、教卓からマイクを使って通常通り講義をする。教室にいる学生たちはその講義を聴く。教室前にある大型のスクリーンには、オンライン受講の学生たちが投影されており、彼女・彼らは、教室外の場所からその講義を聴く。」

これは、いわゆるハイブリッド講義の一つの形です。もちろん、このようなハイブリッドの形式は、CBSにおいてすでに実施されています。例えば、こちらのニュース記事をご覧ください。様子がイメージできるのではないでしょうか。

高岡浩三 氏(ケイアンドカンパニー株式会社 代表取締役、元ネスレ日本 代表取締役社長兼CEO)が「実践・変革マネジメント論」において講演

CBSは、コロナ禍の教室での対面授業を、このような外部講師による授業から徐々に再開しました。飛沫のコントロールが容易で新型コロナウイルスへの感染リスクが比較的低く、かつ教員の教室およびオンラインの受講生全体に対する十分なフォローが可能なためです。対面受講に対する学生の感想は以下のようなものでした。

「ゲストスピーカーの講演でしたが、質問や、やり取りのしやすさはオンラインとは比べものになりません。(7/26の対面での受講学生。)」

その後ノウハウを蓄積しつつ、徐々に私たちの日常の授業にも、「理想の形」の授業環境を実現するハイブリッド型の授業スタイルをとりいれる努力を重ねています。



3.CBS型のハイブリッド講義とは?


先に紹介した方法は、学生間、学生と教員間のインタラクションがあまり多くない講義(外部ゲストによる講演など)に適した方法だと思われます。それでは、私たちCBSは、どのようなハイブリッド講義を模索しているのでしょうか?そのために最初に確認しなくてはならないのは、私たちCBSの特徴です。

そもそもCBSの最大の特徴は、年齢が30代以上でおよそ95%、役職が課長クラス以上で60%という学生プロフィールにあります(2020年4月入学者のデータ)。まさに、私たちは、「ビジネス・パーソンに特化した経営大学院」なのです。

CBSでは、このような学生に適した教育方法を多くの講義で採用しています。それが、「CBS型ディスカッション」と呼ばれる教育方法です。この方法は、学生たちの「豊富な実務経験」に、教員が提供する「ビジネス理論」を融合させることで、学生一人一人の行動志向で実践志向な気づきをうながそうとするものです。クラス内では、学生によるグループ討議に続き、その成果を受講生全員で共有しながら再討議するという「2つのステップ」を経ることにより、「気づき」が深化していくものです。


違う表現を使えば、CBS型ディスカッションとは、ケース教材の企業や有名企業の成功例を議論するだけではなく、「私」や「私の会社」を主語とし、かつ「解決したいビジネス課題」を意識しながら、議論を重ねる方法であると言えるでしょう。

このようなディスカッションは、学生の皆さんの「豊富な実務経験」がなければ実現しません。CBSが、ビジネス・パーソンに特化した経営大学院だからこそ採用できる方法なのです。

このような学びをハイブリッド形式で実現するには、先の例であげたようなハイブリッドの方法だけでは、不十分となります。なぜなら、私たちが目指しているのは、一方向の講演形式ではなく、学生間のディスカッションを多く含む講義の形式だからです。

そこでは、私たちは、いくつかの工夫をしています。ヤマハ株式会社の協力を得て高音質の「スピーカーマイク」を導入することにしました。このマイクを用いることで、受講生たちは、手持ちマイクを用いることなしに発言ができるようになり、スムーズな講義の運営が可能となります。小さなことのように感じるかもしれませんが、手持ちマイクを用いると、手渡し時に消毒作業が入るので、講義の流れが著しく妨げられます。また、対面で参加する学生たちの声が格段に聞き取りやすくなることで、オンライン 学生の疎外感がなくなります。また、教員やゲストの話も、スピーカーマイク(親機)に直接つながったマイクを使うことで、非常にクリアに聞こえるようになります。このような、音声の聞き取りやすさは、長時間集中して授業に参加するには極めて重要なことです。

また、株式会社エムールの協力により、飛沫感染防止のアクリル板を教室に設置しています(このことは、7月のメッセージでも紹介しています)。アクリル板があることで、教室内でのディスカッションに安心感がもたらされています。もちろん、マスクをしながらの発言にはなりますが、この安心感は、教室に出向く学生の数を増やすことになるでしょう。これらの教室機材のイメージは、写真をご覧ください。

 

こうしてみてくると、CBS型のハイブリッド講義とは、これまでも取り組んでいるCBS型ディスカッションの質を維持し、発展させるための一つの現れと言えます。

私たちは、コロナ禍のなかでも、私たちの理想とする講義スタイルに向けて、一歩一歩推し進めているのです。



4.ハイブリッド講義を生みだすコミュニティ力


実は、このような機器・備品の力だけでは、「CBS型のハイブリッド講義」は成立しません。同時に強調しておきたいのは、CBSのコミュニティの力です。

私たちは、コミュニティの維持や強化にも工夫を続けています。豊かなコミュニケーションを基盤にして築かれる相互の信頼と理解があればこそ、学ぶ意欲を高め、質の高い講義を知が創発する場を実現できると考えているからです 。

CBS型のハイブリッド講義がスタートできているのも、この学生コミュニティのみなさんの協力によるところが大きいのです。CBSの学生のみなさんは、CBSのハイブリッド講義のクオリティを高めるために、積極的に建設的な意見を述べ、実証模擬講義に進んで参加してくれました。サービスの受け手として、コロナ禍での変化に不満を唱えるのではなく、むしろ、教育サービスの質の向上のためにサービスの作り手の意識を持って、参加してくれたのです。

彼女・彼らのサービス生産への参加によって、講義運営のソフト面のノウハウが蓄積されていきました。学生の皆さんの献身的なご協力に、この場を借りて御礼を申し上げます。みなさん、本当にありがとう!!

【参考】
<学生の提案による改善点の例>
・教室で実施する授業における、PC のスライドを指すタイプのポインター(コクヨのエアビーム)の導入。
 講義に熱が入ってくると、白板に投影されたスライドを手で指して説明する教員が多いが、カメラから外れると、オンラインの学生に見えないため。
・オンライン学生が教室内を見られるように、在学生を映す2台目のカメラの設置。
 教員だけでなく、教室内の他の学生の様子が分からないと、オンライン参加者が不安になるとの意見があったため。
・教室内消毒に関する学生の自主的な取組
 自分の使ったアクリルボードや机については、学生が自分で消毒をして、元の配置に戻して終了するという点は、学生が自主的に始めたルール。
 教室の対面受講学生も、全員Zoom で入ることで資料は見やすくなる。現在は対面でも遠隔でもほぼ全員がZoomで入っている。

<学生の感想(ハイブリッド授業の学習効果について)>
・対面、オンライン共に一長一短であるが、オンラインではやりとりできない複数人でのインタラクティブなやりとりが可能なため。やはり学びの場では対面授業を取り入れることの効果は大きいと再認識できた。(6/27の受講者)
・対面での授業はディスカッションやその場を共同体験できるため、アイディアの創発や気づきが多いと改めて感じました(8/1の受講者)

<学生の感想(教室の感染症対策について。回答者数39名。)>
・マスク着用 充分実施 100% 不徹底 0%
・ソーシャル・ディスタンスの確保 充分実施 100% 不徹底 0%
・使用前後の机などの消毒 充分実施 96% 不徹底 4%
・登校届回収 充分実施 100% 不徹底 0%



5.実際の講義運営:ブレンド型講義


このようなハイブリッド型が実際の講義でどのように運営されているのかを紹介しましょう。例は、「リーダーシップコア」という、1年次の必修科目です。以下で示すように、この講義では、7週のうち、ハイブリッド講義を4回実施しています(注1)。

9月26日 ハイブリッド講義 (グループワークあり)
10月3日 ハイブリッド講義 (グループワークあり)
10月10日 オンライン講義 (グループワークなし)
10月17日 ハイブリッド講義 (グループワークあり)
10月24日 オンライン講義 (グループワークなし、ゲスト講師)
10月31日 ハイブリッド講義 (グループワークあり)
11月 7日 オンライン講義 (グループワークなし)

大事なことは、少なくとも現状の講義運営では、すべての講義がハイブリッド型にはならないということです。この講義の例では、グループワークが実施されるときだけ、ハイブリッド講義が採用されているのがご理解いただけると思います。これは、対面要素が必要なときにハイブリッド講義を採用し、それ以外はオンラインで実施しているためです。すなわち、いわゆる「ブレンド型」の講義運営が採用されているわけです。

ブレンド型の講義運営では、対面要素を取り入れることで、教育効果を高めることを目指しつつも、対面講義の回数を絞り込むことで、感染リスクの軽減を意図しています。講義運営の方法は複雑になりますが、教育効果を高めるために有用な方法です。

次に、講義全体の情報も示しておきましょう。M3(注2)で専任教員が担当した科目は、17科目あります。そのうち、ハイブリッド型講義を一度でも採用した科目は、13科目(約76%)でした。多くの科目で、対面が取り入れられていることがわかると思います。また、それらの講義のうち、約33%で、ハイブリッド講義が採用されていました。

現場にいる教員(筆者)としての実感ですが、中央大学ビジネスクールのなかでは、ハイブリッド講義、ブレンド型の講義運営に習熟した教員が増えてきていることは間違いありません。今後は、書く講義における教育の特徴を考えながら、より適した教育方法が採用されていくことになるはずです。

(注1)なお、受講生が35名と多いため、ハイブリッド講義に参加できる受講生に制限を設けていました。もちろん、希望者のみが対面でハイブリッド講義に参加しました。言うまでもなく、参加の強制はしていません。
(注2)中央大学ビジネスクールではミニセメスター制を採用しています。これは、1年間の講義を4つの期間に分けて講義を展開する仕組みです。大まかに言えば、M3は、9月末から11月中旬までの講義期間を指します。



6.おわりに


このメッセージをお読みいただき、Withコロナ時代のCBSの講義が、なぜ、どのように運営されているのかがご理解いただけたのではないでしょうか。ぜひ、ビジネススクールやCBSの現状を理解する際の参考にしていただければと思います。

最後に、われわれから、このメッセージを読んでいるビジネス・パーソンのみなさんにお願いしたいことがあります。これは、第1回目のメッセージと同じことの繰り返しになります。

学びは未来を作ります。みなさんには、学びの結果として生まれるアクションが、希望に満ちた未来を作ると信じ、学び続けていただきたいのです。私たちは、このような思いを同じくするビジネスパーソンの皆さんに、CBSコミュニティに加わって欲しいと願っています。

私たちは、CBSという場で信頼できる仲間を見つけることができると信じています。また、新しい試みに果敢に挑戦できる能力や勇気を得られるとも信じています。同じ志を持つビジネスパーソンの皆さんが、CBSの「コミュニティ」が目指す With コロナの新たな学び」を一緒に作り上げていく一員となり、変化を創り出すチェンジ・リーダーを目指す仲間となってもらえることを、心から願っています。

以上

なお、オンライン講義の記述は、以下のウェブサイトを参考としています。
https://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/connect/teachingonline/hybrid.php
(2020年11月13日アクセス確認)