ビジネススクール

CBSからのメッセージ ―今、この時だからこそ、チェンジ・リーダーを目指すCBSのコミュニティへ―

2020年07月25日

5月から7月に実施された説明会には、多数のみなさんが参加してくださいました。ディスカッションや質疑応答に積極的に参加して下さった方々、参加されたみなさまに、心より感謝申しあげます。また、説明会をサポートしてくれた、在校生や修了生のみなさんにも、この場を借りて、再度、感謝の意を表します。本当にありがとう!

説明会の終了後に参加者のみなさんから、コロナ禍での学びについて、多くの質問が寄せられました。このメッセージは、それらの質問にできる限り答えたいと思い、まとめられたものです。このメッセージによって、私たちの過去数ヶ月の間の取り組み― コロナ禍でのCBSでの学びとヒューマン・ネットワークネットワーク形成― についてご理解いただき、参加者のみなさんの疑問や不安を解消することができれば幸いです。

当初、このメッセージは、説明会参加者への質問に答えるためにまとめられたものでしたが、ウェブサイトで広く公開することにしました。説明会への質問に答える形で、私たちCBSコミュニティの現状に関する理解を得ることは、広くMBAコースへの進学を考えている方たちのお役に立てると考えたからです。

ぜひ、私たちの取り組みについて、最後までお読みいただければ幸いです。


--- 目 次 ---

1. はじめに
2. コロナ禍でのCBSの学びとは?
(a) CBS型ディスカッション―オンライン説明会にも活かされた学びのスタイル―
(b) プレ講義―オンラインの利点を活かした履修スタイル―
(c) ハイブリッド講義の試験的導入―「新しい」講義スタイルへの取り組み―
3. コロナ禍でのヒューマン・ネットワーク形成とは?
(a) オンラインでのキックオフ―学年全体のネットワークの強化―
(b) アドバイザー制度―オンラインによる小さなネットワークの強化―
(c) オンライン・コモンズ―公式的な非公式コミュニケーションの「場」の提供―
4. おわりに

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1. はじめに

私たち中央大学ビジネススクール(Chuo Business School: CBS)の強みは、講義のクオリティや、コミュニティの強さにあります。立地や設備、給付金などの利便性も重要です。しかし、私たちCBSコミュニティにとって、在学生や教職員はもちろんのこと、800人にのぼる修了生や様々なサポートを提供してくれる多くのステークホルダーが私たちのもっとも大事な資産です。多様な知見や経験、意欲を持つ新入生を半期ごとに迎え入れながら、私たちは常に新しく、より良い、強いコミュニティへと発展を続けています。

いま私たちは、かつてない危機に直面していることは疑いのないところです。そのなかで、私たちはユニバーシティ・メッセージである 「行動する知性 (knowledge into action)」を合言葉に、研究と教育を続けてきました。

全面オンライン講義の実施は初めてでしたが、多くの試行錯誤を重ね、講義のクオリティを高め、学ぶことの価値を守り、高めることを目指してきています。同時に、新入生も加えたコミュニティの中で、健康面での安全を確保しつつ、心理的にも安心して過ごせるように、オンラインで積極的にコミュニケーションを取る工夫を続けています。なぜなら、豊かなコミュニケーションを基盤にして築かれる相互の信頼と理解があればこそ、学ぶ意欲を高め、質の高い講義を実現し、知性を発揮できると考えているからです。

さて、次からは、寄せられた質問に沿って、私たちの取り組みを、ご紹介していきましょう。



2. コロナ禍でのCBSの学びとは?

説明会では、コロナ禍でのCBSの学びのスタイルについて、質問が寄せられました。ご存知の方も多いと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、わが国の多くの大学はオンラインでの講義を実施しています。CBSにおいても、それと同様に、遠隔講義を行っています。ただ、そのなかでも、私たちCBSは、いくつかの特徴的な取り組みを行っています。

(a) CBS型ディスカッション―オンライン説明会にも活かされた学びのスタイル―
第1は、通常の対面と講義と同じく、双方向のCBS型ディスカッションを展開していることです。CBS型ディスカッションとは、CBSの多くの講義で採用している教育方法の通称です。この方法は、CBSの強みである学生たちの「豊富な実務経験」に、教員が提供する「最新ビジネス理論」を融合させることで、学生一人一人の行動志向で実践志向な気づきを促そうとするものです。クラス内では、学生によるグループ討議に続き、その成果を受講生全員で共有しながら再討議するという「2つのステップ」を経ることにより、「気づき」が深化していきます。

CBS型ディスカッションは、以前から行われてきた、CBS特有の講義の形式ではありましたが、オンライン講義でもこのような双方向型の方法を実現すべく、工夫を重ねてきました。学生と教員が共に知恵を出し合い、工夫を重ねることで、オンラインでのCBS型ディスカッションも一定の成果を得ていると自負しています。今期4回実施したオンラインでの説明会で、「CBS型ディスカッション」に近い形式を採用しましたが、その運営にも、講義で蓄積したノウハウが活きています。

(b) プレ講義―オンラインの利点を活かした履修スタイル―
第2は、履修決定前に講義をオンラインで「お試し」で体験し、履修科目の選択に役立ててもらう「プレ講義」を実施したことです。オンラインの講義は、手軽に「教室」を出入りできる利便性があります。それを活かし、30分程度の講義概要を教員が説明するプレ講義を、全科目について開設しました。コロナ禍が本格化した4月に急遽、教職員で検討を進め、4月後半に開講スタートとするというスピード対応でした。

通常であれば、学生たちは、シラバスや先輩の意見をもとに履修科目を決定します。オンラインでのプレ講義があったため、学生たちは自宅にいながら多くの講義の概要を教員の生の声で知り、履修計画を立てることができました。自分のニーズに講義内容があっているのかを、教員と直接対話したり、チャットの形式で尋ねることができました。結果、2週間のプレ講義を通じて、講義の情報を共有するという当初の目的はもちろん、学生と教員、履修希望の学生同士のコミュニケーションも活発化するという、(思いもかけない!)成果も得ることができたのです。

(c) ハイブリッド講義の試験的導入―「新しい」講義スタイルへの取り組み―
第3は、新しい講義スタイルの模索をしていることです。新型コロナウイルスの感染拡大は、いつ収束に向かうのかは誰にもわかりません。ただ、しばらくの間は、この状況と向き合っていくしかないは明らかです。そこで、私たちは、在学生のみなさんとも協力し、「密」を作らない安全な環境作りに最大限配慮しながら、新しい講義の形を試験的に模索し始めています。数名の教員よってタスクフォース・チームが結成され、新しい講義スタイルを検討しているのです。

タスクフォース・チームでは、在学生のみなさんからの意見を汲み取りながら、教員と学生が協力して、講義の新しい形自体を作ろうとしています。たとえば、一つの講義のなかでオンライン参加者と対面参加者が混在するハイブリッド講義、講義内容を勘案して希望者が対面講義に参加できる機会を持つ科目など、試験的な取り組みを始めています。

なお、このタスクフォース・チームには、医師免許を持ったヘルスケアを専門とする専任教員も一員として加わっています。医学的な見地からから、新しい講義スタイルの安全性がチェックされています。また、感染症の専門医が現役学生として在学しており、専門家としての視点から、在学生や教員に対して提言をいただいています。このことも、CBSの特徴と言って良いでしょう。

さらに、企業から飛沫感染のアクリル板100枚の寄付も受け入れました。「やはりキャンパスで学びたい」という学生の希望に答え、新しい対面型講義がいつでもスタートできるような準備が、受講環境の面でも整いつつあります。

このように、私たちCBSは「ビジネスパーソンに特化した経営大学院」として、学生や教職員の健康と安全に十分に配慮しながら、勉学や研究の活動を整えています。これからも、常に新しい方法を模索し、とどまることなく、より良い教育を提供していくことを目指していきます。



3. コロナ禍でのヒューマン・ネットワーク形成とは?

ビジネススクールから得られる価値は、講義だけではありません。在学生や修了生のみなさんとのヒューマン・ネットワークも重要な要素です。こちらについても、説明会の参加者から質問が寄せられました。当然のご質問だと思います。私たちは、いくつかの方法で、ヒューマン・ネットワークの維持と構築に力を注いでいます。ここでは3点に絞ってお伝えします。

(a) オンラインでのキックオフ―学年全体のネットワークの強化―
第1は、ネットワーク作りのための全体会合「キックオフ・ミーティング」を、オンラインで実施したことです。一定以上の経験を持つビジネス経験を持つ学生のみなさんの相互の学び合いを大切にするCBSにとって、入学時のキックオフ・ミーティングは、学生同士がお互いを知る最初のステップであり、学生一人一人が目指す2年後のゴールを改めて設定する大切な機会となっています。今回は、このミーティングをオンラインで実施し、学年全体のヒューマン・ネットワークの強化を目指しました。

もちろん、オンライン型と対面型では、同じことはできません。そこで、オンラインでのグループワークを取り入れるなど、プログラムを大幅に練り直しての開催となりました。結果、対面と変わらぬ、よりよい双方向コミュニケーションを検討する良い機会ともなったと考えています。参加した学生からの感想を少し紹介しましょう。

・ 同じ志をもつ同期の方とコミュニケーションが取れ、スタート地点に立ったという気持ち。今後2年間への期待が高まった。
・ 自分の思いや学ぶ目的について、仕事に引き寄せて考える良い機会となった。メンバーと共有することで、モチベーションが高まった。
・ オンラインでのSTARTとなり困惑する場面もありましたが、60名超の自己紹介は面白かったです。快適に参加することができ、すぐに慣れると思えました。
・ 対面での方が、密度が高いと思うが、Webでも思ったより双方向のコミュニケーションはできるのだなと感じた。ITツールを活用したイベント展開の際に、この経験も生きると思います。
・ 3月以降、会社でもマスク必須で人と顔を見て話をしておらず、マスクなしで人の顔を見て話をするというのは人を元気にするんだなと実感した。

(b) アドバイザー制度―オンラインによる小さなネットワークの強化―
第2は、ネットワーク作りのための小さな会合を、「公式」に実施していることです。CBSでは、一人一人の学生に専任教員が割り当てられ、いわば「担任の先生」のように、履修や学生生活について相談する制度(アドバイザー制度)があります。コロナ禍の4月以降、この仕組みがフル活用されました。オンラインでの面談を実施することで、新入生の疑問や悩みを集め、CBSコミュニティとして取り組む課題を明確にしました。また、そうした面談を通じて、学生と教員とのヒューマン・ネットワークも確立してきました。

その他、研究科長主催の新入生歓迎会や、講義後の打ち上げをオンライン上で実施しました。これらを通じて、学生間のネットワーク形成を教員の側からもサポートしています。これらの会合では、どんな思いでCBSに入学したのか、何が自分自身に足りないのかなどといったMBAらしい話題から、個人的な趣味の話まで、楽しく語られています。オンラインであってもできる、オンラインだからこそできる風景が、ここにはあります。

(c) 「オンライン・コモンズ」―公式的な非公式コミュニケーションの「場」の提供―
第3に、新しい方法でのネットワーク作りもスタートしつつあります。オンライン講義は、移動がない分、利便性は高いものです。しかし、決定的に足りない部分もあります。その一つは「ちょっとした雑談」です。この不足を補おうというチャレンジが始まりつつあります。

ビジネスの現場にいるみなさんであれば、ランチのとき、廊下ですれ違ったとき、同じエレベータに居合わせたときの何気ない「雑談」が、新しい何かのヒントになった、というような経験があるのではないでしょうか。それは、ビジネススクールでも同じです。コロナ禍の学生生活では、このような「ちょっとした雑談」が皆無になってしまうのです。

そこで、その不足を補うため、新しい取り組みを始めています。それが「オンライン・コモンズ」です。コモンズとは、CBS施設内にあるフリー・スペースです。昨年度まで、CBSのコモンズでは、グループワークが行われたり、学生たちが自由に集まって語らう懇親会が行われたり、ポスター形式による最終成果発表会などの行事が開催されたりしていました。このように利用されていたCBSのコモンズの一つの役割は、何気ない「雑談」にあると言っても言い過ぎではありません。

そこで、CBSでは、そのコモンズの「雑談」の役割を「オンライン・コモンズ」で再現しようと考えています。オンライン上の会議室を開放しておき、ちょっと時間があったら学生や教員がフラっと訪れる、そんなオンラインの場です。これは、「公式的に」「非公式な」雑談の場をオンラインで生み出す試みです。

もちろん、この取り組みが上手くいくかは、まだ不確かです。しかし、私たちは、このような新しい試みにも取り組むことで、学生のネットワーク作りもサポートしていこうと考えています。なにより、チェンジ・リーダーの育成をミッションとして掲げるビジネススクールとして、私たちこそが失敗を恐れず、挑戦し続けなくてはならないと考えています。



4. おわりに

私たちCBSは、コロナ禍の現状に、何もせず黙ってただ留まっているわけではありません。学生も、教職員も「ビジネスパーソンに特化した経営大学院」として、既存の仕組みを強化することで、あるいは、新しい方法で教育や交流の場を提供することで、この難局を乗り切るべく最大限努力しています。

最後に、われわれから、このメッセージを読んでいるビジネス・パーソンのみなさんにお願いしたいことがあります。大きな課題に直面しているいまだからこそ、ぜひ学びをスタートして欲しいし、学びをやめないで欲しいということです。学びの結果として生まれるアクションが、希望に満ちた未来を作ると信じ、学び続けていただきたいのです。

また、志を同じくするみなさんに、CBSコミュニティに加わって欲しいということもお伝えしたいと思います。CBSという場で信頼できる仲間を見つけ、私たちと一緒に新しい試みに果敢に挑戦しませんか。これからCBSコミュニティに参加する皆さんが新たな風を吹きこんでくれ、私たちと一緒に変化を創り出すチェンジ・リーダーを目指す仲間となってもらえることを、心から願っています。

CBSへの進学を検討している方や、ビジネススクールにご関心のある方に、このメッセージがお役に立てば幸いです。

以 上


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