※本プレスリリースは、中央大学と日本医科大学との共同発表です。
概要
近年罹患率が増加している子宮体がん(≠子宮頸がん)の検出を想定した、外来にて実施可能な子宮内膜細胞診は、標本の採取方法や月経周期によって細胞形態が変化することから、繊細かつ高難度にならざるをえず、AIを活用した診断支援システムはこれまで実用化されていません。
中央大学理工学部 教授 鈴木 寿(すずき ひさし)、同大学院理工学研究科博士前期課程 学生 河村 拓実(こうむら たくみ)、日本医科大学解析人体病理学 准教授 寺崎 美佳(てらさき みか)を中心とする研究グループは、子宮体がん検出を想定した子宮内膜細胞診へ適用可能な範疇において世界初となる、熟練病理医による診断思考の一部を実装した説明可能AI診断支援システムのプロトタイプ(以降、本システムと呼称)を開発しました。
本システムは、細胞集塊の写っている画像が入力されると、(1)細胞集塊の辺縁形状を焦点合わせの良否にかかわらず鮮明化しつつ抽出し、(2)熟練病理医による細胞集塊辺縁形状への診断思考が簡明に数式化された形状特徴量を算出し、(3)形状特徴量に応じて細胞集塊が悪性判定のとき赤、良性判定のとき緑、保留判定のときは黄へと透過着色した画像を出力します。
本システムは、深層学習などの機械学習には必須の高負荷な撮像作業や事前学習を必要とせず、任意メーカーの細胞診用顕微鏡に、オプションのカメラ、通常仕様のPC、ゲーム用の高リフレッシュレートなモニターを追加したスタンドアローンの形態にて運用でき、処理速度は毎秒約30フレームに達します。原理上、サイバー攻撃は成立しません。
検出性能については、過半数の熟練病理医が良性と判定した画像に対し本システムも良性と判定する「特異度」(真陰性率)は約8割に及ぶ一方、過半数の熟練病理医が非良性と判定した画像に対し本システムも非良性と判定する「感度」(真陽性率)は約7割、すなわち「見逃し率」(偽陰性率)は約3割です。これは、病理医が視点移動走査する際に一瞬静止して注視する頻度を勘案すると、標本スライド当りの見逃し率が文字どおり「万に一つ」に抑えられることを意味します(「2.研究内容と成果」にて詳述)。
本研究は、学校法人 日本医科大学と学校法人 中央大学の共同研究契約「人工知能(AI)を用いた婦人科悪性腫瘍の画像解析モデル作成と分子病理学的解析及び臨床データの統合研究」に基づいて実施したものであり、2025年12月に両法人は中核部分を保護するための特許を共同出願しました。

開発した説明可能AI診断支援システムのプロトタイプにより、マウスを対象とし迅速細胞診を模擬した様子(左)と出力画像の例(右)。細胞集塊が悪性判定のとき赤、良性判定のとき緑、保留判定のときは黄へと透過着色している。
詳細は、「プレスリリース」をご覧ください。
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