研究支援室

法学部教授 平山令二が「杉原千畝ボランティア・ガイド育成プログラム」受講者向けに講演しました

2018年11月22日

法学部教授 平山令二

 法学部教授 平山令二(ひらやまれいじ)の専門分野はドイツ語・ドイツ文学。研究テーマは「<寛容>の問題を中心とした18世紀のドイツ文学・思想の見直し」「ドイツ語圏におけるユダヤ系文学・思想」「異文化理解の理論」です。

 2018年11月21日、法学部教授 平山令二は「杉原千畝(すぎはらちうね)ボランティア・ガイド育成プログラム」受講者向けに、「ホロコーストからユダヤ人を救ったドイツ人」と題して講演いたしました。

 杉原千畝は第二次世界大戦中にユダヤ人難民に日本通過ビザを発給し多くの命を救った外交官です。その人道的功績を後世に語り伝えていくために、愛知県は、杉原氏の母校である旧制第五中学校、現在の県立瑞陵高等学校に「杉原千畝広場~センポ・スギハラ・メモリアル~」を整備し、2018年10月12日に完成記念式典を執り行いました。

 「杉原千畝ボランティア・ガイド育成プログラム」は、この施設の完成に合わせて名城大学が実施するものです。中央大学学術リポジトリに掲載された下記リンク先の論文をきっかけとして、このたびの受講者向け講演が実現しました。

 このうちの『ユダヤ人をなぜ救ったのか―ユダヤ人を救った人々( 8 )―』の要旨をご紹介します。本文全文は、下記リンク先から「本文を見る(PDFファイル)」をクリックしてご覧ください。

『ユダヤ人をなぜ救ったのか―ユダヤ人を救った人々( 8 )―』平山令二, 人文研紀要, 第80号

【 要 旨 】

 ホロコーストからユダヤ人を救った人々は,どのような動機からナチス独裁政権下で命懸けの救済行為を行ったのであろう。その動機を知るためにドイツの研究書から 2 編の論文を紹介した。まず,救済行為の位置づけであるが,救済行為がナチス政権の存立や戦況に影響を及ぼさなかったため,これまで反ナチスの「抵抗運動」であるという評価は受けなかった。そのために救済者たちも戦後補償の対象にされなかった。このような評価を変え,明確に反ナチス抵抗運動と位置づけなければならない。次に救済の動機であるが,救済者たちの出自がすべての階級に及んでいるように,救済の動機も,宗教的,思想的信条など千差万別である。動機を安易に類型化することはできない。このように動機は多様であり,また救済行為に対するナチス政権による処罰も,厳罰を科される場合からなにもされない場合まで実に多様である。この事実は,ナチス政権下ではユダヤ人救済のためになにもできなかった,という弁解が通用しないことを示している。

 平山令二の「ユダヤ人を救った人々」シリーズは、人文研紀要第76号に掲載された(6)以降を中央大学学術リポジトリにてご覧いただくことができます。