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平成28年度 中央大学学術研究奨励賞受賞者一覧

(順不同・敬称略)

氏名
(ふりがな)
所属身分
研究業績等の内容(要旨) 他機関からの受賞
○受賞名
○授賞機関
○受賞日
奨励賞推薦理由(要旨)
佐藤 文博
(さとう ふみひろ)
経済学部・教授
A Service Model using Bluetooth Low Energy Beacons - To Provide Tourism Information of Traditional Cultural Sites
本研究は、総務省からの受託研究「観光客の満足度向上のための情報提供技術の研究開発」(戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE))の成果を踏まえたもので、日光地区の観光に関して、特に外国人や若年層の観光客に伝統的な日本文化をいかに効果的に理解させるかを課題とした研究である。方法論としては、省エネルギーのビーコンシステムを利用しより詳細で正確な位置で適切な情報を発信し、さらに認知心理学的アプローチで当該システムの充実化が図られることを明らかにした。
なお、IARIAはInternational Academy, Research, and Industry AssociationはICTを基本とした広範囲な応用研究の国際的な学会であり、SERVICE COMPUTATION2016は2016年3月に第8回国際会議として開催された。
○BEST PAPER AWARD
○IARIA(International Academy, Research, and Industry Association)
○2016年3月24日
当該候補者と共同研究者の平松裕子本学経済学部兼任講師は、ここ10年来、モバイルコンピューティングの教育利用に関してチームを形成し実証研究に取り組んできている。とりわけ修学旅行での学習効果を高めるコンテンツやネットワークの利用法について常に先進的な方法論により探求してきている。
2014年度からは3年計画で総務省からの受託研究「観光客の満足度向上のための情報提供技術の研究開発」(戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE))を受けることにより、宇都宮大学とも連携し大規模な実証研究に取り組むことが可能となった、
今回の受賞のA Service Model using Bluetooth Low Energy Beacons - To Provide Tourism Information of Traditional Cultural Sites では、日光地域に限定されるが、100m置きにビーコン(電波を発信する機器)を設置し、詳細な観光情報を提供できるスマートフォンのアプリケーションシステムを開発し、従来のアプリでは実現出来なかった旅行者が必要とするきめの細かい情報提供が可能となった。また修学旅行の生徒へも歴史・地理に関する文化的なコンテンツも提供可能となっている。さらに10回におよぶ実証実験を通して認知心理学のZeiganik Effect(ザイガニック効果)の観点から、伝統的な文化や歴史に対する理解を深めるためのコンテンツのあり方についても明らかにした。
このように本研究は単なるICTの学術的研究に終わらずに境界領域の課題への取り組みとしての意義が高く評価できる。また多摩キャンパスにおける外部資金の導入、官庁や他大学との効果的な連携という新しい取り組みとしても成功しており、中央大学の今後の一層の発展に資することと確信する。
なお、候補者は本論文について実質的な総括をしており、実証研究の運用、とりまとめ、翻訳を行った。学会での発表はスケジュールの都合で、平松裕子兼任講師が担当した。以上、本学の学術研究奨励賞の候補者として経済学部佐藤文博教授を推薦する次第です。
鳥居 昭夫
(とりい あきお)
経済学部・教授
中央大学学術研究奨励賞の対象となる鳥居昭夫教授の論文の題名は「Free-TV, Pay-TV, and Public Broadcasting」である。本論の目的は、公共放送が民間放送事業者間の競争に与える影響を、空間的競争モデルを構築し、分析することである。ここで構築されたモデルは放送コンテンツの質に対する影響の分析を行い、さらに民間放送事業者が広告による無料放送というビジネスモデルをとるか、あるいは有料放送というモデルをとるかの選択を明示的に分析できるように工夫されている。モデル分析から次の結果を導出する。すなわち、公共放送によるコンテンツ制作への投資の増加は民間放送事業者の投資を抑制する効果を持つ。この効果から民間放送事業者のコンテンツの質が低下し、有料放送から無料広告放送へとビジネスモデルを転換しなければならない可能性が生じることが示される。これらの影響の大きさは種々のパラメータの値によるが、コンテンツの質の変化や、視聴者の視聴機会、放送事業者の利益等、放送産業全体にかかる影響等をあわせて評価すれば、公共放送の存在により社会厚生が低下するパラメータの領域が存在することが示される。これにより、たとえ公共放送が質の高い番組を提供し、多くの視聴者を獲得していたとしても、そのことによって直ちに公共放送が社会厚生に正の貢献をなしているとは言えないことが明らかにされる。 ○BEST PAPER AWARD
○European Media Management Association
○2016年6月4日
これまで民間放送事業者の競争モデルは多数提案されてきているが、公共放送の効果を精緻に分析した論文は少ない。また無料広告放送と有料放送というビジネスモデルの選択を内生的に分析したモデルはなかった。本論文はモデル構築の工夫により、放送コンテンツの質という議論の多い要因を取り扱えるようにして明快な分析を行う。そして次の分析結果を導出する。すなわち多くの国では公共放送は高い質のコンテンツを提供しており、その面での貢献から公共放送の役割は高く評価されていると想定されている。しかしながら、ここでなされた研究は従来とは異なる視点から公共放送の影響を捉え、公共放送が質の高い番組を提供し、多くの視聴者を獲得していても、それにより直ちに公共放送が社会厚生に正の貢献をなしているとは言えないということを明示する。本論文は、これまでとは異なる視座から精緻にモデル構築を行い、上記の興味深い結論を導出して放送事業の分野において多大な貢献をなしている。これにより本論文はヨーロッパ・メディア経営学会(European Media Management Association)から最優秀論文賞(Best Paper Award)を受賞している。
上記のヨーロッパ・メディア経営学会(European Media Management Association)は、メディア経営に関する学術および実務にわたる研究の振興を目指して設立された国際学術団体である。学会誌としてInternational Journal on Media Managementを刊行している。本学会は毎年1回大会を開催し、2016年度はポルトガル国ポルト市ポルト大学で開催された。今回の大会テーマは「不確実なメディア事業における創造性とコーペティション(競争と共生)」である。大会報告論文から3本が優秀論文として表彰され、さらにそのうちの1本が最優秀論文賞(Best Paper Award)を受賞する。本論文は、この最優秀論文賞を受賞している。このように本論文は、学会から極めて高く評価され、中央大学学術研究奨励賞にふさわしいものと判断する。
児嶋  隆
(こじま たかし)
商学部・教授
『銀行の不良債権処理と会計・監査』は2部構成となっている。第Ⅰ部では、わが国の銀行の不良債権処理の会計・監査を考察している。第Ⅱ部では、わが国の制度の考察に資するために、米英並びに国際機関等の見解と動向を考察している。それらの考察によって、銀行の不良債権処理の会計・監査の問題点を明らかにし、あるべき制度を提言している。 ○第44回日本公認会計士協会学術賞・会員特別賞
○日本公認会計士協会
○2016年7月25日
第44回日本公認会計士協会学術賞は、平成26年10月1日から平成27年9月30日までの間に発刊された著書(初版)及び同期間中に発表された論文の中から優れた作品に授与しているものである。その中で、会員特別賞は、日本公認会計士協会の会員及び準会員の著書又は論文が対象である。
金融機関の会計・監査を巡る制度・規制・基準・実務の専門性・特殊性の高さゆえに銀行の不良債権処理の問題を会計・監査の観点から取り扱った著書は少ない。本書は、実務家としての経験と学者としての研究が反映された著者ならではの研究書である。
小松 晃之
(こまつ  てるゆき)
理工学部・教授
蛋白質からなるユニークな分子超構造体を数多く合成し、それらが医療分野で有用な新しいバイオマテリアルとなることを明らかにした。 ○Distinguished Award 2016 for Novel Materials and their Synthesis
○国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC))およびNMS組織委員会
○2016年10月18日
小松氏は、蛋白質を用いたバイオマテリアルの合成と応用に関する研究を精力的に進めている。特にバクテリアを捕捉できる蛋白質マイクロチューブ、人工酸素運搬体となる蛋白質クラスターに関する最近の研究成果は、国内外から大きな注目を集めている。また、基礎研究にとどまることなく、産学連携の開発研究も積極的に推進している。これら一連の研究業績に加え、蛋白質クラスターに関する講演(論文)がIUPAC 12th International Symposium on Novel Material and their Synthesisにおいて高く評価され、Distinguished Award 2016 を受賞した。本賞は材料化学に大きな発展をもたらした化学者に与えられるもので、本学の名声を著しく高めたと言ってよい。IUPACは世界各国の化学者を代表する機関(日本は日本学術会議)の連合であり、世界の中核的学術団体。元素や化合物名の国際基準を制定する世界的権威としても広く知られる。以上の理由から、小松氏を学術研究奨励賞候補者として推薦する。
庄司 一郎
(しょうじ いちろう)
理工学部・教授
常温接合法という独自技術を用いて、従来は不可能であった複合構造レーザーや波長変換デバイスを作製するとともにそれらが優れた特性を有することを明らかにし、レーザーのさらなる高出力化および高機能化のための新たな可能性を提示した。 ○平成28年度第40回レーザー学会業績賞(進歩賞)
○一般社団法人レーザー学会(日本学術会議協力学術研究団体 )
○2016年5月31日
本賞は、レーザーに関する研究および製品の開発に関し、顕著な成果を示したもので、原則として表彰年の前年および前々年の研究会あるいは年次大会で発表されたものに対して贈呈するもので、受賞件数は毎年1件もしくは2件と極めて限定されている(当該年度は候補者を含め2件)。今回、2015年7月17日に大阪で開催された第476回研究会「高機能固体レーザーとその応用」で発表した論文「常温接合を用いた新規複合構造レーザーの開発」に対し、その成果が高く評価され受賞した。共著者は全員研究室の学生であり、候補者が主導的役割を果たした。
中村 太郎
(なかむら たろう)
理工学部・教授
本論文は、蠕動運動型ロボットによる長距離インフラ配管の検査を可能にしたロボットの開発について記述されている。
高度成長期に建設された下水道インフラが老朽化しつつあり、修繕や改築を必要とする状況となってきた。しかし、φ150を下回る小口径管路については、長距離で屈曲が多いなどの理由により適用できる調査機器がなく、問題となっている。
そこで蠕動運動型ロボットを開発することにより、このような管路調査に応用できると考えた。本報告では、本ロボットをより過酷な環境においても適用できるように改良し、青梅にある実際の下水道管に適用し有効な成果を上げた。蠕動運動を用いた調査機器の実用化は世界初の試みであり、その先進性と実用性が評価された。
○The Best Paper Award(The 1st Winner)
○CLAWER ASSOCIATION
○2016年9月14日
本国際会議は歩行と登攀のロボットに関する権威のある学会であり、ヨーロッパを中心に展開している伝統ある学術団体である。本会議ではフルペーパー査読によって厳選された約100件以上を超える優れた論文の中から3件がbest paperとしてノミネートされ、そのうちの最高賞である1st winnerとして表彰された。歴代ではヨーロッパの受賞が多い中、日本人の受賞は快挙である。
また、本論文の内容は企業や技術士会を包括したプロジェクトである。この中で候補者は、プロジェクトの最高責任者であり、研究統括・提案・技術的な開発指導を担当している。  
二本 正昭
(ふたもと まさあき)
理工学部・教授
被推薦者は、磁気工学の分野で問題とされていた磁性薄膜に関する「不確かな知識」を高度の製膜技術と高精度解析技術を活用して「明確な知識」として学術論文に纏めて学会論文誌で発表した。この論文は膨大な実験結果に基づいており、ソフトおよびハード磁性材料に関連する研究者にとってリファレンスとなる世界レベル成果であると認められ、学術的に高く評価された。 ○平成28年度 日本磁気学会 論文賞
○公益社団法人 日本磁気学会(日本学術会議協力学術研究団体)
○2016年9月7日
受賞候補者は磁気工学の研究を遂行しており、他大学と連携した基礎的研究から企業等との共同研究による応用研究に至る広範囲な領域で積極的な学会活動を行っている。今回、受賞候補者が研究企画から論文作成までを主導し、研究成果を日本磁気学会論文誌, 40巻, pp. 95-106 (2016)で学術論文として発表した。当該学会よりその優秀さが世界レベルであると認められ、論文賞を受賞した。この分野で高い評価を得た本候補者の研究業績は、本学学術研究奨励賞にふさわしいものと確信し、受賞者として推薦する。
山田 泰之
(やまだ やすゆき)
理工学部・助教
災害観測・救助等のため不整地移動ロボットが開発されているが、これらは低速走行での運用を前提に設計されている。一方で、例えば火山噴火時の観測などでは、情報収集の速さ、目的地への到達速さが重要である。そこで、著者らは不整地走破性と移動速度を両立する、はね付きクローラの開発を試みている。本報告でははね付きクローラの各パラメータ変化による登坂性能を定量的に把握するため、スリップ率を一つの指標として、はね長と走行速度および坂傾斜度をパラメータとした登坂性能の検証実験を実施した。結果、従来のクローラよりも高い登坂性能であることと、はね長の変化によって、登坂性能と走行安定性が調整できることも確認した。 ○計測自動制御学会 SI部門賞 若手奨励賞
○計測自動制御学会(日本学術会議協力学術研究団体)
○2016年12月16日
本賞は、候補者が2016年4月に第21回ロボティクスシンポジアにて発表した研究論文
「不整地での高速移動のためのはね付きクローラ -登坂性能の実験的検証-」に対して授与された。この賞は、発表者個人が受賞対象である。候補者は、本研究内容において、ロボットの設計製作、実験、論文の執筆を担当した。本研究は、従来の不整地移動ロボットの枠にとらわれることなく、現場の要求からボトムアップ的にロボットを研究開発する斬新な研究内容である。現場や試験路を用いた模型実験を繰り返し、より現実的な結果を求める姿勢も、近年多くみられる数値計算等の机上検討で完結する研究と比べて、評価に値すると考える。以上の業績が、学術研究奨励賞候補者として相応しいと考え、ここに推薦する。
山村 清隆
(やまむら きよたか)
理工学部・教授
大規模集積回路の設計など幅広い分野で重要となる解曲線追跡問題に対し、「長い間解決されていなかった本質的な問題点」を解決した新しい解曲線追跡法を提案し、その理論的証明を与えるとともに、数値実験によりその実用的な有効性を検証した。この論文により、IEEE APCCAS Best Paper Awardを受賞した。 ○IEEE APCCAS Best Paper Award(米国電気電子学会 回路とシステムに関するアジア・太平洋
国際会議 最優秀論文賞)
○IEEE(米国電気電子学会)
○2016年10月27日
IEEE APCCAS (IEEE Asia Pacific Conference on Circuits and Systems) は、電気電子工学の分野で世界最大の学会であるIEEE(米国電気電子学会)が2年に1度開催する、IEEEの中でもメジャーな国際会議の一つである。本賞はIEEE APCCAS 2016に投稿された約300編の候補論文の中から、最も優秀とされた2編に授与されるものである。授賞式は韓国で開催されたIEEE APCCAS 2016のバンケットにて行われた。
受賞論文は候補者と大学院生(山村研M1)の連名論文で、第1著者の候補者が研究全般(テーマ設定、理論の構築、アルゴリズムの考案、定理の証明、例題の選定など)を担当し、第2著者の大学院生がプログラミング実験を担当した。
羽根 礼華
(はね れいか)
文学部・助教
授賞の対象となったのは以下の書籍である。Reika Hane: Gewalt des Schweigens: Verletzendes Nichtsprechen bei Thomas Bernhard, Kôbô Abe, Ingeborg Bachmann und Kenzaburô Ôe, Berlin/ Boston: de Gruyter, 2014(『沈黙の暴力:トーマス・ベルンハルト、安部公房、インゲボルク・バッハマン、大江健三郎における傷つける無言』)。1960年台から1970年台にかけてドイツ語と日本語で書かれた文学作品を手掛かりに、沈黙の暴力(沈黙あるいは無言が、人を傷つける暴力として働く現象)について考察した研究である。
以下を明らかにした。(1)「沈黙の暴力」は行為者がいなくとも発生しうる。発話の不在が積極的な沈黙行為ではなく、意図せざる無言状態や発話行為が不可能な状態、あるいは静寂であったとしても、聞き手がそれを暴力的な沈黙として経験する場合がありうる。意図された暴力、行使された暴力、被られた暴力を区別し、それらの間の一致と相違を精確に観察することが重要である。(2)沈黙の開始点は発話のそれに比べてより曖昧であるため、聞き手による暴力の経験と、暴力への有効な対応や対抗は、言葉の暴力の場合よりも遅れうる。(3)沈黙には外見上は区別しえない様々な様態がありえ、また沈黙はあらゆることを意味しうるため、聞き手は沈黙を解釈することを強いられる。それによって、暴力を被る者が、自らが被る暴力の発生に積極的に関与させられるという事態が生じる。沈黙のパフォーマティヴィティの一部は、聞き手の解釈によって生み出され、その解釈は聞き手の期待、不安、希望、欲求などと密接に関係する。(4)沈黙による暴力の否認は、言葉による否認よりも意識を逃れやすく、暴力の記憶の抑圧や忘却を助長する点で、沈黙の暴力へと容易に転化しうる。
○第13回日本独文学会賞(ドイツ語研究書部門)
○日本独文学会(日本学術会議協力学術研究団体)
○2016年5月28日
羽根助教の著著のもととなったのは、ケルン大学でsumma cum laude(最高点)という評点とともに学位を取得した博士論文である。これを、人文科学の分野で欧米で最も格が高い出版社のひとつde Gruyter社が刊行。刊行されるや日本独文学会賞(ドイツ語研究書部門)を受けた。ヨーロッパの人文科学の前線から生み出され、幾重にも顕彰された研究である。(日本独文学会賞は、日本におけるドイツ文学研究の中心をなす日本独文学会が、学会員の優れた研究業績に対し授与する賞であり、「日本語研究書」「ドイツ語研究書」「日本語論文」「ドイツ語論文」の四部門に分かれる。)
言語が存在する場合に比べ、言語が欠けている場合、それを解釈する作業は空(くう)をつかむに似て、はるかに困難である。言葉の欠落を取り囲むさまざまな文脈を仔細に読み抜き、その欠落に迫るしか無い。羽根助教の著書は、その精読を見事におこなった。卓越した手法で挙げた比較文学の成果であるとともに、現代思想の一分野としての暴力研究への大きな貢献でもある。
羽根氏は昨年度に中央大学に着任、私と同じ本学文学部ドイツ語文学文化専攻で研究教育に当たっているが、働きぶりも人柄もすばらしい同僚であることを申し添える。
以上の理由により、羽根氏は中央大学学術研究奨励賞を受けるにまことにふさわしいと考え、心から推薦する。
高野 さやか
(たかの さやか)
総合政策学部・准教授
高野さやか『ポスト・スハルト期インドネシアの法と社会:裁くことと裁かないことの民族誌』(三元社、2015年)は、フクム(制定法)とアダット(慣習法)と呼ばれる法現象に注目して、具体的な場面での両者の複雑な相互浸透的関係を描き出し、法人類学でいう多元的法体制の経験的記述についてだけでなく、その理論化についても再検討を試みるものである ○第17回学会奨励賞
○日本法社会学会(日本学術会議協力学術研究団体)
○2016年5月28日
日本法社会学会は日本学術会議協力学術団体のひとつであり、候補者の受賞した学会奨励賞は、法社会学の学問としての活性化と発展のため、若手および中堅の法社会学研究者の優れた研究業績の顕彰を目的として創設されたものである。また本研究業績は、インドネシアにおける長期のフィールドワークに基づいた詳細なエスノグラフィであることに加えて、法多元主義に対する新しい視点を示したものとして高く評価されており、学術研究奨励賞にふさわしいものと考える。