研究

理工学部助教 李 恒らの研究原著論文が『Advanced Sensor Research』誌のBack cover(背表紙)に選定

 本学理工学部電気電子情報通信工学科助教 李 恒らの研究原著論文が『Advanced Sensor Rsearch』誌のFrontispiece(扉絵イメージ)に選定されました。
 詳細は下記の通りです。

〇 論文内容

題  目: Microwave Monitoring by Compact Carbon Nanotube Photo-Thermoelectric Sensors Beyond the Diffraction Limit Toward Ultrabroadband Non-Destructive Inspections
著  者: Qi Zhang, Honghao Li, Ryo Koshimizu, Norika Takahashi, Yuya Kinoshita, Asumi Sano, Junyu Jin, Hiroki Okawa, Yuto Matsuzaki, Daiki Shikichi, Yukio Kawano, Kou Li
掲載情報: Advanced Sensor Research 4, 6, 2400159, 2025.
掲載日
(Back cover):
2025年6月12日
Advanced Sensor Rsearch 4, 6, e70021, 2025.


〇 『Advanced Sensor Research』誌・Back coverについて
 『Advanced Sensor Research』は、Wiley社により刊行される査読付き国際学術誌・科学誌であり、センシングを基軸とする高品質なテクノロジー・サイエンス研究が収録されています。Back coverは同誌の中でも科学的・技術的な観点から特にスポットライトを浴びている論文が選定され、Volume毎に専用のイメージページが設けられます。

〇 李 恒 助教のコメント
 この度の研究ハイライトに際し、身に余る光栄に存じます。「センシングを基軸とするテクノロジー・サイエンス」は、私の研究の根幹を成す領域であります。同分野ならびに本学の研究・教育発信に微力ではございますが引き続き貢献できますよう、上記ハイライトを励みに今後も誠心誠意取り組んでまいります。これまでに取り組んできた内容の成果、そして今後の発展性を高く評価していただいた形になりますが、私1人では決してこの様な栄誉にあずかることはありませんでした。特に本論文は本学の卒業生:張 棋君(研究当時:理工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 修士課程)らが中心となり、弛まぬ努力で結実させてくれた成果となります。河野 行雄先生(理工学部 電気電子情報通信工学科)や産業技術総合研究所・鈴木 大地博士をはじめとする長年にわたる共同研究者の皆様方、また電気電子情報通信工学科の先生方・スタッフ様をはじめ、日頃から校務にてご指導いただいております理工学部の皆様方に改めまして厚く御礼を申し上げます。そして、日々、失敗や困難が続いても、粘り強く積み重ねた創意工夫・強い当事者意識によりしっかりと研究を支えてくださっている当グループの皆様方(学生、技術支援員様、事務支援員様)、最後に最大の支えである家族に心より深く感謝を申し上げます。

○ 研究ダイジェスト
 本論文において、李助教・張氏らはマイクロ波検出器の設計におけるサイズ面でのボトルネックを解消しました。マイクロ波はcm台の極めて長い波長から、一般的に検出器の設計においては巨躯なアンテナ併設が前提となっておりました。マイクロ波へ期待される用途は6G・7Gといった次世代の高速大容量無線通信が主となっていますが、ヒトにとっては不透明な物体への深部にまでおよぶ透視性から、非破壊撮像検査への潜在能力にも注目が寄せられています。非破壊撮像では既存マイクロ波検出器の巨躯な構成は致命的な課題となり、具体的には検出器の集積密度が速度を律速する撮像において、小型・高密度集積への不適性から低速(長時間)撮像が強いられていました。これらの状況に対して、研究グループでは独自に培ったカーボンナノチューブ型センサが単体でマイクロ波検出へ有効である点を見い出し、巨躯なアンテナ併設を要さずに小型センサのマイクロ波検出感度は1,400超(信号対雑音比)へと到達しました。研究グループはカーボンナノチューブ型センサ本来の電極材質・構造が上記挙動の支配的メカニズムである点を特定し、「アンテナ不要な小型センサ」というコンセプトから、マイクロ波検出器における固定概念を覆しました。さらに、研究グループがこれまでに実証してきた赤外・テラヘルツ・ミリ波(マイクロ波に隣接する電磁波帯)での非破壊モニタリング技術と融合させ、世界に先駆けたマイクロ波–赤外センサシートという位置付けを科学的価値・社会応用性の両面から確立しています。

 李助教の研究にご興味をお持ちの方は、下記もご覧ください。