社会科学研究所

「『信頼感』に関する国際会議*(International Conference on Trust)」開催報告

2017年12月04日

所長挨拶 A Greeting by Prof. Miyano, Director of the Institute

【日程  / Date】

    2017年11月18日(土)~20日(月)

    November 18-20, 2017

【場所 / Venue】

    中央大学駿河台記念館

    Surugadai Memorial Hall, CHUO UNIVERSITY

【主催(Organization)】

    中央大学社会科学研究所「社会変動」チーム

  第27回中央大学学術シンポジウム「意識調査チーム」

    Under the auspices by the Institute of Social Sciences, Chuo University

【要 旨】

 中央大学社会科学研究所主催(同研究所「社会変動」チーム並びに第27回中央大学学術シンポジウム「意識調査」チーム)により、2017年11月18日から20日まで世界31カ国から121名の研究者が集い、中央大学駿河台記念館にて「信頼感」に関する研究の国際会議が開催された。

 全体会議では15の論文発表と32の分科会で85の論文発表が行われた。

 初日午前の全体会議では、最初に宮野研究所所長の挨拶があり、その後社会学の重鎮である P.シュトンプカ (ポーランド ヤギェウォ大学教授 元世界社会学会会長)のビデオによる基調講演、経済学・社会哲学で世界的に著名な B.ノートブーム(オランダ ティルブルフ大学教授)、そして最後に、R. バッチマン(ロンドン大学「信頼」研究所所長)の講演が行われた。分科会においては、「組織論」、「経営学」、「文化」、「文化比較」、「エスニックの多様性」、「一般的信頼」、「社会的信頼」、「不信」、「信頼の喪失」、「法」、「犯罪」、「価値観」、「健康」など、さまざまな視点から、信頼との関わりについて活発な議論が交わされた。

 分科会の後、レセプション(参加者約100名)が開かれ、日本太鼓も披露され、和やかな雰囲気のなか、交流を深めた。

 2日目午前の全体会議では、「信頼研究の現状」、「対人関係の信頼と適応」、「ネットワーク分析」、「中国を事例とした社会的・経済的近代化」、「1989年後のチェコ共和国における、市民参加、民主主義の正当性と信頼」について発表が行われた。午後の分科会では、「組織論」、「社会化と青少年」、「経済学」、「政治学」、「地域研究」、「教育」、「ネットワークとソーシャルキャピタル」についての発表があった。終了後には、専門誌Comparative Sociologyの「信頼」の特別号の編集長、Journal of Trust Researchの編集長、そしてロシア科学アカデミーのSociological Studiesの編集長(代理)から本会議で発表した論文についてそれぞれの専門誌(レフリー付き)への掲載に関する募集のお知らせがあった。

 3日目午前の全体会議では、「対人関係における不信」、「アジアの視点から見た中国における信頼」、「ロシアにおける家庭での社会化とその変容」、「英国のメンタルヘルスにおける信頼」、「公共における信頼の新たなアプローチ」、「自発性としての信頼」について発表が行われた。午後の分科会では、「制度」、「消費者」、「信頼の概念とその多様性」、「家族」、「文学で取り扱われる信頼とリスク」についての発表があった。終了後には、前日と同様に専門誌に掲載のための説明があり散会となった。

 本国際会議の特徴的な点は、1)社会科学の多岐にわたる専門分野(社会学、政治学、経済学、経営学、教育学など)の研究者が一堂に会して信頼に関する研究発表を行ったおそらく初めての国際会議であった点 2)5大陸すべてから31カ国の研究者が集まった点 3)本会議での発表と専門誌への掲載を結びつけた点である。

 本会議の参加者からは、プログラムの充実や会議の運営などについての称賛のコメントに加え、今後の研究への指針を得ることができたと感謝のメールが多く寄せられた。

(主催チーム記)

*本会議は日本学術振興会科研費(JP26380701)から一部助成を受けました。