理工学研究所

理工学部教授 鈴木宏明 抗がん剤の効き目をがん細胞ごとに判別する技術の開発に関する記事が日経産業新聞(2016年12月15日付)に掲載されました

2016年12月15日

理工学部教授 鈴木宏明と津金麻実子研究員らが開発した、抗がん剤の効き目をがん細胞ごとに判別できるチップの開発に関する記事が12月15日付の日経産業新聞に掲載されました。

 

 このチップには1cm四方に直径15マイクロメートル、深さ30マイクロメートルの微小な穴が約2,000個開いています。穴のサイズは細胞1個より若干小さい位であり、1つの細胞が1つの穴を塞ぐように接着することができます。

 例えばあらかじめ細胞を穴に接着させ、蛍光標識を付けた抗がん剤をがん細胞に加えます。がん細胞が抗がん剤を細胞の外に排出すると、抗がん剤は微小な穴に溜まっていきます。この排出量を蛍光の強さで測定することで、抗がん剤の効き目の度合いがわかります(排出量が少ないと抗がん剤が細胞内に留まりがん細胞の増殖を阻害する)。

 がん組織は様々な性質を有するがん細胞の集合体であり、それぞれの細胞は抗がん剤の効き目などが異なっています。抗がん剤の効き目を測る手法としては、色々な種類の細胞から培養液に排出された抗がん剤の全体量を測定する方法が一般的であり、個々の細胞に対する抗がん剤の効き目の解析は難しいとされてきました。

 今回開発された新しい計測技術により、さまざまな種類のがん細胞の一分子計測が可能になります。鈴木教授らは、実際の患者から採取したがん細胞を解析することで、個々の患者に適した抗がん剤の選択が可能になると考えています。

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中央大学理工学部精密機械工学科 鈴木宏明研究室