理工学研究所

理工学部生命科学科 教授西田治文、助教ルグラン・ジュリアン :日本経済新聞にて花粉化石の研究成果が掲載されました

2015年09月18日

理工学部生命科学科 教授西田治文、助教ルグラン・ジュリアンらの研究グループの成果が、9月6日付の日本経済新聞25面に掲載されました。

 

花の起源は研究が難しいといわれています。その理由は花の数が少なく、組織も柔らかいため、化石として残りにくく発見が難しいからです。一方、花粉は化石になりやすく量が多く広く分布することから発見されやすく、植物の起源や進化の過程を明らかにするために適しています。

これまでに確認されている中で、世界で最も古い被子植物の化石はイスラエルにある1億3500万年の白亜紀初期の地層で見つかった花粉の化石です。被子植物はそこから急速に世界に広がったと考えられています。しかし、日本などアジア地域では被子植物がどのように始まり、広がったかはわかっていませんでした。このため本研究グループは全国30か所で白亜紀の地層を中心に岩石を採集し、その中の花粉化石を調べています。

その結果、和歌山県の1億2700万年前の地層から日本最古の花粉化石を、また、福井県にある約1億2500万年前の地層から花粉化石を発見し、恐竜の時代に花が咲き始めたことを明らかにしました。日本列島は白亜紀にはアジア大陸と陸続きで、関東から九州まで縦断する巨大地層「中央構造線」より北側にある「内帯」は大陸の北に、南側にある「外帯」は南に位置していました。福井県の化石は内帯、和歌山県の化石は外帯地層から見つかっていますので、被子植物は両方の地域にほぼ同時に入ってきたことを示唆しています。白亜紀には内帯と外帯で気候が違い、植物の組成も異なっていたと考えられています。そんな中で被子植物がどうやって入りこみ、勢力を拡大したのか、イスラエルからアジア、日本への拡散はどのように行われたのか、全容の解明が期待されます。