Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所公開研究会開催のお知らせ(「英国モダニズム文学・文化史研究」チーム)

日程
2026年7月18日(土) 15:30~17:30
場所
津田塾大学千駄ヶ谷キャンパスSA207(JR千駄ヶ谷駅から徒歩1分)
日程
2026年7月18日(土) 15:30~17:30
場所
津田塾大学千駄ヶ谷キャンパスSA207(JR千駄ヶ谷駅から徒歩1分)
内容

デザイン史学研究会 第18回シンポジウム
「住まう」モダニズム、「生きる」モダニズム─文学・デザイン・建築の交錯

 

シンポジウム要旨:

20世紀前半のイギリスでは、文学・建築・デザインといった異なる表現領域が〈モダニズム〉という理念のもとに交錯し、新しい生活様式や空間意識をめぐって活発な実験を展開しました。機能主義や合理主義の思想は、建築のみならず文学の想像力にも浸透し、都市や住まい、身体や共同体のあり方を根底から問い直す契機となりました。本シンポジウムでは、「住まう」「生きる」という行為を切り口として、モダニズムの空間表象を文学・デザイン・建築の横断的視座から再考します。アガサ・クリスティにみるモダン・デザインの受容、イーヴリン・ウォーの両義的な審美主義、ニコラウス・ペヴズナーのモダニズム論、さらにハンガリー出身の建築家エルノ・ゴールドフィンガーの理念と、それに呼応するジョージ・オーウェルやイアン・フレミングの文学的想像力を手がかりに、近代イギリス文化における〈モダニズム〉の光と影を探ります。文学・建築・デザインの交錯を通じて、「モダニズムを住まう」「モダニズムを生きる」という経験の多層性とモダニズムとの距離感の多様性を明らかにすることを目的とします。

 

プログラム

15:30-15:35 開会の挨拶

15:35-16:45 発表(4名)  

(5分休憩)

16:50-17:20 質疑応答  

17:20-17:30 閉会の挨拶 

 

報告者1  菅 靖子 客員研究員(津田塾大学教授) 

テーマ1  アガサ・クリスティにみる「境界(しきい)」のデザイン―「モダニスティック」の可能性 

要旨1    20世紀前半、大陸から渡英したアーティストやデザイナーたちはロンドンで存在感を増しており、「ミステリーの女王」アガサ・クリスティの生き様にも当時のモダニズムのネットワークが反映されていた。探偵エルキュール・ポワロは「超モダンで、非常にアブストラクトで、なにもかもが四角と立体ばかりの」部屋に住んでいたし、クリスティ自身も先駆的なデザイン学校にてノイエ・フォトグラフィを学び、第二次世界大戦中にはモダン建築に住んだ。本発表では、そんなクリスティの作品を、モダニズムを住まう「境界」としてとらえ、その「モダニスティック」な特徴の意味について考えてみたい。

 

報告者2  菊池 かおり 客員研究員(大東文化大学教授)

テーマ2  イーヴリン・ウォーとモダン・デザインの交渉

要旨2     伝統主義の象徴とも位置付けられる作家イーヴリン・ウォーは、必ずしも一貫してモダニズムを否定したわけではない。『ブライズヘッド再訪』ではクライブ・ベルやロジャー・フライのデザイン思想の影響が垣間見える一方、それに対する反省的な批判も描かれる。また、ル・コルビュジエの著作への書評ではその建築原理に一定の理解と関心を示しながらも、『大転落』では大陸の機能主義が孕む非人間性を痛烈なパロディとして描き出す。本発表では、このように両義的な姿勢を見せるウォーに着目し、モダン・デザインをとりまく複雑な交渉を紐解く。そうすることで、戦間期イギリスの矛盾を孕む奥行きのある文化空間に光をあてる。

 

報告者3    近藤 存志 氏(東洋大学教授)

テーマ3   ニコラウス・ペヴスナーにおけるモダニズムの根本精神

要旨3    1933年、設立されてまだ間もない亡命学者支援協議会の助けを得てイギリスに亡命したニコラウス・ペヴスナーは、1936年に『モダン・ムーブメントのパイオニアたち』を出版して、モダン・デザインに関する研究に重大な功績を残した。彼は、20世紀は「大衆が主役」の時代であって、大量生産に適したモダン・デザインは大衆生活の質の向上に資する20世紀に相応しい様式であると主張した。ペヴスナーは自らのこうした考え方の正当性を、中世ゴシック芸術のあり様にまで遡って説明してみせたが、その根底にあった様式観は、19世紀の中世復興主義の精神に強く共鳴したものであった。本報告では、文学の領域をも取り込んで興隆した19世紀イギリスの中世復興主義を手がかりに、ニコラウス・ペヴスナーのモダニズムの根本精神を探ってみたい。
 

 

報告者4 福西 由実子 研究員(中央大学教授)

テーマ4 エルノ・ゴールドフィンガー建築と英文学の交錯―オーウェルとフレミングを手がかりに

要旨4    ハンガリー出身でロンドンに活動の場を移した建築家エルノ・ゴールドフィンガーは、ル・コルビュジエの合理主義的理念に共鳴しつつ、それを英国的都市空間の文脈において再解釈した建築家である。彼の設計したハムステッドの住宅や高層建築は、近代生活の理想と不安、共同体と孤立の緊張を可視化し、社会的議論を呼んだ。本発表では、ジョージ・オーウェル『一九八四年』における全体主義的建築の表象や、イアン・フレミング『007/ゴールドフィンガー』に見られる命名の寓意を手がかりに、モダニズム建築が英文学においてどのように受容され、ユートピア/ディストピア的想像力として変奏されたのかを考察する。建築的理念の社会的受容と文学的転化の過程を通して、文学がモダニズムの光と影をいかに批評したかを明らかにする。

 

デザイン史学研究会 ホームページ

場所:津田塾大学千駄ヶ谷キャンパスSA207 JR千駄ヶ谷駅から徒歩1分)

 


【参加方法】
参加を希望される方は、以下のフォームからお申込みください。
申込フォーム
【申込締切日】2026年7月12日(日)
※ご入力いただいた個人情報は、研究会以外の目的では使用いたしません。

 

【注意事項】

・マスクの着用については個人の判断に委ねることが基本となりますが、3密を回避できない場合はマスクの着用を推奨します。

・手洗い手指消毒などの基本的な感染防止対策にご協力ください。   

参加費

無料

企画実施名義

共催:デザイン史学研究会
主催:人文研チーム「英国モダニズム文学・文化史研究」チーム(責任者:福西 由実子 研究員)