Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「ルソー研究」チーム)

日程
2018年2月22日(木)15:00~18:30
場所
多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室2
日程
2018年2月22日(木)15:00~18:30
場所
多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室2
内容

講 師: 橋詰 かすみ 氏 (一橋大学院社会学研究科博士後期課程)
テーマ: 「ルソー事件後のジュネーヴにおける政治的言説とルソーの表象」
要 旨: 1762年6月にジュネーヴ当局が『社会契約論』と『エミール』を焚書
したルソー事件は、ジュネーヴ市民間の政治対立を顕在化させた。ル
ソーの著作、ならびに「ルソー」という存在は、ジュネーヴの政治に
おいてどのような意味を持ったのだろうか。本報告では、1763年から
1768年の間にジュネーヴで流通したパンフレットを分析することに
よってジュネーヴの思想状況を整理し、その中でルソーについてどの
ように語られているのかを明らかにする。

講 師: 関口 佐紀 氏 (早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程/
日本学術振興会特別研究員)
テーマ: 「ルソーの政治哲学における狂信批判と共同体の情念」
要 旨: 本報告は、ルソーにおける「狂信« fanatisme »」の用語を分析しな
がら、宗教的な情念が国家にもたらす危険性にかんするルソーの診断
およびそれを克服しようとする政治思想からの方途について考察す
る。啓蒙の時代において、蒙昧な狂信は進歩にとっての障壁と考えら
れた。ルソーもまた、狂信を題材としたヴォルテールの戯曲『マホ
メット』に言及しながら、民衆に及ぼす影響という観点から狂信の危
険について語っている。他方で、かれは『エミール』第4篇に付され
た長大な脚註にて狂信と無神論とを比較し、無神論との対比の下で、
狂信に擁護の余地を与えている。本報告は、ルソーに見られる狂信批
判の両義性に着目しつつ、ルソーにおいては狂信の孕む情熱に一定の
有用性が認められていること、そしてそれはとくに政治的共同体に
とって有用な情念と成り得ることを明らかにする。

講 師: 淵田 仁 氏(日本学術振興会特別研究員)
テーマ: 「啓蒙の世紀を生きた山師ルソー:ルソー思想における〈方法〉の
重要性について」
要 旨: とある書簡において、ルソーは自らの作品が〈山師のやり口〉から
成り立っていると吐露していた。つまり、啓蒙の世紀のフィロゾーフ
たちの方法を表面的に模倣することでルソーは自らの言説を作りあげ
ようとしているに過ぎない、というのが彼の自意識であった。ここに
私たちはルソーの軽薄さを読み取るべきだろうか。否、むしろ、ル
ソーは「いかに思考するか」という〈方法〉の問題につねにとらわれ
ていた。それはヴァンセンヌのイリュミナシオンという有名なエピ
ソードにおいても見られるし、自伝の問題とも関係している。そし
て、方法の問題はルソーの人生に関係するだけではなく、啓蒙の世紀
を席巻したフランス経験論哲学の理論的問題とも深く結びついてい
る。以上の問題意識を前提にして本発表では、『人間不平等起源論』
『エミール』そして断章等を読解しつつ、方法に対する山師ルソーの
言説を追うことが、啓蒙主義そのものの再解釈において重要であるこ
とを示す。


                                                          以 上


 

企画実施名義

 

人文科学研究所研究会チーム「ルソー研究」