Eventイベント
人文科学研究所
人文科学研究所主催公開研究会開催のお知らせ(「英文学と映画」チーム)
- 日程
- 2017年3月4日(土)14:00~18:00
- 場所
- 法政大学ボアソナードタワー(BT801)
- 日程
- 2017年3月4日(土)14:00~18:00
- 場所
- 法政大学ボアソナードタワー(BT801)
- 内容
講 師: 秦 邦夫 氏 (青山学院大学准教授)
テーマ: 「デイヴィッド・リーン『オリバー・ツイスト』におけるアダプテーション、福祉国家、人種表象、そして暴力の問題」
要 旨: チャールズ・ディケンズの1838年の小説を原作とするデイヴィッド・リーン監督の映画『オリバー・ツイスト』(1948年)をアダ
プテーション研究の観点から検討する。リーンによる翻案は草創期の
イギリス福祉国家の文脈において、イギリスのナショナル・カルチャ
ーの再提示と同時に、ディケンズ小説の社会批判的側面を継承する二
重の意図をもっていた。だが、皮肉にもこの映画はとりわけ海外(ア
メリカとドイツ)において反ユダヤ主義的との批判を浴び、スキャン
ダルを巻き起こすことになってしまった。本報告ではこの問題の時代
的文脈を整理したのち、特にキャラクター表象と映像技法との関係に
ついてクローズアップ・ショットの用法を中心に分析する。そのねらいは、反ユダヤ的とされたフェイギン表象がはらむ微妙な曖昧性を指摘すると同時に、この具体例をつうじて、文学作品の映像アダプテーションのプロセスが不可避的に帯びる歴史性自体を批評的考察の対象とすることである。講 師: 岩崎 雅之 氏 (早稲田大学文学学術院 非常勤講師)
テーマ: 「ヘリテージ映画としての『インドへの道』のナラティヴ」
要 旨: E. M.フォースターの『インドへの道』(1924)の原作のナラティヴ と、1984年にデイヴィッド・リーンによって映像化された映画のナラティヴの比較を行う。まず、小説『インドへの道』に見られる大英帝
国のイングリッシュネスの変容を帝国的男性性の変化と、それを表象
するフォースターのモダニズム的文体について考察する。続いて、
「ヘリテージ映画」と呼ばれることになったリーンの映像作品が、原
作のどのような側面を「正当な」イングリッシュネスとして継承して
いるのか、そのナラティヴの特性を精査する。その際に注目したいの
が、現代のアイデンティティ・ポリティクスとの関連で前景化される
ことになった、アデラ・クエステッドの扱いである。この比較を通じ、
リーンのヘリテージ映画のナラティヴの特性を明らかにしたい。
- 企画実施名義
人文科学研究所研究会チーム「英文学と映画」