Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所主催「談話会」開催のお知らせ

日程
2015年2月26日(木)15:00~17:00 
場所
多摩キャンパス 2号館4F 研究所会議室1
日程
2015年2月26日(木)15:00~17:00 
場所
多摩キャンパス 2号館4F 研究所会議室1
講師
野呂  正  研究員(理工学部教授)
内容
テーマ:「「コンラッド二題」(『闇の奥』とボルヘスにおけるコンラッド)」

要 旨:ジョウゼフ・コンラッドの「闇の奥」は1899年に発表された。19世紀が終わり、20世紀が始まろうとする時代の変わり目に世に現れたことになる。これは一面においては単なる物理的偶然に過ぎないが、100年以上たった今日から振り返ると何か象徴的な意味合いを帯びてくる。
(1) 作者のコンラッド自身が19世紀においては考えられない経歴を持つ新しい作家であった。
(2) この作品においては前世紀における、地球上の未知の領域への探検に対する熱狂は終わりをつげ, ‘imperialism’ と ‘commercialism’ の侵入と支配がはじまっていた。
(3) 作品の中核をなすのは人間の内面世界の奥底の追及とその表現で、それは新しい世紀の小説の特徴のひとつである。
(4) コンラッドの想像力がこの作品において生み出した人物 ‘Kurtz’は一個の文学的実在として、様々な分野に現れ、多くの人の注目を集め、今日に至っている。
(5) コンラッドの想像力が生み出した文学的実在は ‘Kurtz’のみではない。アルゼンチンの作家ボルヘスは『ブロディ―の報告書』に収められた短編「グアヤキル」の中で『ノストローモ』という架空の世界を現実の歴史として扱っている。

企 画:人文科学研究所研究会チーム「イギリス小説、その伝統と革新」