研究

2014年度

公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2015年3月31日(火)18:00~21:00
場所 日仏会館
講師 司会 三浦信孝(中央大学)、 
樋口陽一氏(日本学士院)     白井聡氏(文化学園大学) 
発題者 山元一氏(慶應義塾大学)、伊達聖伸氏(上智大学)
テーマ 世代間討論「戦後70年を問う:戦後思想の光と影」 

下記の二著をめぐる合評討論会 
・樋口陽一『加藤周一と丸山眞男 日本近代の〈知〉と〈個人〉』平凡社、2014年
・白井聡『永続敗戦論 戦後日本の核心』大田出版、2013年
公開研究会
主催 研究会チーム「芸術と批評」
日時 2015年3月29日(日)14:00~17:00
場所 駿河台記念館360号室
講師 柿木 伸之氏(広島市立大学教授), 石田 麻子氏(昭和音楽大学教授)
テーマ 第一部:講演
柿木 伸之  広島から現代のオペラを創るために──細川俊夫《リアの物語》広島初演の成果と課題
石田 麻子  オペラ公演にみる「公」と「民」の役割――日本のオペラ制作における広島アステールプラザの位置
第二部:ディスカッション(司会:森岡 実穂研究員)
特別ゲスト:細川 俊夫(作曲家)
要旨 本年1月30日、2月1日に細川俊夫のオペラ《リアの物語》が広島で上演された。日本では東京ですら、第二次世界大戦以降に書かれたオペラの上演は多くはない。観客の要望や、それを反映した集客の問題、また演奏上の困難などがその理由として挙げられる。だが、今回主催者のひろしまオペラ・音楽推進委員会は、地元の人的資源を最大限に活用し、また積極的に観客を育てることを通じて、この20世紀末に書かれた名作を高い水準で上演し、二日間の公演をほぼ満席とした。「東京でも難しい」ことがなぜ広島では可能なのか。日本全国で、オペラ上演の幅を拡げ、より豊かな音楽体験を可能とするために、いまどのようなことを考え行動すべきか、今回の《リアの物語》上演から多くを学んでみたい。
前半は、今回の《リアの物語》「上演」を立体的に検討する、柿木伸之氏と石田麻子氏による講演である。
柿木伸之氏からは、十年間ひろしまオペラ・音楽推進委員会の委員を務めてきた視点から、今回の《リアの物語》を可能にしてきたこれまでの活動、地域の音楽家との連携、聴衆の「新しい耳」への啓発などについて詳しいご報告をいただく。
日本全国のオペラ団体、そしてオペラ上演に関する歴史と現状に精通している石田麻子氏は、日本そして世界という大きな「外部」の視点から、ひろしまオペラルネサンスのあり方を一例として、日本のオペラ公演制作における「公」「民」それぞれの役割の変遷を考察する。
後半のディスカッションでは、柿木・石田両氏に加えて、《リアの物語》ほか自作オペラが世界各国の劇場で上演される作曲家細川俊夫氏をゲストに迎え、今回の公演から見る日本のオペラ界、その世界とのかかわり、今後の展望などについて議論を深めていく。日本で、そして日本から、現代のオペラを──「名曲路線」を越えて──創っていく上での課題を明らかにし、その可能性を世界的な視野の中で考える場としたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2015年3月28日(土)13:00~16:00
場所 駿河台記念館620号室
講師 西谷 修 氏(立教大学)  酒井啓子氏(千葉大学)   臼杵 陽氏(日本女子大学)
テーマ 「パリ連続テロ事件と「イスラム国」の衝撃、その後の中東と日本」 
公開講演会
企画 研究会チーム「アフロ・ユーラシア大陸における都市と国家の歴史」
日時 2015年3月19日(木)16:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 陳登武(ちん とうぶ) 氏  (国立台湾師範大学歴史学系教授)
テーマ 「唐代判詞的世界:以白居易〈百道判〉為中心(唐代判詞の世界:白居易の「百道判」を中心に)」
要旨 現存する唐代(618-907)の判詞(判決文)の多くは、宋代以後のような実際の訴訟案件の判決文ではなく、任官や昇進の際の試験問題として課せられた判決文であり、試験の答案ないし受験対策用の習作である。本講演は、このような唐代の判詞の特色を、白居易(772-846)が書き残した百種の判(百道判)を事例に新たな視角から分析する。陳登武教授(国立台湾師範大学博士)は、台湾における唐代法制史研究の第一人者として知られる。
談話会
企画 研究会チーム「都市幻想とその地政学的再構築」
日時 2015年3月16日(月)16:30~
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 菅原 彬州 研究員(法学部教授)
テーマ 岩倉使節団と銀行破産事件
要旨 1872年11月(明治5年10月)、スコットランド巡遊からロンドンへ戻ってきた岩倉使節団を驚愕させたのは、ボールズ兄弟商会銀行とその子会社であるアメリカン・ジョイント・ナショナル・エイジェンシーが破産したというニュースであった。使節団員・留学生を含む欧米滞在の日本人40人以上がその被害に遭った。公金・私金の預金総額は約2万2800£、債権処理の配当金は約4300£であったから、被害総額は約1万8500£に上った。この事件は留守政府にも公信で報告され、被害への応急手当はロンドンの東洋銀行からの借り入れで処理された。使節団員の公私金目当ての預金勧誘にあたったのは、アメリカン・ジョイント・ナショナル・エイジェンシーの社員になっていた長州人南貞助である。南は高杉晋作の義弟であり、国際結婚第1号として知られている。当時の狂歌を例示すれば、「女房を持つか持たぬに分散はミナミに出た錆にぞ有ける」「条約は結び損ひ金は捨て、世間へ大使何と岩倉」などがある。
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2015年3月16日(月)15:30~18:30
場所 駿河台記念館320号室
講師 岡嶋克典(おかじま かつのり)氏(横浜国立大学大学院環境情報研究院、准教授)
テーマ 物体経時変化と食品認知における視覚情報の役割と処理過程
要旨 質感は、外界の物体属性を得る際に重要な手がかりを与える感覚情報の1つです。私たちは視覚情報から、物体の材質(金属、ゴム、食品等)に関する情報を得るだけでなく、自然物(野菜や肌)や人工物(建築物や紙、金属プレート、布等)を見るだけで、その物体の「時の流れ」すなわち「経時変化」を感じ、どのくらい古いかまで容易に判定できます。特に人工物の場合、出来上がり当初における新しい状態の視覚情報と比較しなくても、今の状態(視覚情報)だけからその物体の「経時変化」を脳が推定できることを示唆しています。
今回、自然物(野菜・食品・肌)の経時変化推定に輝度分布情報が手がかりとして使われていることを示し、人工物の経時変化推定には色情報も大きく関与していることを示します。また、質感のクロスモダリティー効果の1つとして、AR(拡張現実感)を用いた食品の見えの質感という視覚情報が食感や味覚に与える影響についても紹介します。
公開研究会
主催 研究会チーム「性と文化」
日時 2015年3月15日(日) 14:30~17:30
場所 駿河台記念館570号室
講師 長島 佐恵子 研究員(法学部准教授)
テーマ 1930年代の英国小説に描かれた女性同士の関係を読む
要旨 本報告では主に1930年代に英国の小説において、女性同士の親密な関係がどのように表象され、それが社会文化的な文脈とどのように関わっていたのかを考えます。具体的なテクストとしてエリザベス・ボウエンの作品をいくつか取り上げ、当時のセクシュアリティ理解や文学におけるモダニズムの流れと関連づけた読解を示して議論につなげたいと思います。 
談話会
企画 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」
日時 2015年3月11日(水)17:00~
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 宇野 茂彦 研究員(文学部教授)
テーマ 漢文化よもやま話
要旨 漢籍との出会いから始まって、なにゆえに漢学を学ぶようになったのか。その後、台湾や大陸に旅行して現実のシナを見て感じたこと、漢文化の特性、衣食住のこと、漢字の利点と欠点、讀書を通じて得た学問観などについて、思いつくままに放談しようと思う。
談話会
企画 研究会チーム「モダニズム研究」
日時 2015年3月7日(土)15:00~
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 小菅 奎申 研究員(法学部教授)
テーマ Sorley MacLeanとモダニズム
要旨 20世紀のゲール語詩壇を代表する詩人 ソーリー・マクリーン(1911-1996)は、1930年前後に詩を書き始めた。したがって、いわゆるモダニズムは既に時代の空気であったはずであり、実際、学生時代の彼は、エリオットやパウンドに関心をもっていたらしい。1934年、彼は、19歳年長の詩人で、モダニズムに敏感な反応を示していたスコッツ語詩人 ヒュー・マクダーミッドと出会い、二人の交友関係はマクダーミッドが没する1978年まで続くが、これによって、彼をめぐるモダニズムの空気はさらに濃さと近さを増していたことだろう。他方、彼が詩の言語として意識的に選び取った母語(ゲール語)は、その存続自体が危ぶまれていた点で英語やフランス語とは似ても似つかぬ状況にあった。しかも、ゲール語およびゲール語を母語とする人々の社会をそこまで追いつめたのは、まさに西欧近代なのであった。では、ソーリー・マクリーンはモダニズムをどのように見ていたか、モダニズムは彼の詩作にどのような形で表れているのか?――本報告は、これらの問いを導きの糸とするゲール語詩考、モダニズム考の試みである。
公開研究会
主催 研究会チーム「十七世紀の英詩とその伝統」
日時 2015年3月7日(土)15:00~
場所 2号館4F 研究所会議室3
講師 金子 雄司 客員研究員(中央大学客員研究員)
テーマ 編纂者ニコラス・ロウ (1709)―― 近代シェイクスピア編纂本への遺産
要旨 ニコラス・ロウ (Nicholas Rowe 1674-1718) が編纂者となって1709年にシェイクスピア全集を出版した。近代的編纂本の嚆矢である。8折り版6巻本のこの全集は好評を得て、1714年には更に小さな12折り版(いわゆる、四六版)8巻本として第2版が出版された。版元トンスンの経営手腕もあって、18世紀英国ではロウ版以降、20種以上のシェイクスピア全集本が出版されることになる。
1623年にシェイクスピア作品集成が2折り版(ファースト・フォリオ)という形で出版されてから約90年経った英国において、シェイクスピアはどのように受容されていたのかを、ロウ全集の特徴を検証しながら、書物 (the book) としてのシェイクスピア出現の事情を論じたい。この関連で、1709年に制定された著作権法は翌1710年4月から施行されたことは注目に値する。ミルトン『失楽園』およびシェイクスピア作品の出版権を版元トンスンが18世紀の大半に渡り独占していた事実は、ある意味で、書物としてのシェイクスピア受容を決定づけたからである。ゆえに、ロウ全集本は近・現代の偶像崇拝の対象としてのシェイクスピア誕生に寄与したと考えられる。
談話会
企画 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2015年3月4日(水)17:30~18:40
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 三浦 信孝 研究員(文学部教授)
テーマ 言語の三角測量:ルソー・兆民・カント
要旨 社会科学の翻訳では言語から直接翻訳することが重要である。カントはルソーの著作を原文で読み、兆民は『社会契約論』を原文から漢訳している。ではルソーの共和国論と永遠平和論はカントと兆民によってどう読まれているのか。思想の伝播において翻訳は重要な役割をはたすが、言語の違いによって翻訳には必ずズレが生じる。そのズレを精査するとそれぞれの哲学者の思想の違いがわかるのではないか。
公開研究会
主催 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2015年3月4日(水)16:00~17:20
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 中村 博雄 氏(長野工業高等専門学校一般科教授)
テーマ 「フリートレンダー/ミュノーナのカント論とカントの永遠平和論」
要旨 亡命先のパリで不遇のまま没し、完全に忘れ去られていたユダヤ人作家Salomo Friedlaender/Mynona(1871-1946)の再評価がドイツで始まり、すでに全集(全38巻)が16巻まで刊行されている。彼は、生涯、自らを「真のカンティアン」と呼んでいた。研究会では、この異色の作家のカント論を基にカントの永遠平和論の今日的意義を再検討してみたい。 
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2015年2月28日(土)16:30~18:00
場所 3号館3913号室
講師 藤崎 和香 氏(産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門、主任研究員)
テーマ 多感覚による質感知覚
要旨 物体の材質についての情報は、視覚だけでなく聴覚など多くの感覚から得られる。例えば視覚的には、物体の見た目からそれが硝子なのか金属なのかそれとも木なのかといったことを判断できる。同様に聴覚的にも、例えばその物体が叩かれた時の衝撃音を聴くことで、叩かれた物体が金属なのか硝子なのか木なのかといったことを判断できる。
本講演では、このような質感知覚の多感覚性に焦点をあてて、主に、最近、講演者らが報告した2つの論文について、デモを交えながら紹介する。1つめは物体の材質知覚における視聴覚情報統合の論理について(Fujisaki, Goda, Motoyoshi, Komatsu & Nishida, 2014, Journal of Vision )、2つめは視覚、聴覚、触覚による木の質感知覚特性について(Fujisaki, Tokita, & Kariya, in press, Vision Research)である。材質カテゴリー判断と材質特性知覚における視聴覚統合の論理の違いや、異なるモダリティで同じ物体の質感を判断した時のモダリティ間の一致性、低次質感知覚(光沢感、音の高さ、なめらかさ等)と高次質感認知(高級感、快適性、本物感等)との関連性、といったトピックについて議論させていただければと考えている。
談話会
企画 研究会チーム「イギリス小説、その伝統と革新」
日時 2015年2月26日(水)15:00~
場所 2号館4F 研究所会議室1
講師 野呂 正 研究員(理工学部教授)
テーマ 「コンラッド二題」(『闇の奥』とボルヘスにおけるコンラッド)
要旨 ジョウゼフ・コンラッドの「闇の奥」は1899年に発表された。19世紀が終わり、20世紀が始まろうとする時代の変わり目に世に現れたことになる。これは一面においては単なる物理的偶然に過ぎないが、100年以上たった今日から振り返ると何か象徴的な意味合いを帯びてくる。
(1) 作者のコンラッド自身が19世紀においては考えられない経歴を持つ新しい作家であった。
(2) この作品においては前世紀における、地球上の未知の領域への探検に対する熱狂は終わりをつげ, ‘imperialism’ と ‘commercialism’ の侵入と支配がはじまっていた。
(3) 作品の中核をなすのは人間の内面世界の奥底の追及とその表現で、それは新しい世紀の小説の特徴のひとつである。
(4) コンラッドの想像力がこの作品において生み出した人物 ‘Kurtz’は一個の文学的実在として、様々な分野に現れ、多くの人の注目を集め、今日に至っている。
(5) コンラッドの想像力が生み出した文学的実在は ‘Kurtz’のみではない。アルゼンチンの作家ボルヘスは『ブロディ―の報告書』に収められた短編「グアヤキル」の中で『ノストローモ』という架空の世界を現実の歴史として扱っている。
公開研究会
主催 研究会チーム「歴史学と文化遺産」
日時 2015年2月13日(金)15:00~16:30
場所 3号館7F 文学部日本史学専攻演習室
講師 白根 靖大 研究員(中央大学文学部教授)
原 美鈴 準研究員(中央大学文学研究科博士課程後期課程)
テーマ 宮城歴史資料保全ネットワークにおける歴史資料保全活動
要旨 東日本大震災は歴史資料や文化財にも甚大な被害を与え、各地で歴史資料や文化財の救援活動が行われてきたが、こうした活動は一過性のものではない。本報告では、震災の年以降、報告者が宮城歴史資料保全ネットワークの歴史資料保全活動に参加した体験を通し、歴史資料保全活動のあり方などについて考え、幅広く議論する契機としたい。
公開研究会
主催 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2015年2月4日(水)15:00~19:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 (1)田口 卓臣 氏(宇都宮大学国際学部准教授)
(2)川上 洋平 氏(慶應義塾大学法学部非常勤講師) 
テーマ (1「啓蒙の炸裂――ディドロから思想史へ」
(2)「反革命と神――ジョゼフ・ド・メーストルにおける神義論と政治」
要旨 (1)科学思想史の古典とみなされてきたディドロの『自然の解明に関する断想』。この作品の言葉の運動に着目することで、合理主義とも経験主義とも異なる「啓蒙」の複線的な可能性を描き出す。『思想』連載論文の紹介に加え、未発表論文の概要も発表する予定。 
(2)反革命の代表的思想家メーストルの政治思想について、その秩序構想の基底にある神義論的思考を、初期のルソー批判を題材に明らかにする。その際、同時代の保守主義との相違や、悪名高い戦争論についても考察を加える。 
公開研究会
主催 研究会チーム「島と港の歴史学」
日時 2015年1月31日(土)13:00~16:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 (1)国木田 大 氏(東京大学助教)
(2)及川 穣氏(島根大学准教授)
テーマ (1)先史時代における環日本海北部地域の文化交流と社会変容
(2)隠岐諸島産黒曜石の利用からみた先史時代の日本海域交流
要旨 (1)環日本海地域北部における先史時代の文化交流と社会変容に関して発表を行う。本地域では、縄紋/新石器時代の石刃鏃石器群、続縄文/古金属器時代、オホーツク文化の時期に明瞭な交流が確認されている。本講演では、文化交流や変遷に関して、近年の日露共同考古学調査や、自然科学分析の具体例を挙げ紹介してみたい。

(2)本発表では、島根県隠岐諸島島後に産出する黒曜石の利用状況に着目し、日本海域の人々の交流について取り上げる。
まず、島内の黒曜石の産出状況と地質学的な特徴について取り上げ、原産地の状況を紹介する。
次に、山陰地域を対象として、旧石器時代から縄文時代、そして弥生時代8と通時代的に黒曜石原産地の開発状況と周辺地域での石器への利用状況を捉え、各時代・時期の交流の特質にせまる。
公開研究会
主催 研究会チーム「英文学と映画」
日時 2015年1月24日(土)14:00~17:00
場所 法政大学ボナソワードタワー19階D会議室
講師 安藤 エレナ 氏(中央大学非常勤講師)
テーマ ‘Exotic Strangers in British Film: Symbols of Change and Enrichment’
要旨 Although the theme of an ‘exotic other’ is a much more notable trend in literature, a plot-line when an ‘exotic stranger’ comes to ‘rescue’ the main character from the tedium and dreariness of their life occasionally appears in British film – in both drama and comedy. This theme does reveal certain cultural trends reminiscent of the colonial ethos.
The speaker will discuss and illustrate the theme of the foreign ‘other’ in some British films, such as Birthday Girl and Ladies in Lavender. The audience will be invited to discuss the parallels with exoticism and contribute their ideas on ‘otherness’ in the films mentioned during the talk or any other examples of cultural representations of otherness and foreignness.
公開研究会
主催 研究会チーム「コミュニケーション力の総合的研究」
日時 2015年1月17日(土)15:30~17:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 佐藤 文子 客員研究員 
テーマ コーパス分析を使用したライティング指導
要旨 第2言語習得の過程で、作文指導、特にアカデミックライティング指導においては、構成、論理性、文法、表記方法などが課題となるが、本発表では、意味論の視点から語彙使用の課題を論じたい。コーパスを使って、より「適切な」表現方法について学生の意識を高める方法を提案し、また、それが学生の英語発信力向上につながることを探る。
公開講演会
企画 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2015年1月15日(木)16:40~18:40
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 ガブリエル・ラディカ氏 (ピカルディー・ジュール・ヴェルヌ大学准教授)
テーマ ジュリーは完璧主義者か?『新エロイーズ』における道徳」
要旨 クラランの「失敗」はジュリーの悲しみのせいであるとされてきたが、そうした分析では女主人公の変容と時の経過の意味が抜けおちてしまう。『新エロイーズ』は個人の変化と個人的アイデンティティの関係を理解する特権的な場となっている。
公開研究会
主催 研究会チーム「ミドルブラウ文化研究会」
日時 2015年1月11日(日)14:00~18:00
場所 駿河台記念館570号室
講師 (1)見市 雅俊 研究員
(2)近藤 康裕 客員研究員(慶應義塾大学専任講師)
テーマ (1)ミドルブラウはどこに住むか?-両大戦間期における住宅革命
(2)労働者階級の歴史からミドルブラウを考える
要旨 (1)両大戦間期、イギリスでは、文字通りの「住宅革命」がおこりました。その中心をなす、郊外の「セミ・ディタッチ」、およびそこの住民の主流をなす「下層中流階級」について、さらに、建築上のモダニズムをはじめとする「ハイブラウ」陣営からの郊外批判について、「ミドルブラウ」論の観点から概観することにします。                                      (2)イギリスの歴史家Selina Todd著_The People: The Rise and Fall of the Working Class 1910-2010_を読むことをとおして、20世紀イギリスにおける労働者階級観の概略を掴み、労働者階級がどのようにして「人びと」とみなされるようになったのか、イギリス人の多くが自分たちを労働者階級であるとみなしているのはどうしてなのかを考えながら、ミドルブラウをこれまでとは違った位相から論じるきっかけとしたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2015年1月9日(金)16:00~17:30
場所 駿河台記念館510号室
講師 郷田 直一 氏(生理学研究所感覚認知情報研究部門、助教)
テーマ 長期的な視触覚経験が視覚野の情報表現に与える影響
要旨 我々は、日常的に、複雑な視覚入力から金属、石、木など、物体の素材を瞬時に認識し、適切に行動を選択している。我々の研究グループはこのような素材の視覚認識が脳においてどのように実現されているのかをfMRI 実験により明らかにする研究に取り組んでいる。これまでの研究により、素材の視覚認識には脳の腹側視覚経路が関わっており、さらにこの高次視覚野は、素材の視覚的情報に加え、硬さや重さといった一部の触覚的情報をも表現している可能性が見出されている。このような多感覚的な脳表現はどのようにして形成されるのであろうか?素材の硬さや重さといった触覚的特徴は本来視覚情報のみから得られるものではない。一つの考えは、長期にわたる、日常的な視触覚経験を通して、様々な素材の視覚的特徴と触覚的特徴との連合が学習され、その結果として、多感覚的な素材情報表現が高次視覚野において形成されるというものである。本講演では、このような考えを支持する我々の最近の研究について紹介する。
公開研究会
主催 研究会チーム「性と文化」
日時 2014年12月21日(日)14:00~18:00
場所 駿河台記念館570号室
講師 井芹 真紀子氏(東京大学大学院生)
テーマ 「超えることのできない断絶」としての〈身体〉ーFélix González-
Torresにおける「病」と「死」
要旨 本報告では、自己の物理的生存を脅かすような「病む身体」の経験を、80年代エイズ・アートの系譜に位置づけられるFélix González-Torresの作品を手がかりに考える。80年代のエイズ危機は(身体)境界の侵犯や越境という、クィア理論がその成立当初からとってきたひとつの方向性の起点となる一方で、それは痛みや急激な衰弱を伴う「病」の経験であり、また「死」の共有(不)可能性がもたらす「超えることのできない断絶」として現れる〈身体〉の経験だったのではないだろうか。身体境界や感情/感覚、衰弱(infirmity)と時間性など、様々な観点から議論を行いたいと思っています。
公開研究会
主催 研究会チーム「英文学と映画」
日時 2014年12月20日(土)14:00~17:00
場所 駿河台記念館330号室
講師 末廣 幹氏(専修大学教授)
テーマ 「‘I’m willing to tell you. I’m wanting to tell you. I’m waiting to tell you’ ―『ピグマリオン』の映画化と〈映像〉が語る物語」
要旨 本発表では、ジョージ・バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』を取り上げ、1938年の映画版と1964年の映画『マイ・フェア・レイディ』を、文字テクストの異同よりもむしろ映像としての特徴―ミザンセン(舞台設定、衣装など)とカメラ・ワーク(フレーミング、被写界深度など)―に注目しながら、比較検討したい
公開研究会
主催 研究会チーム「地域史研究の今日的課題」
日時 2014年12月20日(土)16:00~18:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 高木不二(タカギフジ)氏(大妻女子短期大学名誉教授)
テーマ 「幕末維新期のアメリカ留学-横井左平太を中心に-」
要旨 ペリー来航に刺激され、海外を実見しようとした青年は少なくない。肥後(熊本)藩の横井小楠の甥であった横井左平太は、越前藩の政治顧問となった小楠の薫陶をうけ、弟の大平とともに密航して米国へ向かった。今回に報告は、左平太のアナポリスの海軍兵学校入学を中心として、幕府崩壊後の帰国、新政府への出仕など、その足跡を追求する。
公開研究会
主催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日時 2014年12月19日(金)18:00~19:30
場所 2号館4F 研究所会議室3
講師 成田 雅彦 氏(専修大学教授)
テーマ ホーソーン文学と個人主義の宿痾
要旨 『緋文字』の作家として名高いホーソーンの文学は、時にその曖昧性によって我々の理解を阻む。そのテーマも見えにくい。人間の罪という普遍的なテーマは、確かにこの作家の重要な関心事である。しかし、ホーソーン文学は、罪の問題を越えて多様な、一見脈絡のない作品群を織り成した。それをどう読み解けばよいのか。その手掛かりとして、アメリカ革命から十九世紀を通じて人々に刻印されていくアメリカ的個人主義の精神を補助線とし、『緋文字』や代表的短編を読み直してみたい。
公開研究会
共催 文学部、研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2014年12月17日(水)15:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室4
講師 キャロル・グラック 氏(米コロンビア大学教授)
討論者 吉見 義明 氏(中央大学商学部教授) 
通訳 松本 悠子 氏(中央大学文学部教授)
テーマ 国際世論は従軍慰安婦問題をどう見ているか
要旨 本学の吉見義明教授著の『従軍慰安婦』(岩波新書、1995年)は、 Yoshiaki Yoshimi, Comfort Women: Sexual Slavery in the JapaneseMilitary During World War II
としてコロンビア大学出版から2000年に英訳出版されている。本講演会ではアメリカの高名な日本近現代史家キャロル・グラック教授からアメリカを中心とする国際世論は従軍慰安婦問題をどう見ているかについて報告いただき、吉見教授と討論していただく。
公開研究会
共催 文学部(主催)、研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2014年12月15日(月)18:30~20:30
場所 日仏会館
講師 キャロル・グラック氏 (米コロンビア大学教授)
テーマ After the Shipwreck: New Horizons in Historywriting
「戦後70 年:日本近現代史の新しい地平」 
公開研究会
主催 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」
日時 2014年12月13日(土)15:00~17:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 座小田 豊氏 (東北大学大学院文学研究科教授)
テーマ 「私」と「私」の間に―「彼方への眼差し」を可能にするもの―
要旨 それを確証することが簡単ではないことにも、たとえばデカルトの「cogito, ergo sum.」の循環のことを思えば、すぐに気づくであろう。この報告では、むしろ「私」と「私」の間にある差異の方に着目し、そこに(そこから)何が見えてくるのかを考えてみたい。テキストは主にヘーゲルの『精神現象学』である。その主人公と目される自然的意識もしくは自己意識の生動性がどのようにして生じるのか、なぜ意識の展開が起こるのか、彼のイェーナ時代の体系構想にもあたりながら、「私」と「私」の間にあるものの可能性を尋ねてみる。
公開研究会
主催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日時 2014年12月12日(金)15:00~16:30
場所 文学部3551号教室
講師 Anna Johnston(アナ ジョンストン)氏 ( タスマニア大学准教授)
テーマ ポストコロニアルにおけるトラベル・ライティング
要旨 気鋭の英文学研究者アナ・ジョンストン氏の守備範囲は、植民地時代のノン
フィクションから現代小説までを網羅しているが、本研究会ではジョンストン氏の研究の中心的なテーマのひとつである「トラベル・ライティング」に絞って、特に豪州におけるポストコロニアルにも言及して、お話をしていただく予定。
公開研究会
主催 研究会チーム「アフロ・ユーラシア大陸における都市と国家の歴史」
日時 2014年12月10日(水)15:30~17:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 孫 英剛 氏(復旦大学副教授)
テーマ 武則天の七宝-仏教転輪聖王の図像・符号およびその政治意義-(中国語原題「武則天的七宝-仏教転輪王的図像、符号及其政治意涵-」
要旨 本講演は、武則天(周王朝皇帝 在位690-705年)が、中国史上で唯一の女性の皇帝となり、唐に替わって周を建国することのできた思想的背景を、新たな角度から論じる。従来の研究では、武則天を弥勒菩薩の転生とする思想の流布が一定の役割をはたしたことが指摘されてきた。本講演では、古代インド思想に起源をもつ理想の王者を描く転輪聖王思想こそが、武則天の権力掌握の理論的論拠となったことを、多数の史料にもとづき論証する。孫英剛氏(プリンストン大学博士)は、中国の新世代を代表する学者の一人である。
公開研究会
主催 研究会チーム「モダニズム研究」
日時 2014年12月6日(土)13:00~16:00
場所 駿河台記念館310号室
講師 真鍋 晶子氏(滋賀大学教授)
テーマ エズラ・パウンドのモダニズム
要旨 (paradise terrestre)」を見たいと思います。
パウンドの『詩篇』には、漢字、能からの抜粋など東洋、日本のものがちりばめられています。パウンドは、明治初期に、お雇い外国人教師としてボストンから東大へやって来て、1908年ロンドンで急死したアーネスト・フェノロサが残した遺稿を通して東洋、日本を知り、それを自らの文学世界に融合しました。1915年前後にパウンドが秘書を努めていたアイルランドの詩人・劇作家イェイツは、象徴主義やリアリズム演劇に行き詰まりを感じていました。イェイツはパウンドを通じて、日本の能を知り、新しい演劇を生み出しました。このような、英米モダニズムにおける「日本」の意味についても紹介します。
また、パウンドを一生師匠として尊敬し敬愛し続けたヘミングウェイの文学原理とパウンドとの共通性も見逃せません。
このようにパウンドを中心におけば、英語圏のモダニズム文学の縮図が見えてきます。
パウンドのモダニズム文学に対する功績、斬新かつ世界文学の伝統にのっとった詩人パウンドの展開する詩世界、さらに日本がモダニズムにもたらしたことを検討することで、英米愛モダニズム文学を鳥瞰し、それと同時に、緻密なパウンドの詩の言葉を細かく読むことで、パウンドの言葉に誘われて広大深淵な世界をご一緒に旅させていただきたいと思います。
公開研究会
主催 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2014年12月3日(水)15:00~19:00
場所 2号館4F 研究所会議室4
講師 (1)井関 麻帆 氏(白百合女子大学言語・文学研究センター研究員)
(2)淵田 仁 氏(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程) 
テーマ (1)「ルソー書簡にみる父親像の変遷― 怒りから賞賛へ ―」
(2)「ルソーと歴史〔物語〕の諸問題」 
要旨 (1)ルソーにとって、父親イザックはどういう存在なのか。近年、ルソーの思想を理解する上で、書簡の重要性が再認識されつつあるが、父親に関係する書簡も例外ではない。怒りに満ちた父親宛の書簡から、父親の死後「善良で徳高い父」と賞賛する知人宛の手紙へと、ルソーは対照的な父親像を提示するに至る。この変遷を手掛かりとして、ルソーの諸作品を貫く思想「根本原理」の生成と、父親との関係を解き明かしたい。
(2)「歴史histoireを記述すること、物語histoireを述べること。この行為には、多くの前提を必要とする。例えば、どの事実を語るか、何を省略するか、複数の事実をどう接続するか、誰に向けて語るのか。人間の歴史、自己の歴史といった語りを実践してきたルソーにとって〈歴史を語るraconter l’histoire〉とはいかなる知的営為だったのだろうか。この 
問題圏を明確にすることで啓蒙の哲学を再考するが本発表の課題となろう。」
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2014年11月29日(土)15:00~18:00
場所 3号館9F 3913号室
講師 松下 戦具 氏(大阪大学人間科学研究科助教)
テーマ 輝度勾配を持つ静止画が動いて見える錯視と眼球運動
要旨 輝度勾配を持つパッチを系統的に配置すると,それが静止画であるにも関わらず運動を知覚させる。この種の錯視はサッカードの後に強く生じるな ど,眼球運動との関連が古くから指摘されている。しかし,なぜ眼球運動が錯視を生じさせるのかという詳細なメカニズムに定説はまだない。そのメカ ニズム解明の手始めとして我々は,輝度勾配の方向とサッカードの方向とを系統的に操作し,その錯視量を測定した。その結果,サッカードの方向と輝 度勾配の方向の組わせには選択性があることが明らかになった。次に我々は,継時対比で誘発される残像にも錯視的運動が 観察されるかを調べた。その結果,残像に置いても十分な錯視的運動が観察され,少なくとも残像においては必ずしも網膜上の運動は必要な いことが示された。 これらの知見とともに,輝度勾配を持つ静止画が動いて見える錯視の生起メカニズムが議論される
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2014年11月27日(木)16:00~
場所 2号館4F 研究所会議室4
講師 (1)樋口 陽一 氏(日本学士院会員)
(2)松本 礼二 氏(早稲田大学教授)
テーマ (1)「ホッブスとシュミット」
(2)「ホッブスと近代自由主義」
要旨 「3・11」から3年、来年戦後70年を迎えるいま、日本は大きな曲がり角にある。 
解釈改憲と安保法制化によって戦後民主主義は葬り去られるのか。 
「危機」に対する「知」の対応について憲法学者と政治思想史家による報告と討論を行う。
公開研究会
主催 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2014年11月19日(水)15:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室3
講師 古城 毅 氏 (学習院大学法学部教授)
テーマ バンジャマン・コンスタンのルソー解釈の再検討――エルヴェシウス、ゴドウィン、市民宗教論、多神教論などとの関連において―
要旨 「バンジャマン・コンスタンは、青年期に傾倒したエルヴェシウスやゴドウィンとの関係、および彼のライフワークであった多神教論との関係において、ルソーの『社会契約論』、とりわけその市民宗教論・古代論をどのように解釈したのか。その検討を通じて、文明、宗教、政治制度の関係について考察する。」
公開講演会
企画 共同研究チーム「世界史における「政治的なもの」」
日時 2014年11月19日(水)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 張 栄強(ジャン ロンチャン)氏(北京師範大学歴史学院教授)
テーマ 新出文献と漢唐間の戸籍制度研究
要旨 近20年、漢唐間の籍帳文書の出土が相次ぎ、その構成や発展過程について、一層の考察を加えることが可能になりつつある。張栄強教授はこの方面の第一人者として、2010年に『漢唐籍帳制度研究』を発表した。本講演では、同書で披瀝された自説を見直しながら、籍帳研究の最新成果について紹介する。
公開研究会
主催 研究会チーム「歴史の中の「個」と「共同体」-社会史をこえて」
日時 2014年11月4日(火)13:00~15:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 飛鳥馬 一峰 準研究員
テーマ 中世における「教皇領」の変遷:ローマ教皇(庁)の領域意識と政策」
要旨 ローマ教皇を国家元首とする世界最小の独立国バチカン市国が現在のような形態になったのは20世紀になってからのことであり、それ以前にローマ教皇は「教皇領」として中部イタリアにおいて広大な領域を有していた。本報告では中世におけるこの「教皇領」と教皇(庁)の領域意識の変遷を「ピピンの寄進」から14世紀頃まで概観する。その上で教皇(庁)の領域意識と「教皇領」政策との関連性について、特に13世紀前半の教皇に焦点を当て検討する。
公開研究会
共    催 日仏会館,研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2014年10月24日(金)18:00~20:00
場所 日仏会館ホール
講師 樋口陽一氏(日本学士院会員)
オリヴィエ・ボー氏(パリ第2大学教授)
テーマ ルネ・カピタンの知的遺産:共和国・憲法・ルソー 」
要旨 第二次大戦中レジスタンスに参加したルネ・カピタン(1901-1970)は、1944年パリ解放後ドゴールを首班とする臨時政府で文部大臣、1968年5月革命から翌年のドゴール引退まで司法大臣をつとめた「左のゴーリスト」。アルジェリア戦争中の1957年に日本に「亡命」し日仏会館のフランス学長を務めたのは、アルジェリア人の教え子の弁護士がフランスの官憲に殺されたことに抗議してパリ大学での講義を中止したのがきっかけである。 
ルネ・カピタンは、1960年から2年間パリ大学に留学した若き憲法学徒・樋口陽一の学問・思想上の師であり、現代フランスの代表的憲法学者オリヴィエ・ボーは、直接カピタンの謦咳に接した世代ではないが、カピタンの憲法思想を掘り起こすため、戦前の論文を集めてEcrits d’entre-deux-guerres (1928-1940) と Face au nazisme. Ecrits
1933-1938 の二書を2004年に刊行している。
公開研究会
主催 研究会チーム「モダニズム研究」
日時 2014年10月18日(土)15:00~18:30
場所 後楽園キャンパス6号館4F 6413号室
講師 (1)小菅奎申 研究員
(2)南映子 研究員
テーマ 読詩会
要旨 (1)スコットランド・ゲール語による詩歌が、はたして本研究会の趣旨に合うのかどうか、定かではないが、ゲール語がどういう手触りの言語であり、その詩歌がどういう佇まいをしているかということを紹介させていただきたいと思う。山に寄せて詠まれた、趣の異なる詩歌を18世紀、19世紀、20世紀から各1篇ずつ、即ちダンカン・バーン・マッキンタイヤの「ベン・ドーライン頌歌」、ジョン・マクラハランの「ベン・ヒアンタに向かって」、ソーリー・マクリーンの「クーリン」の3篇である(――「ベン・ドーライン頌歌」とクーリン」は長大な作品なので、さわりの部分だけにとどめざるを得ない)。(スコットランド)ゲール語について一言した後、それぞれの詩歌を口誦し、詩人と作品に関して手短なコメントを添える。
(2)どんな分野であれ、革新が打ち出されるときには先行するモデルが意識されるのが常である。今回は、「川」という共通の主題をもつ、三つの異なる時代に書かれた四篇の詩を紹介する。メキシコで近代詩(poes a moderna)が書かれるようになるまでの流れを、それに先立つモデルニスモ(modernismo)、ロマン主義(romanticismo)の詩へと遡ってたどり、新しい世代が乗り越えようとした「古い」モデルの特徴を確かめてみたい。とりあげる詩人は、時代の新しい順にハビエル・ビジャウルティア、ハイメ・トーレス=ボデット(近代詩のあり方を模索した世代)、マヌエル・グティエレス=ナヘラ(モデルニスモの詩人)、イグナシオ=マヌエル・アルタミラーノ(ロマン主義の詩人)である。
公開研究会
主催 研究会チーム「新しい外国語教育のあり方」
日時 2014年10月17日(金)17:00~19:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 (1)韓 応飛(カン オウヒ) 氏(商学部 兼任講師)   (2)曽根田 憲三(ソネダ ケンゾウ) 氏(相模女子大学教授)
テーマ (1)「中国の政権が使う中国語と民主化運動の中国語」
(2)「映画を教材とした英語教育」
要旨 (1)体制側の中国語彙と民主化運動の語彙を比較し、中国の動態を考える。
(2)“Frozen“など注目されている映画を教材とした英語教員の事例を紹介する。
公開研究会
主催 研究会チーム「ミドルブラウ文化研究会」
日時 2014年10月12日(日)13:00~18:00
場所 駿河台記念館360号室
講師 (1)小川 公代氏(上智大学准教授)
(2)松本 朗客員研究員(上智大学准教授)
(3) 秦 邦生客員研究員(津田塾大学准教授)
テーマ 1)「保守性」と「批判精神」の矛盾――オースティンと“ポスト”フェミニズム
(2)Alison Light, Forever England: Femininity, Literatureand Conservatism between the Wars (London: Routledge, 1991), Chapter 3に関する報告
(3) Alison Light, Forever Englandの第四章
要旨 (1)ミドルブラウ文化を特徴づける精神が「大衆性」と「教養主義」のハイブリッドだとすれば、「保守」と「批判精神」という矛盾を孕んだオースティンの『自負と偏見』は格好の分析対象となる。また、翻案作品『ブリジット・ジョーンズ』にもみられる保守的傾向を、ファルーディの「バックラッシュ」という鍵概念を手がかりに考察したい。
(2)Lightは、1930年代末期にTimes紙に連載されたJan Strutherによる小説Mrs. Miniverをとりあげ、ミドルクラス・ミドルブラウの女性と国家との関係を検討している。本報告では、Lightの議論を批判的に検討したい。
(3)Alison Light, Forever Englandの第四章 Daphne duMaurier’s romance with the pastの要約を報告する
公開研究会
主催 研究会チーム「性と文化」
日時 2014年9月28日(日)14:30~18:00
場所 駿河台記念館570号室
講師 近藤 弘幸 客員研究員
テーマ 明治初期における『ロミオとジュリエット』の受容について
要旨 概要:異性間恋愛のアイコン的物語ともいえるシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』が、明治初期の日本でいかに受容されたかを考えてみたいと思います。
直接的にはあまりクィアなお話にはならないかと思いますが、皆さんとの対話をとおしてそのクィアな可能性を発見できればと思っています。
コア・テクスト:チャールズ・ラム「ロミオとジュリエット」(ラム『シェイクスピア物語(下)』岩波文庫所収)
参考文献:近藤弘幸「「お家物」か「人情的小説」か、それが問題だ――宇田川文海と『ロミオとジュリエット』」(中央大学人文科学研究所編『愛の技法――クィア・リーディングとは何か』中央大学出版部所収)☆ 出来るだけ事前に読んでから参加してください。
公開研究会
主催 研究会チーム「ミドルブラウ文化研究会」
日時 2014年7月27日(日)13:00~18:00
場所 駿河台記念館350号室
講師 (1)垂井 泰子研究員(中央大学准教授)
(2)木下 誠客員研究員(成城大学准教授)
テーマ (1)「Alison Lightの Forever England (1991)とミドルブラウ文化研究」 
(2)“Give the Public What It Wants.”--ハロッズの新聞広告を批判する月刊誌『建築評論』
要旨 (1)ミドルブラウ文化研究の古典的著作、Alison LightのForever England: Femininity, literature and nservatism between the wars (1991)の前半部分(序章、第一章:アイヴィ・コンプトン=バーネット論、第二章:アガサ・クリスティー論)の要点をまとめる。
(2)1929年3月3日のThe Observerに、Arnold BennettとH. G. Wells
とBernard Shawの手紙をそれぞれ引用したHarrodsの3種類の広告が同時掲載された。月刊誌『建築評論』(The Architectural Review)は、1929年4月号でその広告を取り上げて、ロンドンの大手デパートの主張を批判した。さらに当誌は、1年以上に渡ってこの件にこだわり続けて連載を組み、ある特集号のきっかけとしても利用した。そこで繰り返し論じられていたのは、モダンデザインの商品の需要と供給(生産・流通)に関する問題であった。本発表では、1930年前後の『建築評論』におけるデザインの消費文化をめぐる議論の文脈を整理し、ミドルブラウ文化へのわれわれの関心と重なる可能性を考えてみたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2014年7月15日(火)11:00~12:30
場所 3号館4F 3454号教室
講師 ミシェル・ヴィヴィオルカ 氏(フランス国立人間科学館館長)
テーマ 外国人労働者、統合か排除か、多文化主義の限界? 
要旨 移民大陸であるヨーロッパでは、外国人の受け入れ政策をめぐり統合か排除かが議論されてきた。アングロサクソン流の多文化主義がヨーロッパでは破産したと宣言する政治指導者もいるが、実態はどうか。フランスを代表する社会学者に話を聞く。
公開研究会
主催 研究会チーム「新しい外国語教育のあり方」
日時 2014年7月12日(土)14:00~16:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 (1) 大川完三郎研究員(中央大学商学部教授)
(2) 高松英樹研究員 (中央大学商学部准教授)
テーマ (1)「商学部における中国語の10年の歩み」
(2)「商学部におけるスペイン語の現状と課題」
要旨 20分程度の報告の後、学部教育における外国語の位置づけというファンダメンタルなテーマを含め、自由な意見交換を行います。
公開研究会
主催 研究会チーム「 ルソー研究」
日時 2014年7月9日(水)
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 小林 淑憲(コバヤシ ヨシノリ) 氏(北海学園大学経済学部教授)
テーマ 「『社会契約論』から『山からの手紙』へ ルソーとジュネーヴとの関係の一断面」
要旨 報告者の採用した方法論、立脚した独自の視座から、『社会契約論』を ジュネーヴ全体に対する提言として捉えた後、ジュネーヴ政府に断罪されてからのルソーが、自己の立脚点の重心をブルジョワジーに移すことで、ジュネーヴ政府に対する意趣返しをしようとする動機をもって『山からの手紙』を書いたことを明らかににする。
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2014年7月9日(水)11:00~12:30
場所 3号館3F 3353号室
講師 クリスチャン・ポラック (Christian Polak) 日仏交流史研究家
テーマ 「日仏交流のあけぼの:生糸貿易を中心に」
要旨 日仏外交関係は1858年の日仏通称友好条約の締結にはじまる。翌年の横浜開港後、フランス向け輸出品目の筆頭は生糸で、ユネスコの世界文化遺産に登録された富岡製糸場はフランスの技術で建設された。
公開研究会
主催 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」
日時 2014年7月8日(火)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 山田 雅大 氏(アメリカ合衆国・クレアモント大学院大学准教授)
テーマ 「日仏交流のあけぼの:生糸貿易を中心に」
要旨 現代アメリカを中心に隆盛を誇る分析哲学の初期の歴史を、多くの哲学者の考えをたどりながら紹介したい。そして、現在、分析哲学において、西洋合理主義がどのようなかたちで現れているかを確認したい。
公開研究会
主催 研究会チーム「英文学と映画」
日時 2014年7月5日(土)14:30~18:00
場所 法政大学ボワソナード・タワー19階 会議室D
講師 ピーター・ソーントン研究員 (中央大学 法学部助教)
テーマ 「Adapting Gatsby」
要旨 Fitzgeraldの小説The Great GatsbyとBaz Luhrmanのその映画化について、物語論(narratology)の観点から考えます。特に、Gerard Genetteが分析する物語的時間(narrative time)とMieke Balの焦点化 (focalization)を、小説と映画のそれぞれにおいて考察します。さらに、小説と映画の両者にしばしば使われている「空中視点」(aerial view)を、現在の3D映画ばかりでなく、Victor Hugo、Edouard Manet、Walt Whitman、Paul Strandなどによる作品との関連において論じます。
公開研究会
主催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日時 2014年7月4日(金)15:00~16:30
場所 3号館5F 3551号教室
講師 カトリオーナ・エルダー 氏(シドニー大学准教授)
テーマ 「オーストラリア映画における属性の物語」
要旨 人間/動物/環境が映画でどのように表象されているかを分析することでポストコロニアルのオーストラリアにおける属性について考える。動植物および人間の表象の変容を土着/帰化/野生などの視点から観察する。ナショナリズムの新たな形が出現し、環境への取組みも変わってくると、この帰属の形態の代償は明白になる。二十世紀の最後、そして二十一世紀には、イギリス人の入植の一部が正当化できないことを「外来種」に譬え、オーストラリアにおける属性の政治的均衡を変えてしまったとする見方も出てくる。環境ナショナリズムの動きと重なる部分も見られる。
公開講演会
企画 研究会チーム「言語の理解と算出」
日時 2014年7月2日(水)18:00~19:15
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 モントルール シルヴィーナ氏(イリノイ大学アバナ シャンペイン校教授)
テーマ 「The ups and down of the monolingual native speaker and the bilingual turn in SLA」
要旨 A bilingual turn in second language acquisition?
Silvina Montrul
University of Illinois at Urbana-Champaign
Cognitive and linguistic approaches to second language acquisition (SLA) (Corder 1963, Dulay, Burt & Krashen 1982, Selinker 1972, White 2003) derive their meaning from the epistemology and methodology of the Chomskyan paradigm - the study of language as a cognitive system. Cognitive/linguistic approaches are mainly concerned with establishing whether, how, and why non-native speakers differ from (monolingual) native speakers in their linguistic knowledge and processing, and their ultimate attainment (Abrahamsson & Hyltenstam 2009, 2011, DeKeyser in press, Granena & Long 2013, White & Genesee 1996). Emphasizing that these approaches have had a dominant role in the theoretical landscape in the last fifty years, Firth and Wagner (1997) called for a “social turn” that would place more emphasis on social dimensions of SLA, qualitative methods, and focus on individuals and inherent variation in language acquisition. The social turn, as it turns out, produced some reconceptualization of critical concepts in the field, proliferating at the same time yet more theories and approaches (Atkinson 2011, Long 2007). Pleased with this state of affairs yet concerned with SLA’s lack of trans disciplinary relevance beyond itself, Ortega (2010, 2013) has recently made yet another call: the “bilingual turn.” Central to Ortega’s concern is the emphasis on the monolingual norm and the concomitant deficit view of second language acquisition at the heart of cognitive approaches which, in her view, cast SLA in a negative light and prevents the field from making further progress. Placing SLA in a closer dialogue with other fields within bilingualism will achieve, Ortega argues, trans disciplinary relevance, and impact on education. In this talk we will question this call by asking what a “bilingual turn” exactly means for SLA. In other words, what are the epistemological and practical needs for such turn?
I first trace the epistemology of cognitive approaches to SLA and justify the monolingual bias. I show that cognitive/linguistic approaches to SLA have already been in close dialogue with other fields within bilingualism, psychology, language acquisition, speech and hearing sciences and cognitive science. I then turn to the field of bilingualism itself to show that a monolingual bias exists in that field as well, especially because it is deemed appropriate by the research questions that have been guided the inquiry so far. Finally, I spell out what adopting a bilingual approach to SLA and bilingualism would mean, and the types of questions that should guide that type of research. I conclude by suggesting that these “turns” can only be justified by the needs and willingness to solve complex multidimensional societal problems, and by pressing research questions of compelling theoretical and practical urgency.
公開研究会
主催 研究会チーム「歴史の中の「個」と「共同体」-社会史をこえて 」
日時 2014年6月23日(月)17:30~19:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 中川 洋一郎 氏  氏 (中央大学経済学部教授)
テーマ ヨーロッパ牧畜文明の世界制覇
-グローバリゼーションは,今から7000年前,黒海北方のステップ地帯で始まった-
要旨 ヒトは、その誕生以来、およそ400万年間、小さな親族組織で暮らしてきた。紀元前5000年頃、メソポタミア周辺のステップ地帯で初期遊牧民が形成した組織は、《牧夫→イヌ→ヒツジ》という三層構造からできていた。その1000年後,この三層構造をもとに,原インド・ヨーロッパ語族が《三区分イデオロギー》を神話として構想し,さらに2000年後,ゲルマン人が専門的な軍事組織(イヌ化)と富の増殖システム(ヒツジ化)として熟成させて,今日のヨーロッパ文明の世界制覇の礎を築いた.異種の動物を組み込んだこの三層構造の誕生こそ,人間の組織編成原理史上の真の分水嶺となったのである.
公開研究会
主催 研究会チーム「モダニズム研究 」
日時 2014年6月21日(土)14:00~18:00
場所 後楽園キャンパス5号館  1F5138号室
講師 松浦 寿夫 氏(東京外国語大学教授)
テーマ 「モダニズムのハードコア、再説」
要旨 我々の1995年の試みは、モダニズムと呼ばれる思考の体系に露呈する様々な変調に注目することによって、この思考の潜勢的な作用力を記述し、その時代の支配的な思考の徴に逆らうインフラ構築の道具に組み立てることであったし、たとえば、コーリン・ロウのいくつかの分析的な作業――それをコンテクスチュアリズムと呼ぶことによって建築的なポストモダニズムの言説に譲り渡すのではなく――美術作品の生産の局面に隣接させることによって、単にこの生産過程の整合的な体系化を目指すのではなく、その潜勢力の可変的な連結作業に注目した。
ところで、今日、ロザリンド・クラウスの「ポスト・メディウム・コンディション」という概念が頻繁に論じられているが、改めて、クラウスの批評がもたらした効果を見積もる作業を試みてみたいと思う。そこで、ジャコメッティの作品を分析的な事例として取り上げてみたいと思う
公開講演会
企画 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2014年6月18日(水)15:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 セリーヌ・スペクトール氏 (ボルドー・モンテーニュ大学 哲学科教授)
テーマ 「ルソーからチャールズ・テイラーへ:自律・本当の自己・承認」
要旨 ジャン=ジャック・ルソーは現代カナダのコミュニタリアン哲学者チャールズ・テイラーの「承認の政治」にとって重要な淵源になっている。テイラーのルソー読解を「承認」のテーマを中心に明らかにする。
公開研究会
主催 研究会チーム「コミュニケーション力の総合的研究 」
日時 2014年6月14日(土)15:30~17:30
場所 2号館11F 21141号室
講師 松村 賢一氏(中央大学名誉教授)
テーマ 声の通路——コミュニケーションにおける音の力学——
要旨 異文化コミュニケーションの場で展開する音の仕組みについて考えてみたい。舌や唇といった口の筋肉運動によって発せられる子音と母音、さらにはその残響といった声の通路は英語と日本語ではかなりの相違があり、時にコミュニケーションに歪みをもたらす。まずW. B. イェイツの『幻想録』で展開された心の構造のモデルを応用して、目・口・耳・手の構図を提示し、コミュニケーション力について比較考察を試み、さらには聖と俗のコミュニケーション論への足がかりとする。
公開研究会
主催 研究会チーム「 英文学と映画」
日時 2014年5月31日(土)13:30~19:00
場所 法政大学市ヶ谷キャンパス、BT 25F C会議室
講師 (1)篠崎実氏 (千葉大学  教授)
(2)前協子氏 (日本女子大学  非常勤講師)
テーマ (1)シェイクスピアと映画
(2)『贖罪』(-Atonement- 映画邦題『つぐない』)におけるタリス邸:継承・楽園・贖罪の意味
要旨 (1)Laurence Olivier監督・主演による映画版(1948)、Kenneth Branagh監督・脚本・主演による映画版(1996)、Peter Brook演出の舞台に基づくTV映画(2002)を中心的に扱って、Hamlet上演と映画化に際する問題を考える。余裕があれば、The Tempestなどの翻案などの例に言及しながら、シェイクスピア作品全般の映画化がはらむ問題点についても考えたい。
(2)この小説は1935年サリーの新興荘園タリス邸の場面から始まり、映画も原作もかなり綿密にこの邸の様子が描写され、姉妹が邸の前庭で寝転んでいる情景はオースティンやフォースターの小説や映画に登場する姉妹の再来を予感させる。
しかし邸の主人は不在、家族もヘリテージ映画で実写化されていたような継承問題への意識も薄いままに、ある事件をきっかけに、姉妹は邸を出てゆく。皮肉にも家族にとって忌まわしく二度と戻れない邸となってしまったことで、この邸は逆に存在感を増しているように見える。
原作ではこの邸は、「1999年、ロンドン」の現代において人々がグローバルに行き交う「ホテル」に姿を変えて提示されている。
邸をめぐる主人公たちの状況をたどりながら「贖罪」の意味も考えてみたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「英雄詩とは何か 」
日時 2014年5月27日(火)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 松島 英子 氏(法政大学客員教授)
テーマ 「エラム王碑文に見る女性たち」
要旨 古代のイラン南東部を長く政治的に支配したエラム人の王碑文には、しばしば「愛する妻」「愛する姉妹」が実名で言及されている。古代中近東で女性の名が公的文書に載るのは珍しいことである。実例を紹介しつつその背景を探ってみたい。
公開講演会
企画 研究会チーム「英雄詩とは何か 」
日時 2014年5月26日(月)14:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 Lion Brigitte(リオン ブリジット)氏(リール第三大学教授)
テーマ 「Woman and Real Estate Property in Nuzi(ヌジにおける女性と不動産)」
要旨 アラプハ出土の粘土板文書三点に、父親が娘を息子として養子にするという記述がみられる。いずれの場合も、この虚構の性転換は、娘が不動産を相続できるようにするための措置だったと思われる。そうすると、通常女性は土地を所有することができなかったのであろうか。今回のトークでは、どの程度女性が土地所有にかかわっていたのかを明らかにする一方で、不動産を所有していた経済力のある女性たちについても見ていきたい。
公開講演会
企画 研究会チーム「アフロ・ユーラシア大陸における都市と国家の歴史 」
日時 2014年5月21日(水)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 高兵兵 (ガオピンピン)氏(中国西北大学教授)
テーマ 「平安京における園林宴集活動と唐代の長安・洛陽――『本朝文粋』の詩序を手がかりに」
要旨 日本の平安京の園林で催された宴会文化は、唐代の長安や洛陽の園林における宴会文化と、どこが類似しどこが異なるのだろうか。唐代都城の都市文化の影響を受けた日本都城の貴族たちが、日本列島の自然と文化を背景に、唐風かつ和風の新たな文化活動を編み出していく様を、藤原明衡が11世紀に編纂した『本朝文粋』の詩序をてがかりに明らかにする。高兵兵教授は、日中比較文学研究を代表する研究者の一人であり、西安の西北大学で教鞭をとり、数多くの論著で知られる。
公開講演会
企画 研究会チーム「アフロ・ユーラシア大陸における都市と国家の歴史 」
日時 2014年5月14日(水)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 朱玉麒 (シュギョクキ)氏(中国北京大学教授)
テーマ 「紀功碑と西域における戦争」
要旨 戦勝を石に刻んで慶祝する紀功碑は、世界各地で広く見ることができる。中国でも、紀功碑は紀元前からの長い歴史と伝統をもっている。本講演は、中国西域(現在の新疆)における紀功碑の変遷を、永元五年(93)「任尚碑」や貞觀二十二年(648)「阿史那社爾紀功碑」、清・乾隆帝の平定西北邊疆紀功碑などにもとづき系統的に分析する。朱玉麒教授は、唐代文学や西域史の研究で知られ、学術誌『西域文史』(2007年創刊、北京・科学出版社から現在第7輯まで刊行)の主編者である。
公開研究会
主催 研究会チーム「 アーサー王物語研究」
日時 2014年5月10日(土)14:30~17:30
場所 慶應義塾大学 日吉キャンパス独立館D431
講師 森野 聡子 氏 (静岡大学教授)
テーマ 「ウェールズ伝承文学におけるアーサー物語の位置づけ」
要旨 アーサーに関する伝承で、確認されているうちもっとも古いものの一つは北ウェールズで9世紀に編纂されたラテン語の年代記『ブリテン人の歴史』(Historia Brittonum)である。また「マビノーギオン」と総称される中期ウェールズ語散文説話のうちの『キルフッフとオルウェン』(Culhwch ac Olwen) は、長らく、現存する世界最古のアーサー王物語であると考えられ、同じく「マビノーギオン」に含まれる三つのアーサー王ロマンスも、大陸の作品にはない、ウェールズ独自の伝承的要素をとどめているとされてきた。すなわち、19世紀以来、ウェールズ文学研究者は、ウェールズ伝承こそ、アーサー伝説のルーツであると考えてきたのである。
しかし、中世ウェールズの写本に残るテクストの年代について研究が進む中で、ウェールズ語によるアーサー物のantiquity についても疑問が呈されている。本報告では、ウェールズ伝承文学において、アーサー物語とはどのような意味や位置づけをもつのか、以下の点から考えてみたい。
1.「外来」的要素としてのアーサー物語は、ウェールズ伝承にどのような変化を与えたのか
2.ウェールズ伝来のアーサー物語とはどのようなものだったのか
公開講演会
企画 研究会チーム「 視覚と認知の発達」
日時 2014年5月8日(木)16:00~
場所 駿河台記念館620号室
講師 Roberto Caldara 氏(ロベルト カルダラ)(フライブルク大学教授)
テーマ 「Mapping the impact of culture and race in face processing」
要旨 describe the particular behaviors and beliefs that characterize a social or ethnic group. Historically, it has long been presumed that across cultures, all humans perceive the world essentially in a comparable manner, viewing objects and attending to salient information in similar ways. Recently, however, our work and a growing body of literature have disputed this notion by highlighting fundamental differences in perception between people from Western and Eastern (China, Korea and Japan) cultures. Such perceptual biases occur even for the biologically relevant face recognition and the decoding of facial expressions of emotion tasks. This marked contrast obligated us to reconsider the very nature of perception and the forces that are responsible for shaping the way we see the world. However, much of the evidence has been so far provided by behavioral measures. Cultural neuroscience introduces a novel biological perspective to cross-cultural research by examining cultural variation in the brain, and its multilevel interactions between genes, behavior and the cultural environment. Isolating the precise contribution of biology and culture in forging different aspects of (neural) cognition represents a major challenge for scientists today, aiming ultimately to precisely assess the contribution of nature and nurture in human behavior.
Race is a universal, socially constructed concept used to categorize humans originating from different geographical locations by salient physiognomic variations (i.e., skin tone, eye shape, etc.). I will then present a series of studies showing a very early extraction of race information from faces and the impact of this visual categorization on face processing.
I will discuss in turn the role of those two factors shaping visual cognition, as well as integrate data from other experiments that feed these debated fields.
公開講演会
企画 共同研究チーム「文法記述の諸相 」
日時 2014年4月30日(水)15:15~16:15
場所 2号館1F 2104号室
講師 Michael  Ashby  氏 (マイケル アシュビー) Honorary Senior Lecturer University College London大学   名誉教授
テーマ 「Models and goals in English pronunciation(英語音声学におけるモデルと目標)」
要旨 ロンドン大学の夏期英語音声学コースを主催されているMichael Ashby先生に、英語音声学の重要性と、関連する最近の研究について、日本人英語学習者にもわかりやすく語っていただく。
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究 」
日時 2014年4月20日(日)13:30~15:30
場所 日仏会館
講師 三浦信孝研究員(中央大学文学部教授)
テーマ 「社会科学の翻訳における〈翻訳は裏切り〉:ルソー/兆民/カント」
要旨 文学の翻訳と違い社会科学の翻訳でもっとも重要なのはコンセプトの翻訳であり、概念の不適切な翻訳はいのちとりになる。「永久平和論」の系譜の翻訳を通して論証する。
公開研究会
主催 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究 」
日時 2014年4月1日(火)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講師 岸田知子 研究員(中央大学文学部教授)
テーマ 「懐徳堂と山片蟠桃――合理主義の系譜」
要旨 江戸時代大坂の町人学者、山片蟠桃は、理に合わないもの、実証できないものは真実ではないと唱え、主著『夢ノ代』では徹底した無鬼論を主張する。その合理主義は、彼を育んだ大坂学問所懐徳堂に流れるものでもあった。