研究

2012年度

公開研究会
主 催 研究会チーム「視覚認知機構の発達研究」
日 時 ここはあとで削除する。2012年3月24日(土)16:00~17:30
場 所 中央大学多摩キャンパス3号館9階  3913号室
講 師 白井 述 氏(新潟大学准教授)
テーマ 知覚発達の多層性-運動視の発達を例に
要 旨 日常的に意識することは非常に少ないが、一般に知覚の機能は多層的、階層的な構造を持つ。本発表では、主に動的情報を視覚的に知覚する機能、すなわち運動視の初期発達に焦点をあてながら、乳児期における知覚発達の諸相が知覚機能の多層性を反映したものである可能性について論じる。運動視の機能はGibson(1950, 1979)などによって指摘されるように、私たちの身体運動の知覚、制御に重要な役割を果たす。特に、光学的流動と呼ばれるような大域的な視運動パタンは、観察者自身の移動を表象する強力な視覚情報となる。こうした光学的流動の知覚が、乳児期においてどのような発達的変化を示すのかについて、発表者自身がこれまでに関与してきた研究の成果を中心に報告する。またそうした光学的流動知覚の発達が、乳児の能動的な移動行動の発達とダイナミックに相互作用しながら変化していく可能性について示す。それらの一連の研究成果に基づいて、運動視の発達の各段階と、ヒト一般における運動視機能の諸側面との対応関係を論じながら、適応的観点からそれらの発達的、機能的特徴について解釈を試みたい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日 時 2013年3月27日(水)16時~17時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス2号館 4階 研究所会議室2
報告者 竹内 龍人氏(日本女子大学教授)
テーマ 視知覚研究の土台を理解する~私たちはどこから来たのか、そしてどこへ向かうのか~
要 旨 本レクチャーは、視知覚(visual perception)研究を始めたばかりの若手を対象とする。現代の視知覚研究は、私が実験心理学の勉強を始めた二十数年前から様変わりした。学際性の広がりや研究手法の多様化といった点はむろんのこと、情報量、すなわち公刊される論文数が年々増加していることにも注目すべきであろう。私たちのパソコンに保存される論文のPDFファイルは増える一方であり、図書室にかよっては論文を厳選してコピーし、それだけに目を通しておけば研究動向が把握できた牧歌的な時代はとうの昔に過ぎてしまった。次から次へと公刊される論文の洪水に立ち向かう若手研究者に、数十年も前の過去研究を振り返る余裕はないかもしれない。一方で、サイエンスにおける過去とは、かえりみる必要のない昔話では決してない。論文の査読過程では「先行研究をどれだけきちんとリファーしているか」が重視されることからもわかるように、現在の研究動向の土台を構成しているのは先達による長い思索と実践の積み重ねであり、それを無視した独善的な研究はなかなか受け入れられない。
計算理論(computational theory)、表現(representation)、並列処理(parallel processing)、分散処理(distributed processing)、モジュール構造(modular structure)、線形システム理論(linear systems theory)、コネクショニズム(connectionism)といった用語は昨今の視知覚研究論文においても現れるが、これらは私が大学院生だった1980年代、新しい概念として視知覚研究や実験心理学分野に怒濤のごとく流れ込んできたものだ。重要な点は、こういった概念が現在においても視知覚研究の土台を構成しており、メインストリームの研究はその土台の上に成立しているべきだという認識が、暗黙のうちに仮定されていることにある。そして、たとえ最先端の研究テーマに取り組んでいたとしても、その研究自体を構成する土台を正しく理解していることは、自身の研究内容を深めるだけでなく、今後その研究テーマにどのようにコミットするかといった点を見極めるための有効な指針となるであろう。
Trends in Cognitive Sciencesに掲載された最近のレビュー論文をいくつか手に取ってみよう。視覚系におけるwhere/what経路(de Haan & Conwey, 2011)や情動(Lindquist & Barrett, 2012)といったおなじみのテーマを選んでみる。一読してわかることは、上記の概念を土台とした研究パラダイム間のせめぎ合いが今後の研究全体の方向性を決める、という将来像がどちらにも明確に記されていることだ。逆に言えば、土台を形成する概念の理解が不足していると、研究における自分の立ち位置や今後の方向性が正しく認識できない可能性も出てくるだろう。本レクチャーでは、文献を参考にして、視知覚研究の土台を構成する各種概念の理解を深める機会を提供することを目的とする。
公開研究会
主 催 研究会チーム「島と港の歴史学」
日 時 2013年3月19日(火)14時~
場 所 中央大学多摩キャンパス2号館 4階 研究所会議室3 
報告者 河辺 隆宏 準研究員
テーマ 『明月記』紙背文書にみえる田中宗清書状について 
要 旨 藤原定家と石清水八幡宮の田中宗清との間に交流があったことは、『明月記』の記事より知られていたが、最近、『明月記』の紙背文書に宗清から定家に宛てた書状があり、その内容から両者のさらに深いつながりが明らかにされている(藤本孝一「田中宗清と藤原定家」(『清峯』30、2011年)。藤本氏が紹介された書状の他にも、定家に宛てたと思われる宗清書状が同じ『明月記』紙背文書に存在している。本報告ではその書状について紹介と検討を行なうことにしたい。
報告者 石井 正敏 研究員
テーマ 年未詳五月十四日付け源頼朝袖判御教書について-島津庄と日宋貿易-
要 旨 『島津家文書』所収標題の文書は、島津庄官が唐船着岸物を大宰府によって押し取られたとして、領主近衛家を通じて源頼朝に訴え出たことに対し、頼朝が大宰府の行為を新儀とみなし、庄家に返付すべきことを命じた内容である。本文書の内容の検討から鎌倉幕府草創期の日宋貿易について考えてみたい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「軽度発達障害の縦断的研究」
日 時 2013年3月19日(火)19時~21時
場 所 駿河台記念館 5階500号室
講演者 藤堂 栄子氏(特定非営利活動法人EDGE 理事長)
テーマ 読み書きの苦手な子どもたち~ディスレクシアの理解と望ましい対応のために
要 旨 ディスレクシア(読字障害)の実態や支援方法について、これまでの自身の経験や海外での事例をもとに紹介するとともに、日本で支援するための制度(学習支援員制度)やピアサポートグループである成人ディスレクシア当事者会の立ち上げや、実際の様子、その効果やディスレクシア支援の今後の展望について紹介する。
公開研究会
主 催 研究会チーム「地域史研究の今日的課題」
日 時 2013年3月16日(土)16時~
場 所 中央大学多摩キャンパス2号館 4階 研究所会議室1
報告者 武山 眞行 研究員(中央大学教授)
テーマ 雑談:聖蹟記念館「田中光顕文書」をめぐって
要 旨 かつて聖蹟桜ケ丘の「聖蹟記念館」に、土佐閥の田中光顕伯爵の「田中光顕文書」が所蔵されていた。この文書は、田中宛山縣有朋の書簡を中心に伊藤博文書簡その他各種文書で、明治期政界の楽屋裏話を含む興味深い史料である。記念館は、昭和60年(1985年)多摩市に移管された。移管直前に田中光顕文書が売却されたが、その数ケ月前、記念館側から連絡があり、全文書が撮影された。撮影時の関係者もほぼ亡くなったので、この史料をめぐる回顧と雑談
報告者 松尾 正人 研究員(中央大学教授)
テーマ 多摩地域研究の歩み―中央大学の多摩移転―
要 旨
多摩地域の自治体史編纂」に続き、中央大学の多摩移転と同時期の多摩地域研究の歩みを辿る。
公開研究会
主 催 研究会チーム「軽度発達障害の縦断的研究」
日 時 2013年3月12日(火)19時~21時
場 所 駿河台記念館 5階500号室
講演者 作田 亮一氏(独協医科大学教授・越谷病院 子どものこころ診療センター センター長)
テーマ 小児神経科からみた発達障害
要 旨 本邦の発達障害の医学的な研究は、精神科(児童精神科)からのアプローチと小児科(小児神経科)からのアプローチがある。講演では、特に小児神経からのアプローチによる発達障害を紹介するとともに、発達障害を対象とした療育の実践手段の一つである音楽療法についても紹介する。
公開研究会
主 催 研究会チーム「文法記述の諸相」
日 時 2013年3月8日(金)14時~17時15分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館 4階 研究所会議室3
報告者 堀田 隆一研究員
テーマ 名前動後の強勢パターンと頻度
要 旨 本発表では、16世紀に発生し、現代英語にかけて拡張してきた、REcord (n.) 対 reCORD (v.) に見られるような2音節語における「名前動後」の強勢パターンについて、各時代の辞書を用いた実証的調査を行なう。特に、拡張の順序と語の頻度との間に何らかの相関関係があるかを探る。           
報告者 谷 みゆき研究員
テーマ 日英語話者の事態把握による文法構造の相違について
要 旨 言語形式の違いは言語を扱う主体の概念化のプロセスの違いを反映していると考える認知言語学の枠組みの中で、これまでに日英語の言語形式の違いを両言語話者による事態把握の志向性の違いとして捉えた事例研究が多くなされてきた。本発表では当該志向性および事例研究について概観し、今後の展望について述べる。
公開研究会
主 催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日 時 2013年3月6日(水)16時~18時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館 4階 研究所会議室3
講演者 廣部 千景 氏 (学習院大学准教授)
テーマ Louisa May Alcottのblood and thunder storiesについて
講演者 新田 啓子 氏 (立教大学教授)
テーマ 戦争における名誉と恥――Stephen Craneが明かす暴力の位相
要 旨 近年、オルコットの扇情的な小説が、リアリズム小説、ひいては自然主義といった近代小説への礎を築いた、という議論がおこなわれるようになりました。このミニシンポでは、そのオルコットとクレーンを取りあげて、南北戦争前後の小説の発展をあとづけたいと思います。オルコットは、密かに煽情小説を書いて、精神のリアリズムを追求しました。一方クレインは、「悲惨さ」などという教訓的な観念にも回収されない人間と暴力の係わりを表しているようです。オルコットの煽情性から少女小説への軌跡、それに対して、クレーンが闘った「恥辱」との葛藤から、ふたりの作家を通じて近代小説がどのように暴力とかかわったか、見てみたいと思います。
談話会
日 時 2013年3月16日(水)15時~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館 4階 研究所会議室4
講演者 金子 雄司研究員(法学部教授)
テーマ シェイクスピアの「原作」ー20世紀シェイクスピア本文批評の歴史
談話会
日 時 2013年3月14日(木)15時~18時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館 4階 研究所会議室2
講演者 杉田 達雄研究員(理工学部教授)
テーマ 佐々木基一とリーメンシュナイダー
談話会
日 時 2013年3月9日(土)16時~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館 4階 研究所会議室2
講演者 松村 賢一研究員(商学部教授)
テーマ 異界への通路ー中世アイルランドの航海譚をめぐってー
公開講演会
企 画 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日 時 2013年3月4日(月)15時~18時
場 所 駿河台記念館 6階 600号室
講演者 栄 新江氏(北京大学中国古代史研究センター所長・教授)
テーマ 新出碑誌与唐長安里坊研究
要 旨 ここ数年間に出土した新出の墓誌に主拠して、唐代長安の都市社会復原研究の現状を明らかにする
公開研究会
主 催 研究会チーム「英雄詩とは何か」
日 時 2013年2月27日(水)14時~17時
場 所 中央大学多摩キャンパス2号館 4階 研究所会議室3
講演者 下釜 和也氏(古代オリエント博物館研究員)
テーマ アナトリア高原東部の新石器時代とその人類史的意義
要 旨 アナトリア高原の新石器時代研究は、農耕牧畜の起源、そのヨーロッパ方面への拡散、その後の新石器文化の展開という点において非常に重要である。さらに近年、ギョベックリテペなどに代表される奇抜な建築遺構や豊かな物質文化の発見は世界を驚かせた。そうした発掘調査の進展を踏まえて当地域の新石器時代の特異性を考える
講演者 津本 英利氏(古代オリエント博物館研究員)
テーマ ヒッタイト考古学の新知見
要 旨 元前1200年頃までの後期青銅器時代、現在のトルコの地に栄えたヒッタイト帝国。1906年の再発見からこれまで、ヒッタイト研究は主に粘土板文書の解読が担ってきたが、近年のヒッタイト都市遺跡での発掘調査や新発見は、従来の認識や通説に再考を迫る結果をもたらしている。主に考古学の視点からヒッタイト学の最新研究を紹介する。
公開研究会
主 催 研究会チーム「軽度発達障害の縦断的研究」
日 時 2013年2月27日(水)15時30分~16時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 3号館 9階 3913号室
講演者 河野 暢明 氏(社会福祉法人 横浜共生会 障がい者生活支援施設「花みずき」 臨床心理士)
テーマ 障害者の生活支援と臨床心理士の役割
要 旨 各種障害者に対する臨床心理士の関わりは、これまでのような個別の面接場面だけではなく、より生活に密着した在宅や生活支援など、より広い形での関わりが求められている。講演では、臨床心理士として、地域における巡回や生活支援を実際に行っている中で感じ、見えてくる臨床心理士の役割について紹介する。
要 旨 社会性機能障害の特性を有する子どもたちへの介入(early intervention for children with a developmental disability)に関する勉強会を行う。
公開研究会
主 催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日 時 2013年2月26日(火)9時~12時
場 所 中央大学多摩キャンパス 3号館 9階 3913号室
講演者 山本 淳一氏(慶應義塾大学教授)
テーマ 行動療法・認知行動療法・応用行動分析、そしてその先
要 旨 社会性機能障害の特性を有する子どもたちへの介入(early intervention for children with a developmental disability)に関する勉強会を行う。
公開研究会
主 催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日 時 2013年2月25日(月)18時~21時
場 所 中央大学後楽園キャンパス 3号館12階 31219号室
講演者 山本 淳一氏(慶應義塾大学教授)
テーマ 行動療法・認知行動療法・応用行動分析、そしてその先
要 旨 社会性機能障害の特性を有する子どもたちへの介入(early intervention for children with a developmental disability)に関する勉強会を行う。
公開研究会
主 催 研究会チーム「言語の理解と産出」
日 時 2013年2月9日(火)14時~17時15分
場 所 中央大学多摩キャンパス2号館 4階 研究所会議室2
講演者 山崎 妙氏(早稲田大学非常勤講師)
テーマ 形式素性の習得可能性――第二言語としての英語・日本語におけるアスペクト・テンスの解釈についての実験的研究
要 旨 本発表では、生成文法理論に基づき、日本語母語話者の英語と英語母語話者の日本語を対象に、アスペクトとテンスの解釈を調査した実験的研究を報告する。研究の目的は、第二言語学習者が形式素性を習得できるか検証することである。
講演者 田川 拓海氏(筑波大学助教)
テーマ 連用形派生の複合語と名詞化への統語論的アプローチ
要 旨 西尾(1961)で「連用形名詞」の1タイプとされた「X+動詞連用形」型複合語(例:草刈り)については、複合動詞などに比べそれほど研究がなされてこなかった。本発表では分散形態論(Distributed Morphology)による統語論的アプローチを用いることでその形態的特性(範疇・活用形)と統語論的・意味的特性を統一的に分析する可能性を探る。
公開研究会
主 催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日 時 2013年1月30日(水)18時~19時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室3
講演者 丹羽 隆昭氏(関西外国語大学教授)
テーマ ホーソーンと鉄道
要 旨 19世紀のアメリカ人作家ナサニエル・ホーソーンの短編「天国行き鉄道」および長編『七破風の家』を取り上げ、そこに見られるホーソーンの鉄道観とその意義を、同時代人で隣人でもあったヘンリー・デーヴィッド・ソローの場合と比較しながら検討します。
公開研究会
主 催 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日 時 2013年1月23日(水)16時~17時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 包慕萍氏(法政大学講師)
テーマ 考古新発見によるカラコルムの都市構造と興元閣に関する再考
要 旨 近年におけるモンゴル帝国の帝都・カラコルムの研究は、実地調査と考古学発掘の進展によって新たな段階をむかえている。本講演は、近年のカラコルム調査に参加した包慕萍氏が、主著『モンゴルにおける都市建築史研究』(東京・東方書店、2005年、アジア・太平洋学会賞受賞)をふまえ、建築史学の方法を駆使してカラコルムを復原する試みである。興元閣とは、チンギス・ハーンの孫であるモンケ・ハーン(在位1251-59)が、カラコルムに13世紀に建造した仏教寺院の14世紀における名称である。広大なモンゴルの草原によこたわる遊牧帝国の都城が、ようやくその全貌を明らかにしつつある。
公開講演会
企 画 研究会チーム「ルソー研究」
日 時 2013年1月18日(金)11時~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室4
講演者 ベルナルディ, ブリューノ氏(国際哲学コレージュ、プログラムディレクター)
テーマ ルソーと共和主義:困った親近性
要 旨 政治思想史ではルソーは共和主義の系譜に分類される。しかしポーコック、スキナー、ペティットによる英語圏の共和主義ルネッサンスでは、ルソーは素通りされている感がある。ルソーと古典的共和主義との関係は複雑であり、現代共和主義とのあいだにはさらに大きな距離がある。ルソーの共和主義的読解では、彼の政治思想の中心命題のいくつかはとらえられない。それではルソーの共和国思想の独創性はどこにあるのか。
公開研究会
主 催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日 時 2013年1月16日(水)15時~16時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室3
講演者 逸見 龍生氏(新潟大学准教授)
テーマ 『百科全書』の生成論的解釈学の試み
要 旨 『百科全書』ディドロ執筆項目「魂補遺」は、テクスト本文の生成論的分析によって、同時代の様々な知的言説からの複雑な引用のパッチワークであることが明らかとなった。本発表は『百科全書』テクストのこの異種混交/パリンプセスト性を出発点に、その彼の哲学的時間概念の特異性を特にロック、そしてマルブランシュ派哲学者の近似的な論理と実証的に比較しながら明らかにする。
公開研究会
主 催 共同研究チーム「世界史における『政治的なもの』」
日 時 2013年1月12日(土)13時~15時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室3
報告者 竹島博之客員研究員
テーマ C・シュミットから見た世界史――『陸と海と―世界史的一考察』を読む
要 旨 C・シュミットは、友敵理論で有名な20世紀ドイツを代表する政治学者・公法学者である。そのシュミットが、娘アニマに語るという形で、分かりやすく独自の世界史を示したのが『海と陸と』である。陸のエレメントから海のエレメントへ、ビヒモスからリヴァイアサンへと、空間革命を機軸に壮大な世界史物語を描き出している。本書の内容を紹介しながら、彼の「政治的なもの」の概念や彼の思想における本書の位置づけを示すと同時に、歴史学にいかなる示唆を与えうるかを検討したい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「新しい外国語教育のあり方」
要 旨 グローバル人材育成のために必要な自律的英語学習のあり方とインターネットを使った国際タンデムの可能性を探る
日 時 2012年12月20日(木)15時~17時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館11階 21141号室
報告者 栗原 文子研究員
テーマ 自律した英語学習者を育成するための戦略
報告者 新井  裕研究員
テーマ タンデム授業の試み
公開研究会
主 催 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日 時 2012年12月19日(水) 16時~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 金子 修一氏(国学院大学教授)
テーマ 唐十八陵探査報告
要 旨  国内外の中国皇帝儀礼史を先導されてきた金子修一氏は、陝西師範大学で教鞭をとった2010年秋に、唐王朝の皇帝陵のすべてを踏査した。本講演は、その時の調査をもとに、唐皇帝陵を系統的に整理して各皇帝陵の特色を明らかにする。氏の主催する研究会での長年におよぶ『大唐元陵儀注』の訳注作業をふまえ、唐の代宗の元陵を始めとする唐皇帝陵の儀礼空間の変遷を、主著『中国古代皇帝祭祀の研究』(東京・岩波書店、2006年)の論述と関連させながら分析する。ここに唐陵の豊穣なる世界がよみがえる。
公開研究会
主 催 研究会チーム「イノヴェーションと芸術」
日 時 2012年12月9日(日) 15時~17時30分
場 所 駿河台記念館3階 360号室
講演者 菅尾 友氏(演出家)
杉山 至氏(舞台美術家)
長島 確氏(ドラマトゥルク)
テーマ フィガロの結婚》を振り返る-演出家・舞台美術家・ドラマトゥルクの立場から
要 旨 11月に日生劇場で上演された《フィガロの結婚》は、ドイツの若手オペラ演出家と、日本の演劇界で活躍する若い舞台スタッフの協働という、意欲的な座組みでの公演でした。今回の公演での成果と反省点、今後も日本でオペラ界と演劇界の人材が前向きに交流していくにはどうしたらいいのかなど、現場の苦労の記憶も新しいうちに語っていただき、これからのオペラ界のための貴重な証言としたいと思います。
公開研究会
主 催  研究会チーム「地域史研究の今日的課題」
日 時 2012年11月24日(土) 16時~18時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室1
講演者 曽根 總雄氏(東海大学特任教授)
テーマ 史(資)料との対峙―永禄十年、織田信長の樂市令の再検討―
要 旨 「永禄10年「樂市令」の再検討」(『東海大学紀要文学部』94輯掲載)をベースに、①文書形式(書止)の重視、②宛所形式(地名等の固有名詞か)の重視、を中心に、永禄10年の織田信長の「樂市令」は「樂市令」でなく、「市場法」であるという見解を述べる。そのことによって、史(資)料をどのように見れば良いかを提示する。
公開研究会
主 催 研究会チーム「ルソー研究」
日 時 2012年11月16日(金) 16時30分~18時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室3
講演者 仲正 昌樹氏(金沢大学教授)
テーマ 人間の条件と二つの「自由」概念
要 旨  アーレントは近代市民社会の二つの源泉とされるアメリカ独立戦争とフランス革命を、それぞれの核となった「自由」概念の検討を通して比較し、(共和主義的な)「自由」の「構成」的な側面を明らかにしたうえで、「人間性」をめぐる自らの政治哲学と融合することを試みている。ルソーとの関係も視野に入れながら、アーレントの思考を再考する。
公開研究会
主 催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日 時 2012年11月14日(水) 17時30分~19時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室3
講演者 千石 英世氏(立教大学教授)
テーマ アメリカン・ゴシック-寂廖郊野-
要 旨 今回の講演は、「アメリカン・ゴシック??寂寥郊野??」と題し、千石先生の文学と暴力感についての「夢想」をうかがいます。「前半は、同タイトルの有名な絵で、後半は吉目木晴彦の芥川賞小説のタイトルで、どっちも少しばかり借りものですが、発想の根として使わせていただきます」とのこと。千石先生は、1983年小島信夫論で群像新人賞を受賞、メルヴィルの『白鯨』翻訳(講談社文芸文庫)や村上春樹を論じた『アイロンをかける青年』(彩流社)などでも有名です。
公開研究会
主 催 研究会チーム「イスラーム地域における聖地巡礼・参詣」
日 時 2012年11月10日(土) 16時~18時
場 所 (財)東洋文庫・公開堂
講演者 Thierry ZARCONE氏(フランス国立科学研究センター・上席研究員)  
テーマ Myth and Ritual: the case of Islamized Shamanism in Xinjiang
要 旨  This lecture examines the link between myth and ritual in Islamized shamanism in Xinjiang (China), especially among the Uyghur and Kirghizs peoples. Contrary to the rest of Central Asia, Shamanism is characterized, in the rural areas populated by Kirghizs and Uyghur, by several archaic elements and gestures, particularly in its rituals, that are of a great interest for the researchers working on Shamanism in general, and particularly on Central Asian shamanism, and on the mingling of Islam and ancient pre-Islamic religions (Zoroastrism, Shamanism, etc.). This lecture will focus on these particularities of Uyghur and Kirghiz shamanism through a comparative analysis of its foundation myths and of the healing rituals performed since the end of 19th century up to our days. The lecture will be illustrated by several pictures and photographs, and by short videos.
公開講演会
企 画 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究
日 時 2012年11月7日(水) 15時~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 孫 英剛氏(復旦大学文史研究院副研究員)
テーマ 隋唐長安における寺院の飲食と宗教表象
要 旨 本講演の目的は、隋唐長安の仏教寺院の物質文化と宗教生活との関連を、僧侶の飲食をてがかりに新たな視角から分析することである。本講演では、従来ほとんど注目されていなかった仏教寺院での飲食をめぐる諸問題を多角的に検討することで、異なる角度から隋唐長安の都市文化の一端を明らかにする斬新な内容である。隋唐史のみならず都市の文化に興味をいだく多くの人々の来聴を歓迎したい。
公開講演会
企 画 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日 時 2012年11月7日(水) 15時~
場 所 中央大学多摩キャンパス 3号館 9階 3913号室
講演者 Pascalis, Olivier 氏(ピエール・マンデス大学教授)
テーマ 発達における顔知覚の種特異性について
要 旨  From birth, infants need to extract relevant information from a complex world. One hypothesis about how infants categorize and process stimuli is that early mechanisms, which have evolved from our ancestral history, predispose us to attend to human faces at birth and develop with visual experience to learn about conspecifics. Some argue in favor of an early preference for human faces due to an attraction toward human eyes. Indeed, the human eye is unique and particular as compared to non-human primates and other animals; it is composed of a widely exposed white sclera, paler than the facial skin and iris (Kobayashi, & Kohshima, 1997). I am going to present 2 studies that aimed to investigate the importance and attraction for human eyes in newborns and older infants and determine when it appears during the first year of life. In the first study we used an eye tracking system to determine infants' preference for human face. In the second, to avoid interference from the overall structure of the human face, we created stimuli that differed only by the presence versus absence of human eyes. We inserted human eyes into non-human primate faces (chimpanzees and Barbarian macaques), which have the advantage of having a structure similar to human faces, but with eyes without sclera.In a preferential looking time paradigm, newborns, 3-, 6-, and 9-month-olds were simultaneously presented with two non-human primate faces that differed only by the eyes.Infants from 6 months of age preferred the stimuli with human eyes. No preference was observed before that age despite non-human primate faces with human eyes having more contrast in the eye region. Our results suggest that visual expertise for human eyes is not present at birth, but seems to emerge later in development when more visual experience with conspecifics has occurred.
公開研究会
主 催 研究会チーム「イノヴェーションと芸術」
日 時 2012年11月3日(土) 14時~17時
場 所 レン新御茶ノ水ビル 4ーG
講演者 広瀬 大介客員研究員
テーマ 音楽がすべて語ってくれる:シュトラウス《サロメ》のライトモティーフ序論
要 旨  リヒャルト・ワーグナーがその用法を体系化し、完成の域にまで高めたライトモティーフの技法。リヒャルト・シュトラウスはこれを、さらに精緻なシステムとしてオーケストレーション・調性と細かく連動させ、職人的気質をもって15のオペラ作品を作り上げました。この技法を、《サロメ》における特徴的なモティーフのいくつかを例にとりながら説明し、台本との関係、さらには現代的な演出においてこの音楽がどう生かされているか(あるいはいないか)を検証します。
公開研究会
主 催 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」
日 時 2012年10月13日(土) 15時~18時
場 所 ベンヤミンとカフカ
講演者 道籏 泰三氏(京都大学教授)
テーマ ベンヤミンとカフカ
要 旨 ベンヤミンのカフカ解釈のうちに現れている独特の「啓蒙の弁証法」のありように照準を合わせ、これがアドルノ/ホルクハイマーの『啓蒙の弁証法』の求めるものといかに別物であるかを示す。『啓蒙の弁証法』が「啓蒙の自己反省」に行き着くとすれば、ベンヤミン/カフカは、それを一気に飛び越えて「愚者性」に至る。その「愚者性」がはらむ反転を問題にする。
公開研究会
主 催 人文科学研究所 研究会チーム「ルソー研究」
日 時 2012年9月17日(月)17時~20時
場 所 日仏会館601号室
講演者 Wang, Celine氏(パリディドロ大学准教授)
テーマ 「中国におけるJ.J.ルソーの影響(1898年から1949年まで)」
要 旨 19世紀末に日本を通して中国にもたらされた『社会契約論』は中国で翻訳・流布された最初のヨーロッパの作品のひとつであったが、中国史の決定的な瞬間にこの上なく激しい論争を惹起した作品でもあった。近代国民国家建設のための基本的理論と見なされた『社会契約論』は、帝国システムを終焉させた1911年の革命の主要な霊感源となった。中華民国(1912年から1949年)の下では、ルソーの政治思想は以前ほど支配的な役割を演じなかったとはいえ、彼とその作品は改革主義者と革命家を対立させる論争の対象であり続けた。当時は、単にルソーの政治論のみならず、文学と教育作品を通して彼の生涯と人となりもまた、中国の読者の心を動かした。共産主義体制下では、殆どの外国作品が禁止されていたが、フランスの哲学者(ルソー)の政治論文は翻訳が許された数少ない作品に属していた。ただし彼の文学作品は禁止されたままであったが。ここ30年前からルソーは中国の知識人たちの間で関心を呼び、政治、文学、法学、環境の分野で再び論争の的となっている。今回の報告は、現代中国に対するルソーのインパクトを分析しながら、中国におけるルソー受容・グローバルなヴィジョンを提出することを目的とする。
公開研究会
主 催 研究会チーム「ルソー研究」
日 時 2012年9月15日(土)13時~15時
場 所 日仏会館ホール
講演者 Wang, Celine氏(パリディドロ大学准教授)
テーマ 人民と社会契約-ルソー『社会契約論』の中国における受容 
要 旨 ルソーの『社会契約論』は、日本を経由して19世紀の終わりに中国に紹介された。20世紀のはじめには、数千年に及ぶ皇帝による支配体制に終止符を打った1911年の辛亥革命に先立って、同書は革命を鼓舞する主要な典拠のひとつとなった。同書はまた、中国の若い知識人たちに、自分たちの国の文化について深く反省するように促した。「民」と「民約」は、ルソーの『社会契約論』の鍵となる二つの概念である。民とは、政治体をつくるべく集まることを選んだすべての者を意味する。この政治体の構築は、民約(pacte social)と呼ばれる行為の結果であ る。「この行為を通じて、民(le peuple)は人民 (un peuple) となる」。すなわち、この行為は、立法権、つまり共同体の要務を決定する権能を集団全体に与える創設行為である。この二つの概念は、中国の伝統的な思想からみれば、まったく新しいものであった。中国語で「民」の語は、各人を区別せずに全体として一括りにした集合を意味するのではなく、君(皇帝や王)や官僚と対となる具体的な人々を意味していた。「義は民にあり」という伝統的な観念によれば、民は国家の礎であり、尊重されなければならないのではあるが、決して国事の決定権を持つことはない。『社会契約論』の初期の中国語訳を比較検討する作業を通じて、これら二つの鍵となる概念がどのように訳されているかを詳しく検討し、ルソーの主張が中国の近代思想に新たに何をもたらしたかを明らかにしたい。また、ルソーの主張が、現代、そして将来の中国においてどのような役割を担うのかも問いたい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「軽度発達障害の縦断的研究」
日 時 2012年9月11日(火)19時~21時
場 所 駿河台記念館5階 500号室
講演者 川崎 聡大氏(富山大学教授)
テーマ 学習到達度の観点から見た読みと書きについて
要 旨 小学生を対象に大阪医大との共同研究で取り組んでいる文字の読み書き能力に関するコホート研究の途中経過と、本年度より保険点数化された音読課題(流暢性課題)の特徴とその検証について
公開講演会
企 画 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日 時 2012年7月25日(水)16時~
場 所 駿河台記念館5階 510号室
講演者 デヤン,トドロヴィッチ氏(Belgrade大学准教授)
テーマ 様々な視点から絵を観察することの効果
要 旨 When observers look at the same picture from different locations, their impressions of three-dimensional spatial directions depicted in the image may be different. Such vantage point effects can be strong and dramatic, but are usually overlooked, because people are not used to attend to them. However, they can be readily noticed in large images in museums, churches, and advertising billboards, if the observer deliberately moves in front of these displays and pays attention to the structure of the depicted scenes. Two classes of vantage point effects will be illustrated and discussed. One class, the '3D slant effects', involves perception of 3D orientation of elongated structures, such as roads, pillars, terraces etc. An example is the 'egocentric road effect', in which a depicted road is perceived to be directed at the observer regardless of where the observer is located; that is, the road in the picture can appear to change its direction for 90 degrees or more when the observer moves. The second class are the 'gaze effects', which involve the perceived direction of gaze of portraits. For example, in the 'Mona Lisa effect', a portrait hanging on the wall, which is perceived to direct its gaze at the observer, will continue to do so almost wherever the observer is located; that is, the portrait will appear to 'follow' observers with its gaze as they move across the room. Experiments addressing the slant and gaze effects will be reported. The standard 'dynamic' explanation of these effects, which postulates that they are based on inferences of observers as they move in front of the image, is easily shown to be inadequate, because the effects are present for stationary observers as well. Instead, a 'static' approach to these effects will be proposed, based on interpretations of observer-relative spatial direction cues in images. For the 3D slant effects these cues involve features of linear perspective. For the gaze effects they involve not just the location of the iris within the sclera of the eye (which is often thought to be the only gaze direction cue), but also the perceived orientation of the head of the portrait with respect to the observer.
公開講演会
企 画 研究会チーム「档案の世界」
日 時 2012年7月17日(火)15時~17時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 白  裕相 氏(韓国、慶熙大学副教授、順天堂大学医史学研究室協力研究員)
テーマ 東アジア医学史に於ける黄帝内経の意味と影響
要 旨  紀元前2-3世紀の前漢時代に作られたものと見られる黄帝内経は、春秋戦国時代以前まで巫術と混合されていた医療行為から抜け出し、医学という一つの学問体系を形成することに貢献した。以後、黄帝内経は東アジア伝統医学の最も基本的な理論と臨床原則を表すバイブル的役割を成すようになり、各時代の医学及び医療に様々な影響を与えた。黄帝内経に見られる人間の内面に関する探求と省察は、単純に病を治療する医学のみに局限されたものではない。むしろ、病が表れる以前の生理的状態に関して説明を行い、人間と社会、または人間と自然環境の間の調和を追求している。更に黄帝内経は、現代社会の医学、あるいは医療が抱えている様々な問題に対して、人がどのように暮らせば健康に生活できるのか、社会環境と自然環境の中にどのような調和を見いだして生きていくべきか、という疑問に対する教訓も与えてくれる。従って、本講演は21世紀の新しい医学モデルを造成する際の一助になると期待できよう。
公開研究会
主 催 研究会チーム「地域史研究の今日的課題」
日 時 2012年7月14日(土)16時~18時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室1
講演者 高木 俊輔氏(国文学研究資料館名誉教授)
テーマ 農民日記に見る村落生活史
要 旨 「幕末の志士」となった者、村のために生きた者、幕末明治を生き抜いた「豪農」の実像は奥が深い。馬籠宿の「大黒屋日記」に見る『夜明け前』の世界、信濃国麻績宿の蘆沢家「歳中日記帳」に記された幕末社会。農民日記の丹念な解読・分析を通じて、幕末・維新期の村落生活史の世界を読み解く。
公開研究会
主 催 研究会「ルソー研究」
日 時 2012年7月8日(日)15時~18時
場 所 日仏会館501号室
講演者 坂倉裕治氏(立教大学文学部教育学科教授)
テーマ ルソー生誕300周年記念行事:一研究者の雑感
要 旨 ブレスト、パリ、ノワイヨン、リヨン、ジュネーヴのシンポジウムだけでなく、各地での記念展示や現在進行中の新しい試みなども含めて、概要を私なりに整理し、プロジェクターで映像を写しながら、私見を述べたい。
講演者 増田真氏(京都大学大学院文学研究科教授)
テーマ パリとリヨンのルソー・シンポ報告
要 旨 3月末にパリで行われたルソーの『音楽辞典』に関するシンポと6月初旬にリヨンで行われたルソーの哲学に関するシンポジウムの二つに参加して発表を行ったので、その概要を報告し、また両シンポの主催者やいくつかの発表の概要についても紹介したい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日 時 2012年7月7日(土)16時~17時30分
場 所 駿河台記念館3階 330号室
講演者 友田 明美氏(福井大学教授)
テーマ いやされない傷~児童虐待と傷ついていく脳
要 旨  子どもの頃に受けた、身体の傷はいつか癒えたとしても、心に負った傷は目に見えないところで子どもの人生を蝕んでいく。虐待された子どもの脳がいかに傷つき、どのような発達障害を起こすのか、ヒトの「こころ」の摩訶不思議な脳神経科学的な働きについて、米国ハーバード大学との共同研究によって明らかになってきたことを、虐待と脳発達の臨界(感受性)期との関係を明らかにする。 
公開研究会
主 催 研究会チーム「アーサ王物語研究」
日 時 2012年7月6日(金)15時30分~17時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 平島 直一郎氏(西南学院大学非常勤講師)
テーマ 『クアルンゲの牛捕り』の写本伝統について
要 旨 古アイルランド語の物語『クアルンゲの牛捕り(T?in B? Cuailnge)』はアイルランド文学の中で最も重要な作品であり、長い間高い人気を誇ってきた。その結果さまざまな稿本が存在し、現存する12世紀初頭に成立した最古の写本から19世紀に成立した写本に至るまで、およそ80余りの写本の存在が知られている。今回はこの物語の内容を簡単に紹介し、稿本間の主な相違点を挙げるとともに、昨年出版されたこの分野における最も新しい研究、H.L.C.Tristram先生(Universit?t Freiburg)の論文“Die handschriftliche ?berlieferung des altirischen Prosaepos ?ber den ?Rinderraub von Cuailnge?(T?in B? Cuailnge)” (N. N. Kasanky編, Acta Linguistica Petropolitana / Transactions of the Institute for Linguistic Studies, vol. VII, part 1, 所収、St. Petersburg: Nauka, 2011, 465-507.)を軸に、800年に及ぶ写本伝統の推移と研究の展開を追ってみたい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「アーサ王物語研究」
日 時 2012年6月30日(土)15時30分~17時30分
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室4
講演者 栗原 健氏  (アメリカ・フォーダム大学史学部客員研究員)
テーマ 中世オランダ語版「アーサー王物語」の世界 -『ランスロ集成』と『ワルウェイン物語』をめぐって
要 旨 13世紀から14世紀にかけてネーデルラントでは、フランスの影響を受けて多くの「アーサー王物語」が生み出されていた。それらの作品の中には他に見られない独自のキャラクターが登場するなど、研究者にとって貴重な情報が数多く含まれているが、中世オランダ語という言語の壁に阻まれて近年まで本国以外では研究が限られていた。本報告では『ランスロ集成』(1330年頃編纂)並びに『ワルウェイン物語』(13世紀中頃に完成)を中心に、フランドル・ブラバント地方におけるアーサー王文学の魅力を見て行きたい。特に、フランスの作品との相違点、黒人騎士が活躍するストーリーなどネーデルラント作品のオリジナル性、また「死者の恩返し」、「狐の助っ人」といった随所に見られるフォークロア的モチーフに注目したい
公開講演会
企 画 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日 時 2012年6月27日(水)16時30分~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 劉 安志氏(武漢大学教授)
テーマ 唐王朝の正統性をめぐる論争-二王三恪の位置づけをめぐって-
要 旨 劉安志氏は、近著『敦煌吐魯番文書与唐代西域史研究』を始め、隋唐史や敦煌(とんこう)吐魯番(トルファン)学等の分野を牽引する研究者の一人として広く名を知られている。今回の講演は、唐王朝の「二王(におう)三恪(さんかく)」(先行する諸王朝の王室の末裔に与えられる名称)の位置づけをめぐる為政者の論争を事例に、中国独特の政治的正統性(Political Legitimacy)をめぐる思想史上の葛藤を剔出し、世界の政治思想史に広く関わる普遍的な問題の中国史的個性を明るみに出す。
公開研究会
主 催 研究会チーム「イノヴェーションと芸術」
日 時 2012年6月23日(土)14時~17時
場 所 駿河台記念館 5階560号室
講演者 山崎 太郎氏 (東京工業大学教授 )
テーマ ペーター・コンヴィチュニーのオペラ哲学
要 旨 『クラシックジャーナル』046号 ペーター・コンヴィチュニー特集で編集長を務めた山崎太郎氏が、DVD映像も交えつつ、ベルクハウス、フェルゼンシュタイン等様々な先達の影響をこの演出家がどのように取り込み、一つの思想や方法論に縛られない独自の手法を編み出したかを具体的に検証し、劇場とオペラが持つ豊かな可能性について考えていく。本邦未出インタビュー、舞台制作現場やびわ湖アカデミー等での教育活動なども紹介し、会場との意見交換も積極的に行いたい。
公開研究会
主 催 研究会チーム「イスラーム地域における聖地巡礼・参詣」
日 時 2012年6月23日(土)14時~17時
場 所 東京大学本郷キャンパス法文1号館217号室
講演者 Pedram Khosronejad 氏(Lecturer, University of St. Andrews)
テーマ Some Reflections on the Diversity and Religious Functions of the Sacred Stones and Holy Places of the Bakhtiyari Nomads from the South-west of Iran
要 旨 イラン西南部に暮らす遊牧民、バフティヤーリーのあいだでは、聖者崇敬と聖地参詣が今なお盛んであり、聖なる木・岩石への犠牲の奉納もみられる。このような信仰形態はバフティヤーリーの季節移動における過酷な生活体験と密接に結びついている。かれらと生活をともにして遂行した実地調査に基づいて、その信仰生活の実態と意義を考察する。
公開講演会
企 画 研究会チーム「歴史の中の「個」と「共同体」-社会史をこえて」
日 時 2012年6月16日(土)15時~17時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 Theo P. J. van den Hout氏(シカゴ大学オリエント研究所教授)
テーマ “One Hundred Years of Hittitology: Achievements and Recent Development”
「ヒッタイト学の100年:研究の成果と最近の研究動向」
要 旨 誕生して100年になるヒッタイト学の歩みを振返りながら、最近の研究動向を紹介する。主に、アナトリアにおける発掘とヒッタイト語解読による研究がヒッタイトの文化・歴史の理解にどのように貢献したかを、ヒッタイト古王国から帝国末期にいたる時代(紀元前1700~1200年頃)について見ていく。
公開講演会
企 画 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日 時 2012年5月30日(水)16時30分~
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講演者 劉静貞氏 (国立成功大学教授)
テーマ 宋代研究の新視角:家族と女性の歴史をめぐって
要 旨 近年における中国宋代史研究は、新たな研究方法の適用や史料の系統的な利用法の進展、従来史料の斬新で精緻な読み直し等によって全面的な刷新が進んでいる。劉静貞教授は、宋代のジェンダー史や女性史、政治史研究を長年牽引されてきたほか、上野千鶴子氏等の日本のジェンダー研究の翻訳者としても著名である。本講演では、劉静貞教授に最新の研究成果をお話しいただき今後の宋代史研究の行方を展望する機会をもちたい。
公開研究会
主 催 所研究会チーム 「アーサー王物語研究」
日 時 2012年5月22日(火)16時40分~18時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室4
講演者 ナタリア・ペトロフスカイア氏(ケンブリッジ大学博士課程)
テーマ ウェールズの聖杯伝説とケルト神話―『ブリテン島三題歌』と「マビノギ四枝」をめぐって―
要 旨  現存するウェールズの聖杯伝説が、現在の形に纏まったのは12世紀であり(おそらく11世紀以前とは考えられない)、現存する写本は13世紀以降に書かれた。そのため、12~13世紀にウェールズで知られていたケルト神話と同時代の文化と政治状況を調べれば、当時新しく作り直された聖杯伝説の起源がそこにある可能性が高い。本報告では、ケルト神話の宝典とも呼ばれるウェールズの『ブリテン島三題歌』と『マビノギオン』中の「マビノギ四枝」、さらには同時代の状況に関する情報に依拠して、ウェールズの聖杯伝説の背景を考え直したい。
公開講演会
企 画  研究会チーム「新しい外国語教育のあり方」
日 時 2012年4月21日(土)15時~17時
場 所 中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室4
講演者 シュピルナー,ベルント氏(デュイスブルク・エッセン大学名誉教授)
テーマ 文体論と効果的なコミュニケーション
要 旨 ヨーロッパは多言語主義と異文化コミュニケーションの本場です。言語学的に見ると、ヨーロッパの国はアイスランドを除き、全て多言語です。23の公用語を持つEUは多言語主義を重視しており、「全ての欧州人が少なくとも2つの外国語をマスターする事」を目標に掲げています。語学教育においても文法・訳読型だけではなく、欧州では17世紀からコミュニケーション能力に重点をおいた訓練が行われて来ました。語学授業では、聴く力と話す力を養うためにインターアクティブな訓練が行われています。そして国語教育、外国語教育の目的は、コミュニケーション能力を養う事であるとはっきりと位置づけられています。今回の公開講演会ではデュイスブルク・エッセン大学からシュピルナー名誉教授を講師としてお招きし、LLの失敗の原因、ペア学習、チーム学習の効果などを含め実践的なレベルで語学学習法を共に考えます。