研究

2013年度

外国人研究者受入一覧と講演会等の記録

※氏名をクリックすると講演会等の記録がご覧になれます。

2013年度
フリガナ・漢字
氏名
所属 国名 受入区分 受入期間 講演日 講演タイトル
Olivier Wieriorka
ヴィヴィオルカ,オリヴィ
カシャン高等師範学校歴史学教授 フランス 訪問 2013.4.13 2013.4.13 ヴィシー政府はフランス式 全体主義か?
茅   海建
Mao Haijian
華東師範大学教授 中国 第2群 2013.6.5~6.25 2013.6.12 戊戌変法期間張之洞集団与康有為-派的関係
Joannes Francis
ジョアンネス フランシス
パリ第1大学教授 フランス 訪問 2013.6.24 2013.6.24 紀元前一千年紀バビロニアにおける神殿で働く女性達
Chang Hong Liu
チャン ホン リュウ 
ボーンマス大学教授 イギリス 訪問 2013.8.2 2013.8.2 Face and Culture: Self Construals Modulate Face Perception
Justine  Lacroix
ジュスティーヌ・ラクロワ
ブリュッセル自由大学教授 ベルギー 第2群 2013.10.4~10.13 2013.10.11 危機に直面するヨーロッパ市民権
Viard Bruno
ヴィアール ブリューノ
エクス・マルセイユ大学教授 フランス 訪問 2013.1024 2013.10.24 精神分析者ルソー
雷  聞
Lei Wen
中国社会科学院歴史研究所・研究員(教授) 中国 訪問 2013.10.27 2013.10.27 宮廷と山林のあいだ-中晩唐道教史上の劉玄靖
拜 根興
Bai Genxing
陜西師範大学・教授 中国 訪問 2013.10.27 2013.10.27 入唐高麗移民墓誌との史料価値
董 新林
Dong Xinlin
中国社会科学院考古研究所教授 中国 訪問 2013.12.18 2013.12.18 遼上京と祖陵(遼太祖・耶律阿保機陵墓)の考古新発見
余 欣
Yu Xin
復旦大学 教授 中国 訪問 2014.1.22 2014.1.22 出土文献にみえる漢唐の相六畜法の源流

ヴィヴィオルカ,オリヴィ 氏の講演会

開催日:2013年4月13日(土)
場 所:中央大学多摩キャンパス 2号館4F 研究所会議室2
講 師:ヴィヴィオルカ,オリヴィ 氏  (カシャン高等師範学校歴史学教授)
テーマ:「ヴィシー政府はフランス式 全体主義か?」
企 画:研究会チーム「批判的比較文化研究」
要 旨:師はフランスの第二次世界大戦とくにレジスタンス研究の第一者です。「ドイツ占領下ヴィシー政府の歴史について話していただく。

茅  海建 氏の講演会

開催日:2013年6月12日(水)
場 所:中央大学多摩キャンパス 2号館4F 研究所会議室2
講 師:茅 海建 氏(華東師範大学教授)
テーマ:「戊戌変法期間張之洞集団与康有為-派的関係」
企 画:研究会チーム「近代中国の思想と社会」
要 旨:戊戌変法期に清朝には改革を主張する二派、すなわち急進的な康有為派とやや穏健な張之洞派とがあった。そのため張之洞は「勧学篇」を著し、自身と康有為派との相違を示し、また康有為・梁啓超派と青年層を争奪すべく、『正学報』の刊行を準備した。中国社会科学院近代史研究所の図書館には、大量の「張之洞文書」が収蔵されており、その中の多くの文書は、張之洞集団と康有為派との分岐や暗闘を物語るものである。今回の講演においては、張之洞集団と康有為派との分岐の概要を紹介するとともに、「張之洞文書」に収蔵されている、張之洞の息子の張権が父に当てた密書を重点的に紹介する。この書簡は、戊戌変法の最も重要な時期の北京における康有為派の行動と、それに対する張之洞集団の反応を物語るものである。

フランシス・ジョアンネス氏の講演会 

開催日:2013年6月24日(月)
場 所:中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講 師フランシス・ジョアンネス氏(パリ第1大学教授)    
テーマ:「紀元前一千年紀バビロニアにおける神殿で働く女性達」
企画:研究会チーム「英雄詩とは何か」
要 旨:紀元前1千年紀のメソポタミアの神殿には、高位の女性祭司といった上層階級の女性だけでなく、法的には自由身分であるが生計を立てるために神殿に従属し、夫や家族と共に神殿の農地で働く女性たちや、神に献身し従属するものとされる「修道女」širkatuと呼ばれる奴隷(相当)身分の女性たちがいた。後者の中には、子持ちではあっても夫がいない女性達のグループもあった。社会的に低い地位の女性達がなぜ、どのように都市神殿のような公的機関によって扶養され、神殿の生産システムにおいてどのような役割を果たしたのかを明らかにする。(講演言語:英語)

Chang Hong Liu 氏の講演会 

開催日:2013年8月2日(金)
場 所:中央大学多摩キャンパス 3号館9F 3913号室
講 師:Chang Hong Liu(チャン ホン リュウ) 氏(ボーンマス大学教授)
テーマ:Face and Culture: Self Construals Modulate Face Perception」
企 画:研究会チーム「視覚と認知の発達」
要 旨:known to capture greater attention relative to other familiar faces such as the face of a good friend. Although the adaptive value of self-importance in self-construals undoubtedly steps from a universal law of nature, a close scrutiny of this also reveals how self-construals are at least in part shaped by culture. This talk highlights how the way we see our own face relative to others is profoundly rooted in our cultural value system and how this culturally defined mode of self-face perception can be both stable and malleable over time. Event-related potentials (ERPs) from British and Chinese participants were recorded while they performed a simple perceptual judgment task of their own face or a familiar face. A clear cultural difference was observed in both their behavioural and ERP data. A follow-up study of these cultural groups also demonstrated malleability of their default processing mode after a simple self-construal priming procedure was given prior to the face perception task, where the priming procedure encouraged participants to see themselves either in the light of their own default cultural value or in a different cultural value.

ジュスティーヌ・ラクロワ 氏の講演会

日 時:2013年10月11日(金)
場 所:日仏会館
講 師:ジュスティーヌ・ラクロワ 氏 (ブリュッセル自由大学教授)
企 画:研究会チーム「批判的比較文化研究」
要 旨:ハンナ・アーレントの有名な1951年の著作(『全体主義の起源2帝国主義』)に依拠して、本講演は「権利をもつ権利」と定義される市民権をヨーロッパの場合に即して考察する。なぜなら、欧州市民権の原理は新しいフェデラルレベルの市民権の構築にあるのではなく、個々の加盟国のナショナル市民権を互いに他に開放することにあるからだ。この意味で、欧州市民権とは「権利をもつ権利」を欧州連合の全加盟国に拡大することを意味する。EUがかかる権利の脱ナショナル化の論理を積極的に推進していたならば、EUは基本権行使の条件とされてきたナショナル・アイデンティティの境界を突き崩す空間として立ち現れることもできただろう。
ここで条件法を使ったのは二つの理由による。第一の理由は、新しいものではなく、ヨーロッパは国籍上の帰属と権利の承認を切り離す試みの実験室たろうとする野心を掲げてきたし、一定の成果をあげてきたが、移民・庇護政策に関しては制限的な方針を採ってきたことである。第二の理由は、より最近のもので、国境を超えた世界市民的市民権が後退の危険にさらされていることである。獲得された世界市民的市民権はまだ脆弱なものだが、その成果が倒錯的なかたちで悪用されているとは言わないが、後退の危険にさらされているのである。ヨーロッパの諸国民が、相互承認から相互不信に傾き、人の移動が社会的国家の獲得物に寄生する危険が、こんにちわれわれの目の前にある。

ヴィアール ブリューノ 氏の講演会

日時:2013年10月24日(木)
場所:中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室1
テーマ:「精神分析者ルソー」 
要 旨:17世紀のジャンセニストの後継者であるルソーは、原罪を破棄し、人間の行動の中心に自尊心(他者の視線を気にかけること)を置いたという意味で言葉のできる以前の精神分析者であった。だからルソーは完璧な人間学をうちたてた。
企 画:共同研究チーム「ルソー研究」

雷 聞 氏、拜 根興 氏の講演会

日 時:2013年10月27日(日)
場 所:駿河台記念館570号室
講 師:孫 雷 聞 氏(中国社会科学院歴史研究所・研究員(教授)
テーマ:「宮廷と山林のあいだ-中晩唐道教史上の劉玄靖」 
要 旨:雷聞氏(1972年陝西旬陽生まれ。北京大学博士)は、主著『郊廟之外-隋唐国家祭祀与宗教-』(2009年)によって、中国社会科学院の胡縄青年学術奨を獲得した現在の中国隋唐社会史研究を先導する研究者の一人である。本講演では、9世紀における南岳天台派の著名な道士・劉玄靖の思想と事跡をてがかりに、会昌の廃仏をめぐる唐代の道教と仏教の関連、道教と国家との関連について新たな分析を加え、唐代道教の実態に迫る。 
講 師:拜 根興 氏(陜西師範大学・教授)
テーマ:「入唐高麗移民墓誌との史料価値」
要 旨:拜根興氏(1964年陝西省生まれ。韓国慶北大学博士)は、主著『七世紀中葉唐与新羅関係研究』(2003年、2008年重印)、『唐朝与新羅関係史』(2009年)、『唐代高麗百済移民研究』(2012)等で知られる、現在の東アジア交流史を牽引する研究者の一人である。本講演では、西安や洛陽等で出土した21方の高句麗遺民の墓誌の解読をふまえ、7~8世紀の東アジア外交史を再構築する。                              
企 画:研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究

董 新林氏の講演会

日時:2013年12月18日(水)
場所:中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講 師:董新林 (ドンシンリン)氏  (中国社会科学院考古研究所教授)
テーマ:「遼上京と祖陵(遼太祖・耶律阿保機陵墓)の考古新発見」
要 旨:遼(りょう)(916-1125)は、東北アジアの遊牧狩猟地域出身の契丹(キタイ)人が中国大陸の農業地域を征服して建国した王朝である。ユーラシア大陸東部の歴史をふりかえる時、遼は、遊牧・農業両地域を包含する体系的な統治制度を創造した点において、歴史の画期をなす国家となる。近年の遼研究を国際的に先導する董教授は、今回の講演において、自ら発掘を指導した遼の都城・上京と遼の太祖・耶(や)律(りつ)阿保機(あぼき)(872-926)陵墓の考古新発見をもとに、都城と王陵の関連を新たに分析する。

企 画:研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究

余 欣 氏の講演会

日時:2014年1月22日(水)
場所:中央大学多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室2
講 師:余 欣(ヨ キン) 氏  (復旦大学教授)
テーマ:「出土文献にみえる漢唐の相六畜法の源流」
要 旨:「相六畜」(家畜の鑑定)は、中国前近代の占法「形法」の重要な一領域である。「形法」とは形をとおして対象の本質を見極める技術で、世界やその存在意義を理解する手段でもあった。近年、相六畜に関係する「相書」が陸続と出土しているが、系統的な分析はいまだ不充分である。本報告では、伝世文献や各種出土資料・画像資料を駆使しつつ、漢唐期の相六畜の源流について探ることで、「形法」についての認識を深めんとするものである。
企 画:研究会チーム「世界史における「政治的なもの」」