ビジネススクール

フィールドラーニング(戦略1・2)にて 社会保障・人口構造の専門家 元厚生労働省社会保障調査官・政策研究大学院大学副学長小野太一先生による特別講義を実施

2026年07月14日

2026年7月5日、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム「フィールドラーニング(戦略その1)」(担当:八尋俊英 教授)において、元厚生労働省政策統括官付政策統括室社会保障調査官で、社会保障・人口構造の専門家である 小野太一先生 をお迎えし、特別講義を実施しました。

●概要

講義では、少子高齢化・人口減少という日本の構造課題を、最新の統計・国際比較・政策史・思想的背景を踏まえて多角的に読み解きました。 人口動態の推移、医療・介護の需給逼迫、家族観の特徴、ケアエコノミーの台頭など、社会保障を取り巻く課題が有機的につながる形で提示され、受講生は「社会構造の変化を踏まえて未来を考える重要性」を強く認識しました。

●小野先生が示した“日本の構造変化”

講義では、以下のような最新データと示唆が共有されました。
• 85歳以上では 女性が男性の約2倍 に達する人口構造
• 親の介護を成人の子が担う義務があるという考えを否定する割合の高さ
• 医療・介護の需給逼迫と供給サイドの「2035年の崖」
• 高齢者の再定義(暦年齢ではなく平均余命・健康度で捉える)
• デンマークの リエイブルメント(再自立支援) によるケアのパラダイム転換
• ケアエコノミーへの投資と予防医療の統合的システム設計の必要性
• 社会保障と企業の労働分配率・産業構造の相関


これらのデータは、単なる「少子高齢化」という抽象的な言葉を超え、社会課題の本質を高い解像度で理解するための基盤となりました。
 

●受講生の感想(一部抜粋)

学生からは、以下のような声が寄せられました。


「漠然とした少子高齢化が、具体的な構造課題として理解できた」 85歳以上の女性人口比率の高さや単身世帯の急増、日本の家族介護観の特徴と、初めて知る事実が多く、社会課題の本質を捉える視点が得られた。
「悲観論ではなく、産業化・自立支援・高齢者の再定義という前向きなパラダイムシフトが必要だと理解した」 ケアエコノミーへの投資、予防医療の動機付け、社会保障の持続可能性を高める仕組みづくりの重要性を認識した。
「リエイブルメントは自分たちの班の理想像であり、事業施策にリアリティが生まれた」 エコシステム・ステイクホルダー分析の視点が、グループワークの深化に直結した。また「食の自立」というアプローチ(誰かに食べさせてもらうのではなく、自分で好きなモノを選んで食べる)にも可能性を感じました
「高齢者の定義を暦年齢で区切るのではなく、平均余命や健康度で捉えるべきだと実感した」 Productive Engagement(生産的社会参加)の概念が、人生100年時代のライフデザインを考える契機となった。
「1970年代から現在の課題が予見されていたことに驚いた」 にもかかわらず社会で共有されてこなかった理由を考えるきっかけとなった。
「競争の作法が変わる中で、企業活動そのものを変革する必要性を痛感した」 自社の取り組みを振り返り、旧来型の競争から脱却する必要性を認識した。
•2050年には単身世帯割合が半数にもなる。これまで当たり前とされてきた家族の在り方も多様化していく社会においては、マーケティング活動も変わるだろうし、あらゆるサービス、税制度なども変わっていくことが予測され、今の常識やバイアスを取っ払って思考していく必要があると改めて感じました。
•政策は数十年単位で動く。事業計画はせいぜい10年で、実際に走るのは3年前後。政策と事業計画の話が噛み合わないのは、前提にしている時間の長さが違うからか。 政策・金融・技術・教育のそれぞれに翻訳できる人間を、社内にどう抱えるか。人事の勝負にもなりそうだと直感。

●1限と2限が“つながる”CBSならではの学び

小野先生の講義で提示された社会構造の変化は、続く八尋教授のDay5 エコシステム戦略へと接続され、 「社会課題(1限)と企業戦略(2限)が一本の線でつながった」 という声が多く寄せられました 。
受講生は、リアルな人口・社会保障データと企業の戦略論を統合することで、フィールドラーニングで取り組む企業課題(例:高齢者の食問題)に対する解像度と実践性を高めることができました。

●CBSについてもっと知りたい方へ

フィールドラーニングは、現実の企業を事例とし、受講生一人一人が経営者の立場に立って課題を発見し、戦略を構築し、実行計画まで作り上げる実践的なプログラムです 。2026年度はアサヒグループ食品株式会社に寄付講座としてご協力いただき、社会構造の変化を踏まえた実践的教育を進めています。


フィールドラーニングについては、以下のリンクをご覧下さい。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/fl/

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/