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「戦略と組織」において、㈱LIXIL常務役員 安井卓氏による講演を実施

2026年06月09日

2026年5月9日(土)、発展科目である「戦略と組織」(担当:露木恵美子教授)において、㈱LIXIL常務役員CX部門 リーダー 兼 Digital部門 CX Digitalリーダー安井卓氏をお招きし、組織変革のケーススタディとして講演を実施しました。

●概要

本講義では、LIXILにおけるアジャイル・スクラム導入を軸とした組織変革の実践について、変革の当事者である安井氏から現場の声をお届けいただきました。

LIXILを取り巻く市場環境は大きく変化しており、新設住宅着工戸数の減少とリフォーム市場の拡大という構造変化の中で、従来のBtoB型営業からエンドユーザーの潜在ニーズを捉えるBtoCへのシフトが急務となっています。この変革を支えるため「顧客体験の創出」・「顧客接点を通じた価値の統一」へ、根本から問い直す取組みをしています。

LIXIL社が推進してきた「Scrum@Scale(スクラム・アット・スケール)」は、小さなチームの成功体験を全社規模に拡張するための組織モデルです。「スクラムマスター・サイクル(現場課題の解決)」と「プロダクトオーナー・サイクル(経営方針の浸透)」の2つのサイクルを連動させることで、現場の状況がトップに即座に伝わり、迅速な意思決定を可能にするOODA LOOP型の機動的な組織を目指しています。

また、「Do the Right Thing(正しいことをしよう)」「Work with Respect(敬意を持って働こう)」「Experiment and Learn(実験し、学ぼう)」というLIXIL Behaviorsを単なるスローガンではなく日常の共通言語として浸透させてきた取り組みも紹介されました。変革において「問題ない」という報告しか上がらないこと自体が最大の問題であるとし、悪い情報を早く上げることを推奨し、個人の責任追及よりもチームとして解決することを重視する文化の醸成に注力してきたとのことです。

心理的安全性の醸成については、「ハピネス度(幸福度)」を5段階で計測し、生産性の先行指標として活用していること、また雑談や飲食を通じて互いの弱みを共有できる関係性を築くことの重要性を、安井氏自身の実体験を交えながら語っていただきました。受講生との質疑応答では、ROI(投資対効果)の可視化や、現場の抵抗と向き合う具体的な手法についても踏み込んだ議論が交わされ、理論と実践が交差する充実した時間となりました。

●受講生の感想(一部抜粋)

・本講義は、理論だけでなくLIXILという巨大組織での生々しい変革プロセスを知ることができ非常に刺激的でした。特に「幸福度が生産性に直結する」という視点は、効率化ばかりを追い求めがちな日々のマネジメントに対する重要な視座でした。バックログの可視化やヘルプサインを実践に移したいと考えています。

・LIXILの現場の生の声を聞ける機会となり、普段の業務の中では経験できない他社の事例をリアルで体験できる貴重な授業でした。アジャイル・スクラムはスクラムを組むことでチームとして見えない部分が見えてきて、色々な人が協働することで良い意思決定ができるのだと考えることもできました。

・「組織の停滞感」に対するもやもやが、LIXIL社の事例研究と安井常務との対話を通じて、少し腹落ちしたように感じました。組織の視線を内向きから外向き(顧客価値)へと向かわせるアジャイルの思想は、現代企業が必要としている「解毒剤」であると感じました。まずは自分のチームから小さな「実験と学習」を始めてみたいと思います。

・今回のLIXILさんのケースは、同じ人の住環境の創造をする企業として大変勉強になりました。痛みを伴う現在進行形の改革の実践に敬意を表します。スタッフ部門のほうがアジャイルスクラムが回っていないというお話は自社では特に盲点でした。

●CBSについてもっと知りたい方へ

「戦略と組織」は、企業戦略と組織設計の関係を理論と事例の往復から深く探求する発展科目です。組織の背後にある「見えない構造」を読み解き、組織を支える見えない文化の影響を踏まえて、市場・戦略・プロセスが互いにどう影響し合って結果を生むのかを考える力を養います。ゲスト講演では実際の変革を推進してきた経営者・リーダーから、現場ならではのリアルな洞察をお伝えいただいています。
CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/