ビジネススクール
知識創造戦略論にて株式会社セブン‐イレブン・ジャパン取締役執行役員リクルート本部長の飯沼一丈氏による講演を実施
2025年12月17日
2025年12月6日(土)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン取締役執行役員 リクルート本部長の飯沼一丈氏をお招きし、講演を実施しました。
●概要
「セブン‐イレブン・ジャパンの成長戦略」と題した今回のご講演では、セブン‐イレブンの強さを商品力、街づくり戦略、単品管理、コミュニケーションの観点からユーモアと熱情を込めて語っていただきました。特に単なる店舗づくりではなく「街づくり」から考える出店戦略とそのために必要な知識がどのように蓄積され、形式知化されて組織において共有され、活用されて新たな知識が創造されていくかというプロセスについて、詳しくお話しいただきました。また、今や欠くことのできない社会インフラとなったセブン‐イレブン・ジャパンの今後について、地方自治体も巻き込んだ社会的課題の解決への取り組みや、グローバル化の推進等についてもお話しいただきました。参加した受講生との質疑応答も活発に行われ、受講生にとっては多くの気づきを得るとともに、自組織においてどのようにすべての組織メンバーを巻き込んで「楽しく」働き、価値創造を行っていくかを深く考える機会となりました。
●受講生の感想(一部抜粋)
・飯沼様の熱意のある話に引き込まれました。
大企業としての方針を徹底している中で、現場では1店舗ごとにきめ細やかな対応を行っている、企業としての両面の強みを知ることができました。
また大小に関わらずSECIモデルを回す仕組みや意識が根付いており、知識創造がセブン‐イレブン・ジャパンの強みの源泉であると理解できました。
・今回の講義を受けて、ビジネス戦略に対する見方が根本的に変わりました。SECIモデルの構造は前回の授業までに理解をしておりましたが、理論が実践されている事例として、SECIモデルというフレームワークを、セブン‐イレブンという身近な企業の具体的な戦略、特にデータを活用されている事例に落とし込んで説明してくださったことで、抽象的な理論が生きる知識として明確に理解できました。
また、ビジネス戦略の上で、人間性とビジネスの両立の重要性も理解しました。利益追求だけでなく、「寄り添い」や「地域との共生」という人間的価値を大切にしながら、それがビジネスとしても成立している点に感動しました。ご講演の事例から、人の心に寄り添い、顧客の立場に立ちそれをビジネス化されていることを随所で感じました。自身の事業でも、「理論からの現場への実践」と「人の心に寄り添うことを、ビジネスの中心に置くこと」を実践していきたいと思います。
・今回の講義では、セブン‐イレブン・ジャパンがなぜ長年にわたり業界で圧倒的な地位を維持できているのか、そのメカニズムについて学びました。特に印象深かったのは、同社の強みが単なる「店舗数」や「効率化」にあるのではなく、組織全体で「暗黙知」と「形式知」を高速で循環させる(SECIモデルを回す)仕組みにあるという点で、実際の事業側の事例を通じて学びの解像度を高めることができた点で意義が大きいと感じる。
・今回の講義を通じて、セブン‐イレブン・ジャパンが長期にわたり業界トップを維持してきた理由を、理論と実例の両面から深く理解することができた。特にフランチャイズを軸とした独自の経営システムと、現場に根ざした組織的学習(データのモデル化)によって支えられていると感じた。
・お話に出てきたリクルート部門は、伺った以上に暗黙知の多い部分で、それを形式知化し表出することを繰り返すことで、より良い場所への出店を叶えていらっしゃり、まさにSECIモデルの成功例だと感じました。また、モノを売るのではなくコトを売る、ヒューマンビジネスというお話がとても印象に残りました。最近は無人レジ、無人店舗も増えてきていますが、やはり対ヒトのビジネスは、人にしか出せない温かさがあると思います。その姿勢を崩さない点にも感銘を受けました。
●CBSについてもっと知りたい方へ
「知識創造戦略論」は、企業経営を現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点からとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてセブン‐イレブン・ジャパンのケースを取り上げており、飯沼氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。
CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/
今回の講義は、南甲倶楽部のご高配により実現しました。南甲倶楽部は中央大学出身の経済人による交流会であり、中央大学ビジネススクールは設立時より南甲倶楽部より多大なるご支援を頂いています。
南甲倶楽部の詳細は、以下のリンクをご覧ください。
https://nanko-club.jp/