ビジネススクール
人的資源管理論において、テルモ株式会社人事部長 本庄正治氏による講演を実施
2025年10月31日
2025年10月25日(土)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム基礎科目「人的資源管理論」(担当:島貫智行教授)において、テルモ株式会社人事部長 本庄正治氏をお招きし、講演を実施しました。
●概要
グローバル経営の推進において、日本本社の人的資源の蓄積と発揮が重要な経営課題となっています。クロスボーダーM&Aを通じた企業成長を加速するため、日本本社の組織能力向上を実現する人事変革について、テルモの人事部長である本庄氏に、ジョブ型人事制度を中心に、上級職登用の公募制や任期制、成長支援としての評価や1on1、専門職の新設などについて具体的な取り組みをお話しいただきました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとって授業で学んだ考え方を実際の企業事例に適用することで理解が深まるとともに、戦略人事の実践を考える貴重な機会となりました。
●受講生の感想(一部抜粋)
・テルモの「デバイスからソリューションへ」という戦略転換に、人事制度(ジョブ型・公募・任期・評価キャリブレーション・月次1on1)が有機的に接続されている点が、戦略人事視点で極めて実務的で学びが多くありました。理念(医療を通じて社会に貢献)→バリュー→制度→運用→人材流動の一気通貫された設計と具体例は、これぞ生きた戦略人事としての理解をより深めることにつながりました。
・企業が直面するグローバルでの人材不足や若手社員のモチベーションといった課題に対し、「Growth Mindset」という前向きな理念を掲げられたことに深く共感し、この理念を土台として、「一人ひとりが自分のキャリアを主体的にデザインする」仕組みへと人事制度を転換された点に強い感銘を受けました。
・ジョブディスクリプションの明確化や、評価基準の透明性向上といった具体的な取り組みについて、実務レベルでの工夫や苦労を率直にお話しいただき、理論だけでは学べない実践的な知見を得ることができました。従来の日本型雇用システムからジョブ型制度への転換は、多くの企業が直面している課題であると思いますが、医療機器メーカーという専門性の高い業界でこの方法を採用され、成果を出されている事例として、人事という仕事の奥深さと重要性を改めて認識しました。
・ジョブ型人事という「箱」を作った後の、現場での対応に感銘を受けました。コンサルタントはジョブディスクリプションの作成や評価制度の設計に注力しがちですが、安易な異動への牽制などの制度運用の課題にも目を向けています。「戦略人事」には容赦ない論理と人事部の覚悟が必要であることを痛感しました。
・テルモの人事制度変革は地方の小さな組織にいる身では想像がつかないほどのグローバルで大規模なものでしたが、丁寧なご説明を通して、企業への想いと粘り強さ、明確な課題感とビジョンがあれば実行できるものであると感じました。
・「人事部門が自らビジネスパートナーとして経営に貢献するマインドを持つ必要がある」という点が特に重要だと感じました。
・海外市場への展開を進める日本企業にとって、すでに海外での事業を進めているテルモ社の事例は非常に参考になりました。「ゆるやかにまとめていく」というお考えは、変革を進めるあらゆる場面に通じると感じました。
・しっかり理念が浸透しているからこそ社員が人事改革についてきているのだと感じました。会社内で何か変革する時に実現できるか否かの要素として、理念の浸透が重要であることを学ばせていただきました。
・「人事部門もビジネスに勝つためにはどうしたらよいかを考えて制度や仕組みを検討している」という言葉が印象的でした。会社は戦略を実現するために様々な打ち手で対応しますが、全ての組織がこの戦略のもとに一体となって取り組みをしていくのが大事なのだろうと思いました。
●CBSについてもっと知りたい方へ
「人的資源管理論」は、企業経営における人材の確保と活用を学ぶ基礎科目です。経営戦略と人材戦略を連動させる戦略人事の考え方を基本として、採用や育成、異動・配置、評価、報酬管理、労働時間管理、DE&I、多様な就業形態などの主要テーマについて、講義と事例分析、ケース討議を組み合わせて学びます。ゲスト講演では今日的なトピックを取り上げて、受講生の勤務先での実践や応用について考える機会を提供しています。
CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/