ビジネススクール

知識創造戦略論にてエーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏によ る講演を実施

2025年07月12日

2025年6月26日(木)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏をお招きし、講演を実施しました。

●概要

「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を理念として掲げるエーザイが、理念を単なる美しい言葉に終わらせず、共感に基づく患者との共同化から始まる知識創造プロセスに本気で取り組むことで、患者にとっての価値が生まれ、それが結果としてエーザイの価値を高めることにもなるというお話を様々な具体例を交えながら、熱意と迫力を持って語っていただきました。さらにその活動はエーザイ1社に留まらず、他業種の様々な企業と協働しエコシステムを築くことで人々の憂慮を取り除き価値を提供していくという、hhc理念+エコシステム (hhceco)への進化についてもお話頂きました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとってはこれまで学んだ理論を現実の企業のケースに当てはめて考えることで、多くの気づきを得るとともに自組織についても深く考える機会となりました。

●受講生の感想(一部抜粋)

・講義で紹介された複数の事例を通じて、SECIモデルが単なる理論に留まらず、企業文化や組織行動の根幹にまで深く結びついていることが分かりました。特に「自己共感」や「共同化」というキーワードが印象的で、知識創造が患者さん自身との共同により社員個人の内面から始まり、周囲との相互作用によって深化するというエーザイの企業としての事業へのプロセスは素晴らしいと思いました。

・素晴らしい企業理念を掲げている会社はたくさんあると思います。ただそれを実践できている会社は少ない。話を聞く前は、本当にそんなきれいごとを言って、上場企業でやっていけるのか?と思っていましたが、全ては患者の利益のために、そして結果としての利益がある、会社として目指すべき利益を全社で共同化できていて、その太いコンセプトのもと、あちこちでSECIモデルをまわしている。それがエーザイの強さになっているんだろうと納得しました。

・SECIモデルの実践、共同化の大切さ。賢い社員を増やすのではなく、共同化しそこで感じたことからアクションを起こし、新薬などの商材の拡大、そして利益につなげていけるような情熱に溢れ共同化できる人材の確保、そんな社員を育成し企業成長させている点が非常に学びになりました。

・善を成果として設計し、資本主義の限界を越えようとしている企業という強い意志を圧倒的に感じました。利益と倫理、患者と株主、理念と実務、これらを二項対立にせず、矛盾を内包したまま統合しようとする姿勢に、未来の企業の在り方を見ました。

・SECIモデル、特に”共同化”への理解深化。講義内容ももちろんですが、個別の質問に対する先生の実体験・具体例を用いた回答に非常に興味を持ち、勉強になりました。また、講義資料以外の先生からのキーワード”場には命がある”や”共同化して相手からニーズをとる”など、営業担当の私からしたら明日からの業務に活かせる内容、または無意識に取り組んできていたことを明日以降より意識的に明確な目的をもって活かせる内容であり、満足しております。

●CBSについてもっと知りたい方へ

「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてエーザイ株式会社のケースを取り上げており、高山氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/