ビジネススクール
グローバル経営戦略論において、Ajinomoto Foods North America CEO 下保寛氏が「戦略仮説」をテーマに講演
2025年06月05日
2025年5月20日(火)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム専門科目「グローバル経営戦略論」(担当:犬飼知徳教授)において、Ajinomoto Foods North AmericaのPresident and CEOである下保寛氏による講演が実施されました。
●概要
クロスボーダーM&AとPMIの本質に迫る
下保氏は、味の素グループにおける欧州・アメリカ・アジアでのM&AおよびPMI(Post Merger Integration)実務に長年携わってきたご経験から、クロスボーダーM&AとPMIにおける「戦略仮説(Strategic Hypothesis)」の重要性を軸に講義を行いました。
講義の冒頭では、「M&Aは単なる買収ではなく、成長を加速させるための戦略仮説に基づいた意思決定である」との重要なメッセージが提示されました。そのうえで、買収により何を得て、どのようなシナジーを創出するかという戦略仮説の立案と実行と検証こそが、M&AとPMIの成否を分ける鍵であると強調されました。
また、実際に下保氏が携わった香港・欧州・北米におけるM&AやPMIの事例を紹介しながら、「骨太かつ具体的な戦略仮説」の要件や、それを実現するためのガバナンス設計、組織文化の統合、人材の見極めといったPMIにおける実務的要諦について、具体的かつ実践的な洞察が共有されました。
講義の終盤では、日本企業のM&AとPMIにありがちな課題として、「リーダーの戦略と財務の弱さ」や「海外環境におけるリーダーシップの未整備」が指摘され、これからの日本企業には戦略仮説を軸とするM&AとPMIのトライアル&エラーによる学習サイクルが不可欠であると締めくくられました。
本講義は、グローバル経営戦略のM&AとPMIにおける戦略理論と実務の橋渡しを体現する貴重な学びの場となりました。
●受講生の感想
・PMI 、M&Aの目的は、「資本の論理」からはじまり、経営の戦略仮説を実現していく手法であるという根本的なところから理解することができました。また、PMIのプロセス、DDのリアルなプロセスもお聞きすることができ、当社はDDされる側ではあるのですが、自分自身に置き換えても何が重要視されているのか理解することができました。
・戦略仮説を軸にもち、単なる統合計画の管理者ではなく、戦略と現場の橋渡し役、チェンジマネジメントの推進者、部門間の調整、リスク管理、など多岐に及ぶ調整とそれを遂行するリーダーシップが重要であることを強く認識しました。また私たちに向けた学びのメッセージまでいただき、心に響く講演でした。
・M&A、PMIについて普段なかなかお聞きすることはできない貴重なことを聞くことができ大変勉強になりました。またインタラクティブでとても良い経験ができました。特にPMIや海外になると難易度が上がる理由が整理されて説明があったのでわかりやすかったです。
・グローバルにM&A、PMIを手掛けてきた下保さんの生の声が聞くことができた。自身の経験に基づいた言葉にはとても重みがあった。自身のキャリアにおいて、今後このような機会があればぜひ参考にしたいと思った。
・M&Aにおいては「これがあればもっと成長できる(これだけ払って、これだけ手にいれる)」という戦略仮説が全て。この戦略があるから、M&Aをやる。当たり前のように聞こえるが、味の素社含め、できていない、もしくは考えが浅い日本企業が多いのだと思う。
●CBSについてもっと知りたい方へ
CBSの特徴やカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/