ビジネススクール

研究科長から令和3年9月入学生へのお祝いメッセージ

2021年09月21日

 みなさん、中央大学ビジネススクールへのご入学おめでとうございます。入学に際して、みなさんを励まし、背中を押し、支えてくださっているご家族・ご友人・パートナー・職場関係者のみなさまにも、心からのお慶びを申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延で、対面での開催が危ぶまれた入学式ですが、今日こうしてこの場に一同に会して挙行できること、準備を整えてくださったすべての関係者の皆様に感謝したいと思います。

中央大学ビジネススクールは、2008年に設立され、この4月で14年目を迎えます。この間で入学式を開催できなかったのは2回あります。東日本大震災の起こった2011年4月と新型コロナ禍に見舞われた2020年4月です。世界ではこの未知のウイルスのために、人と人との接触や行動が制限され、社会や経済に大きな混乱と不安をもたらしています。みなさんも、職場やご家庭で、今までにないご苦労をされてきたと思います。このような状況のなかで、CBSに入学することを決断されたみなさんの勇気と学ぶ意欲に心より敬意を表します。 

 みなさんには、昨年4月からこの間、CBSがどのような試みにチャレンジしてきたかを最初にご紹介しましょう。昨年の4月に第1回目の緊急事態宣言が発出され、大学への入構ができなくなりました。そこでCBSではオンラインリアルタイム双方向授業を、すべての科目で実施するということを決断しました。「学びを止めるな」が合言葉になりました。

 4月は実験期間として、今みなさんが受けているプレ講義の原型となるテスト授業期間を2週間設け、接続テストをして回線の状況を確認したり、教員とのやり取りはスムーズにできるか、グループワークができるか等を確かめました。授業配信用のスタジオ形式の部屋もつくりました。7月からは、対面とオンラインを同時に実施するハイブリッド授業の実証実験を在学生のみなさんと実施し、音声に問題があることがわかって、新しいスピーカーマイクを導入することを決めました。さらに、研究科長と学生とのオンラインタウンミーティングを何回も開催し、学生さんの意見を聞いたり不安を解消する場を設けてきました。これらの試みは、在学生のみなさんの協力や理解がなければ絶対になしえなかったことです。

 一方で、オンライン双方向授業を積み重ねるうちに、利便性や教育上の課題・そして限界もわかってきました。通学しなくても自宅で学べることのフレキシビリティ、学内でしか見られなかった録画を自宅からも見られるようになったことで復習がしやすくなったこと等よいこともありました。その一方で、対面授業のニーズがかなりあり、実際に会って授業を受けること、共に学ぶ友人たちと出会える喜びや教育効果についても、再確認できました。

 従来、CBSのほとんどの授業では、グループワークやディスカッションが頻繁に行われ、対面授業で相手と対峙することで学習効果が高まります。新しい価値は人と人との出会いからしか生まれません。みなさんの学びに対する思い、情熱が身に沁みてわかったからこそ、コロナ禍だからといって、みなさんの学びたいという「心の火」に水をさすことは、CBSとして絶対にしてはいけないことだという確信が生まれました。

 この間、ビジネスの世界では、「ピンチをチャンスに」と言う言葉がよく聞かれるようになりました。環境が激変して、まったく売り上げが立たなくなってしまった業界、倒産や廃業に追い込まれる企業もあれば、コロナニーズともいえるような新しい商売の種もたくさん芽吹いていて、そこに迅速に対応してビジネスにつなげている企業も多々ある。新型コロナウイルスは、われわれに環境の変化を実感させ、今までのやり方を見直す機会を与えてくれているともいえるでしょう。

 みなさんがCBSの門を叩いたのも、きっと過去の延長線上ではない新しい現実に向き合うためではないでしょうか?そこに漠然とした疑問・不安・モヤモヤ感があるからこそ、自分のいた世界から少し抜け出してみようと決意したのではないでしょうか?

 自社の外に身を置いてこそ、わかる自分たちの特徴というものがあります。CBSは多様な人材の集まる場です。異なる職種・業種・性別・年齢、一人として同じバックグランドの人はいません。その多様な視点・多様な価値観と触れ合うことで、きっと新しい気づきがあると思います。それがチェンジリーダーとしての入り口に立つということです。どうぞこれからの2年間を大いに期待してください。

 最後に、みなさんにお願いしたいことが一つあります。われわれは、互いに学びあうコミュニティです。昨年のコロナ禍でのオンライン授業も在学生のみなさんと一緒に作り上げてきたものです。ですから、みなさんにも「単なる教育サービスの受け手」ではなく、一緒によりよい学びの場をつくることに協力してほしいのです。みなさんを、共に学びあう「仲間」としてお迎えしたいと思います。

 さあ、今日から新しい学びの始まりです。CBSへようこそ!

 

令和3年9月18日 

 

中央大学大学院戦略経営研究科 研究科長 露木恵美子