ビジネススクール

2021年度 ケース企業:ハウスコム株式会社

2021年度は、2020年度に引き続き、不動産賃貸仲介業大手のハウスコム株式会社にケース企業としてご協力いただきました。ハウスコムは、CBSの修了生である田村穂さんが社長を務められ、まさにわれわれが目指すチェンジリーダーとしてハウスコムを牽引されています。ハウスコムは、これまでマンションやアパートを借りたい方に物件を紹介するという賃貸仲介事業者として順調に成長してきましたが、田村社長は「THE LIVE DESIGN COMPANY」という新たなビジョンを掲げ、絶え間ない変革に取り組んでいらっしゃいます。

FLでは、田村社長からの現在の経営戦略を直接ご講義いただいた後に、経営戦略・マーケティング・ファイナンスの各側面から総合的に現状を分析しつつ、バックキャスティングを用い長期的な課題発見と戦略策定を行ないました。

田村社長のご講演の様子

その間、受講生はハウスコムの幹部候補生とチームを組み、本社や店舗の社員の皆さんから聞き取り調査を行い、今まさに現場で何が起きているのかを五感をフルに使って観察します。最終的には、田村社長をはじめとするハウスコムの経営幹部の皆様の前でプレゼンテーションを行ないました。


受講生とハウスコム社社員も交えたディスカッションの様子

参加者の感想

「知っている」から「使いこなせる」に繋がる実践的な体験

私はIT企業で人事責任者をしながら中央大学ビジネススクールに通っております。CBSに入学した目的は、自社の事業戦略と人事制度の結びつきをより強化する事で、エンジニア(従業員)満足と顧客満足を両立し、エンジニアによる付加価値の高いサービス提供と、お客様の満足により利益が得られる好循環を実現したいとの思いから入学を致しました。

2020年4月の入学直後に1回目の緊急事態宣言に見舞われ、原則オンラインでの授業に急遽切り替わるなかで、先生方の「学びを止めない」との熱意のもと、リアルと対面を組み合わせたハイブリット授業により、怒涛の1年目が過ぎ去っていきました。2年目のはじめ「これまでの学びを実際の現場で活かしきれていない」、「このままでは忘れていってしまう」といった焦りにも似た気持ちにかられる事がありました。また、これまでの授業で教えて頂いた理論を組み合わせて、よりリアルな現場で実践したいとの思いにかられ、フィールドラーニングを受講致しました。

授業はハウスコム社の田村社長の講演に始まり、社員の方も学生の輪に入り一緒に10年先を想像した上で現在にバックキャストして何をしていくべきかを考え、最終的には田村社長へ提案する事をゴールに進めていきました。その中では1年目に学んだ戦略やマーケティング、アカウンティングなどを振り返る機会が用意されており、忘れかけていたモノを思い出し以前の授業の内容を振返る機会をいただきました。

また、実際の店舗にお邪魔し店長さんの生の声を聞く事や、社内会議に参加するなかで、ハウスコム社の経営企画部の一員になったかのようなリアルな体験が出来ました。授業の最後に田村社長へプレゼンテーションをする際には、これまでの学びを活かし、チームで議論を重ねたワクワクする戦略を提案したいと思います。またそのころには、一緒にグループワークを行うチームの関係性もより高まっている事と思います。

仕事と大学での学びのなかで慌ただしく過ごしていると、大学での学びがどこか目的化してしまい、本来の目的を見失いかけていた自分に、フィールドラーニングの授業は、学びを実際に活かす事、「知っている」から「使いこなせる」に繋がる実践的な体験を与えてくれる授業でした。

統合的な学びとしての醍醐味

自分の前職(広告会社)では経営戦略を顧客企業のトップに直接提案する機会はほとんどありませんでした。広告会社の提供価値としてそこまでの提案は期待されていないと感じましたし、また、自身のスキル不足も痛感していました。CBSに入学した理由の一つに、経営者の視点で総合的に戦略を評価できる視座を獲得したいということがあり、特に昨今の環境変化の中で、企業の非連続的な成長に貢献できる「変革の担い手」を育成しようというCBSの教学方針は、まさに自分の目指す方向性でした。

CBSの幅広い講義科目の中でも特に惹かれたのが、「夏休みを挟んで第二ミニセメスターから第三ミニセメスターまで一貫して、一つのプロジェクト課題を、同じチームメンバーで取り組む」というフィールドラーニングです。CBSの講義はどれもが「実践知」を重視した企業人向けの内容ですが、中でもこの講義はある不動産企業の経営課題に向き合い、その企業の一員という姿勢で経営トップに直接、成長戦略を提案することが授業のゴールになっています。思いつき程度の提案は許されないので、戦略要素だけでなく財務、人的資源管理、そしてマーケティングまでの広範な知識をフル活用してプランを組み立てていく必要があります。自分は2年次で履修しているのですが、これまでに学んだ個別領域の内容を一つの提案シナリオとして編み上げていくプロセスは、まさに統合的な学びとしての醍醐味に溢れるものです。

この講座のもう一つの特徴は、各チームにケース企業の社員の方もメンバーとして参加されていることで、「外部者の視点」と「内部からの視点」を同時に持てるため、精度の高い企画の構築が進むように感じています。夏休み中のフィールドワークでは営業所の方に直接お話を聞く機会を得ることもできました。さらに、今回のケース企業の経営トップはCBSのOBで、まさにチェンジエージェントとして成長を牽引されてきた方です。そのような方に直接、新たな戦略を提案できる機会は実務の中でも稀有な機会だと思います。最終提案に向けて、チーム全員で日々、ケース企業の成長を真剣に議論しながら取り組んでいるところです。