商学部
Vol.1 守本 真帆 助教
―Profile―
守本 真帆
国際基督教大学教養学部 アーツ・サイエンス学科言語教育専攻 卒業後、University of California, Santa Cruzにて言語学の修士号と博士号を取得。

その後、他機関での研究員を経て、2024年4月より中央大学商学部に着任。
研究分野は言語学や音声学、音韻論で、本学商学部では英語の授業を担当。
出身地:東京都三鷹市
趣味:読書
好きな映画:東京ゴッドファーザーズ
好きな休日の過ごし方:高尾山に登る
尊敬する人:計画性を持ってものごとに取り組める人
小さい頃の夢:童話作家
―Interview―
ここからは、商学部生の平松さんとともに、インタビューをしていこうと思います。
平松さん:こんにちは!本日はよろしくお願いします。
守本先生:こんにちは!こちらこそ、短い間ですが、よろしくお願いします。
平松さん:それでは早速ですが、プロフィールについて気になるところをバシバシと質問させていただきます。
出身
平松さん:ご出身は東京だったのですね!
守本先生:そうですね。ただ、三鷹駅周辺は栄えているのですが、私は駅から少し離れた緑豊かな場所で育ちました。
趣味
平松さん:趣味についてですが、いつから読書が好きなのですか?
守本先生:幼いころから好きでした。働き始めてからは、読書の時間を確保するのが難しかったのですが、読み始めたら、「あっ、最近読書が足りてないな」と思い、最近はたくさん読書をするようにしています。
また、誰かにおすすめしてもらったらなるべく読むようにしています。積ん読が大変なことになっていますが(笑)
好きな映画
平松さん:好きな映画に『東京ゴッドファーザーズ』とありますが、どんな映画なのですか?
守本先生:『東京ゴッドファーザーズ』は、アクション/コメディ映画です。以前、日本語の授業で利用しようとしたところ、思いのほか面白かったので、今でも好きです(笑)平松さんは何か好きな映画はありますか?
平松さん:最近は、キングダムにはまっています。
守本先生:いいですね!私も興味はあるのですが、また観れていなくて・・・。キングダム、必ず観ます!(笑)
好きな休日の過ごし方
平松さん:高尾山に登るのがお好きなんですね!
守本先生:そうなんです。大人になってから、朝高尾山に登るのが好きです。朝8時ぐらいに登り始めれば、お昼前には下山できるので、帰りにケーキとコーヒーを口にしながら人間観察して、家に帰って昼寝をして、新書を1冊読むという休日が私の理想です。
平松さん:運動をしつつもゆっくりする一日、とても理想ですね!
小さい頃の夢
守本先生:童話作家になりたかったです。これは小学校の卒業文集でも書いてました(笑)
平松さん:それはやはり幼い頃から読書が好きだったからですか?
守本先生:そうですね、読書が好きというのは私のひとつのアイデンティティのようなものだったように思います。
平松さん:ありがとうございました!学生の私にとって大学教員は遠い存在でしたが、身近に感じることができました。これからはより詳しい話を伺っていきたいともいます。
守本先生の幼少期から学生時代について教えてください
幼少期

守本先生:マイペースで、本が大好きな小学生でした。苦手な科目は体育。学校の図書室に行きすぎて、先生から図書室禁止令が出ました。また、小3から小6まで親の仕事の都合でパリの現地校に通いました。フランス語を学べてよかったのはもちろんですが、日本の小学校で組体操や逆上がりをせずにすんだことが何より嬉しかったです(逆上がりは今もできません)。
平松さん:日本語が通じない環境に長い間いらっしゃったということですよね。
守本先生:そうですね、当時はもちろん英語もフランス語もしゃべれなかったので0からのスタートでした。
平松さん:学校生活で苦労はしましたか?
守本先生:そうですね。学校生活でも、そもそもアルファベットが書けなかったので、板書などには非常に苦労しました(笑)
平松さん:でも実際に住まれて、フランス語はしゃべれるようになったんですか?
守本先生:はい、普通の小学生としての生活はできるような語学力でした。
平松さん:今もしゃべれるんですか?
守本先生:今はフランス語に触れる機会がないため、読み書きや発音にはあまり問題はないですが、パッときいて聞いて話すなどはできません・・・。
中高生

守本先生:中学校(地元の中学校)では、吹奏楽部でホルンを吹いていました。高校には吹奏楽部がなく、ジャズ部かオーケストラ部の二択だったので、ホルンを吹き続けたい思いでオーケストラ部に入部。
中学校の印象深い出来事は、走るのが遅くても運動が得意な子と連携してパスをもらえば貢献できたので体育の種目の中で唯一楽しいと思えていたサッカーの授業で、なぜみんなと一緒になってボールを追いかけないのかと先生に怒られたこと。スポーツが「苦手」から「嫌い」になった瞬間でした。
この出来事は今も根に持っています(笑)この出来事から、教員の些細な一言で学生の考えが変わってしまうことを思うと、私も発言には十分に気を付けていきたいと思っています。
平松さん:まさに反面教師ですね(笑)
守本先生:そうですね。あとは高校では自分の勘違いでフランス語の授業が取れず意気消沈しましたが、英米文学との出会いがありました。
大学生

守本先生:自転車で通える距離に大学があったので、チャリ通をしてました(笑)フランス語と英語の接点に興味があり、言語教育を専攻して英語史を勉強したり英語の教職課程を取ったりしました。当時、教員に積極的になりたいと思っていたわけではなく、研究に没頭したいと思っていました。ただ、研究成果を世の中に還元していく必要性を考えると教員になることがキャリアの選択肢として挙がりました。この頃は学業のほかにファミレスでバイトをしたり、オーケストラサークルの活動をしたりして、あまり本は読んでいなかったかもしれません。大学では太極拳やウェイトトレーニングの授業があり、自分のペースで体を動かすことの楽しさを再発見した時期でもありました。
その後大学院で留学をする経験がありました。
平松さん:そこではよい出会いなどはあったんですか?
守本先生:はい。大学院の留学先でハウスメイトに「忙しい時ほど、つらい時ほど運動するべき」と言われ、心身の健康のためのジム通いを始めました。
平松さん:運動が苦手だったところから、運動を生活に取り入れるよいきっかけとなったんですね。
研究・専門分野について
なぜ研究者の道へ進まれたのですか。
守本先生:ざっくりいうと「自信のなさ」と「好奇心」だと思います。大学を卒業する時、すぐに英語教員になる自信がなく、大学院で言語のことをもっと勉強したり英語圏に留学したりしたいと思っていました。大学院では音韻論や音声学を学びましたが、知れば知るほど知りたいが増えて、研究活動を進めれば進めるほど好奇心が刺激されて、後戻りできなくなりました。また、その過程で、一緒に研究を続けていきたい人たちに出会えたということもあります。
守本先生が言語学や音声学に興味を持たれたきっかけを教えてください。

守本先生:きっかけは大きく分けて2つあります。
言語学や音声学・音韻論は人間が使う言語を研究対象とする学問ですが、もとはといえば私自身あまり人と話すのが得意でないということがやはり興味をもったきっかけかもしれません。他の人がどう言語を使ってコミュニケーションをとっているのか観察するのが好きでした。
また、フランス語を学んだ後に英語の勉強を始めたということも大きく影響していると思います。日本語・フランス語・英語の間で、何が似ていて何が異なっているのか、自然と言語間の比較・対照を楽しんでいました。
授業について
現在教えている授業について教えてください。

守本先生:今年度は、1年生と2年生の英語のレギュラーコースの授業を教えています。まだペースがつかめていないというのが正直なところですが、学生のみなさんが英語を使って自己表現をしたりクリエイティビティを発揮したり、英語というレンズをとおして自分や世の中をみつめなおしたりするきっかけを作れれば…と思っています。授業では、身近なことに着目して文字にしてもらったり、自分のアイデアを言葉にしてもらうような授業をしています。
平松さん:私自身も留学した際に、リスニングはできるけど、英語で返せないという戸惑いを感じたことがあります。私も先生の授業を受講して、考えを言葉にする力を身に着けてみたい!と思います。
守本先生:そうですね。そういう授業ができればという思いで日々邁進しております。
ちなみに…
後期の最初の宿題は社会問題を解決するためのドラえもんの道具を考えてくるというものでしたが、天才的なアイデアが続出していて脱帽しています。
大学で英語を学ぶ意味とはなんでしょうか。
守本先生:大学で学ぶ英語には、実際的で短期的な側面とより哲学的で長期的な側面の2つがあると思っています。
まず、今後みなさんが選ぶキャリアによっては英語をある程度使えることや英語能力テストのスコアが重要になってくることがあると思います。また、高度情報化社会において、日本語では報道されないニュースや公開されない情報にアクセスできることのメリットも明確です。
もうひとつの側面としては、英語に限らず、異なる言語を学ぶということはものごとをいつもとは違うレンズを通して見る練習、ものごとを多角的にみる練習になると思います。また、外国語を使ってコミュニケーションをするためには普段以上に想像力や推測する力、相手に寄り添う力が必要になります。どれも、豊かな人生を送るためには重要なものなのではないでしょうか。マジレスしてしまってごめんなさい(笑)
平松さん:私もゼミでこの話に通じる勉強をしています。共感します!
商学部教員である守本先生の考える「ビジネス」とは何ですか。
守本先生:正直にいうとこれまであまりビジネスというものをつきつめて考えたことがなく、なんとなく「利己的な営み」「お金儲け」というイメージを持っていました。でも、4月に着任してから商学部のみなさんと英語の授業で循環経済やユーザーシップなどについて学ぶなかで、ビジネスは実は「利己と利他のせめぎあい」で、利己と利他がうまく重なったときに合理的に世の中をいい方向に変えていく力を発揮するのかな…と思ったりしています。
商学部の学生のみなさんにも、ぜひ英語の授業をとおして英語でビジネスについて考えるきっかけを持ってもらえればと思っています。
平松さん:私も国際高校出身で昔から人並み以上に英語に触れてきました。
今後も定期的に英語を介してビジネスについて考える機会をつくりたいと思います。
最後に在学生の皆さんへメッセージをお願いします。
守本先生:音声を専門にしているというと、英語の発音がコンプレックスといわれたり、どうしたらネイティブのような発音になれますかと聞かれたりすることがあります。もちろん言いたいことがクリアに伝わる発音を身につけることは大切ですし、そのために音声学や音韻論の知識が役に立つということは間違いありません。でも、「ネイティブみたいな発音ができないと英語をしゃべっちゃいけない」というのは「運動神経がいい人しかスポーツを楽しんじゃいけない」というのと同じぐらい理不尽でもったいないことだと思います。拙くても、発音が未熟でも、異文化への扉を開くわくわくをもって英語でのコミュニケーションを楽しんでもらえたら嬉しいです。
平松さん:ありがとうございました!

