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西川 可穂子ゼミ 見学調査報告

調査日:2015年5月16日
参加学生数:1年生15名
調査先:江戸エコツアー (皇居・楠公レストハウス)

調査の目的

本演習では、食と食環境について学んでいる。今回の見学調査では、現在と江戸時代の食の違いを比較するとともに、江戸時代のゴミの出ない社会についてその実際を学んだ。

調査結果

江戸時代の料理は、旬のものを無駄なく使い、ゴミを出さない工夫をしていたが、実際にどのような調理でそれを実現していたかを伺った。江戸時代の循環型社会では、現在でいうところの3R(リユース、リサイクル、リデュース)が見事に社会全体で実行されていた事や現代のエコ・クッキングの基本についても知ることができた。また、安部料理長から現在使用されている珍しい食材の紹介と生産農家の状況、和食についての基本を伺った。更に、現在の食品業界の動向についてもご講義いただいた。特に印象深かったのは、1万円もするようなフレンチのコースでもアウトソーシング化が進み、厨房で料理をせずに調理済みの食品をはさみで切って提供する事が十分にできるとの指摘であった。味が安定しており、迅速に提供でき、何より経済的であるためにアウトソーシング化が著しい。しかし、このような状況は、調理や食材選びの技術が若い働き手へ伝承される機会を奪っている。また、厨房で調理する必要がないため、食品業界での働き手の技術向上が望めず、食品業界の質の劣化が懸念される。さらに、使用食材が加工品であるため、提供側も加工工程と含まれている材料すべてを知ることは難しく、食品の安全面からも問題があるとの事であった。

期待される教育効果

盛りだくさんの講義内容であったが、学生たちは真剣に耳を傾けていた。実際に江戸で食べられていた懐石を味わうことで、現在の自分の食について新たな視点を持てたようである。安全で美味しい食事をするためには、消費者の選択と努力が不可欠である。本物を無駄なく頂くという姿勢で食品を選ぶことが、本当に豊かな食と食品業界を育てることにつながることを肌で感じたようである。

ひとつひとつ異なる調理法と無駄を省く工夫などについて、いただきながらお話を伺いました。