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木立 真直ゼミ 見学調査報告書

テーマ   : 東日本大震災における宮城ワインの復興
ゼミ名   : 木立 真直ゼミ
調査先   : 株式会社 仙台秋保醸造所(宮城県仙台市)
調査日   : 2018年8月7日(火)
参加学生数 : 3年17名 4年16名 院生2名
対応者   : 株式会社仙台秋保醸造所 代表取締役 毛利親房様

調査の趣旨(目的)

東日本大震災の復興を支援する企業の1つとして、復興支援の為に、どのような活動を行うか。また、宮城県だけでなく、東北をどのように元気にしていくか学び、地域に対する思いの大切さを学ぶ。

調査結果

仙台秋保醸造所代表取締役毛利様から①宮城ワインの復興②テロワージュ仙台について詳しくお話を伺うことができた。

仙台秋保醸造所はもともと、東日本大震災復興案のひとつである。震災前は宮城県にワイナリーは1社あったが、震災によって宮城唯一のワイナリーもなくなってしまった。毛利様は、宮城ワインの消滅を阻止するため、ワインと食との結びつきからワイン産業への可能性を見出し、ワイン事業による復興に挑戦した。毛利様はもともと設計の仕事に携わっており、ワインの醸造は1からのスタートであるにもかかわらず、宮城とワインについて調査・分析を進め、仙台秋保醸造所が設立された。

また、産官学連携という言葉を聞けたこともとても印象的であった。政府の復興交付金や大学の協力そしてワイナリーで働く人間が一致団結することで相乗効果を生むことを意味しており、地域復興に力を入れていると感じた。仙台秋保醸造所を中心に宮城を震災から復興させる志にゼミ生一同感銘を受けた。

どのようにしたら東北にもっと多くの外国人観光客を誘致できるのか調査をした結果を受けて「テロワージュ東北」という活動を通じて、東北の人・食・風景・文化を多くの人に伝えるとのお話が印象的であった。毛利様は、宮城県のみならず、東北6県の復興支援プロジェクトである「テロワージュ東北」の中心に立っている。

「テロワージュ」とはテロワール(気候風土と人の営み)、マリアージュ(食とお酒のマッチング)を組み合わせた言葉であり、その地域の風土や生産者の背景を知ってもらったうえで「食」を楽しむというイベントである。つまり、観光客に産地に直接来てもらって「食」を楽しんでもらうツーリズム産業のことである。

東北6県は、震災後、風評被害を受けていることもあり、東北のインバウンド市場は国内比率にするとわずか1%であり、東北の魅力を伝えきれていないのが現状である。このような現状を打破するため、「テロワージュ」を用いた地域復興を目標に、様々な地域産業の方と連携し、インバウンド市場の拡大を図っている。

テロワージュというコンセプトの下で国内外の観光客に「食」×「酒」の組み合わせで、生産者の想いや背景を伝える食体験を実施しているところにコト消費やエモ消費に近いものがあり、社会における多くの場面で重要視されていることであると再認識した

宮城県の食・人・風景・文化の様々な業種と連携し、ご自身が立ち上げている事業のために働くのではなく、宮城県全体で盛り上げていこうと他社と協力しながら働かれている毛利様の姿は地域の魅力を知っていなければできないことだと感じた。

(文責:青木美菜、斎藤智宏、渡辺文香、石黒彩、木下剣一、常盤真菜、山口柊平)