学部・大学院・専門職大学院

山本 慎悟ゼミ 見学調査報告書

テーマ       :「東京港」をテーマとする自由研究/超ハイテク大型総合物流センターの実態
ゼミ名       : 山本慎悟ゼミ
調査先名称     : 東京港/ヤマト運輸羽田クロノゲート
調査日       : 2018年7月13日
授業科目名     : ベーシック演習Ⅰ・専門演習Ⅰ・Ⅲ
参加学生数(学年別): 15人(1年)、3人(3年)、4人(4年)

調査の趣旨(目的)

東京港:各自で事前に行っていた「東京港」をキーワードとする自由研究に東京港視察を通して知り得た内容を付け加えて最終報告書を作成する。
ヤマト運輸羽田クロノゲート:ヤマトグループが運営し、スピード・付加価値機能等を提供する日本最大級の大型総合物流センター「羽田クロノゲート」の実態を探る。

調査結果

東京港: 東京港視察に先立ち、各自で「東京港」をキーワードとして自由にテーマを設定し、当該テーマに基づく事前調査を行った。主として東京港の成り立ちや我々の暮らしにおけるその役割、また貨物取扱量や国際競争力等、国際貿易港としての東京港にスポットを当てた。その後、東京都港湾局が運行する視察船「新東京丸」に乗船し、東京港の視察を行った。東京港は首都圏最大の国際貿易港として我々の生活や産業を支える重要な物流拠点となっている。周辺にはコンテナ貨物や、自動車、木材等を取り扱う専用の埠頭が数多く設けられていると共に多くの船舶が航行・停泊しており、まさに貿易取引の玄関口として機能し、我が国の経済を支えていることを体感できた。本視察を通じて得られた情報や感想を基に各々中間報告書を加筆修正し、最終報告書としてまとめた。
ヤマト運輸羽田クロノゲート: 現代の物流技術は私たちの想像以上だった。物流センターは羽田クロノゲート内物流棟の1階から2階にあった。物流棟は7階建てで、3階から7階は付加価値機能エリアである。宅急便荷搬エリアの2階を通る見学者用通路から見えたものはスキャナーを抜けた荷物が、セルと呼ばれる長方形の黒い板が連なったベルトコンベアに乗って流れ、仕分けされていく様子であった。車で集められた荷物は人間によってベルトコンベアまで運ばれるが、それ以降の作業は機械が行うようだ。ベルトコンベアで運ばれる荷物の届け先はバーコードがスキャンされて識別されるが、スキャナーは下の面以外であればどこの面に貼ってあってもバーコードを読み込むことができる。25台あるスキャナーを通り抜けた荷物はあらかじめ予約されたセルに向けて運ばれ、1つの「クロスベルトソーター」と呼ばれるベルトコンベアに合流する。クロスベルトシューターは全長1,070m、セル数1,336枚あり、時速9.7㎞で動いているため、最大で1時間に48,000個の荷物が分類処理される。合流した荷物は「シューター」という滑り台上のレーンを通って行き先別に分けられ、トラックによって全国各地へと輸送される。クロノゲートは毎日年中無休で運営されており、集中管理室での監視のもとエラーがない限り、人間が動くことはない。
物流棟の3階以上にある付加価値機能エリアでは、家電等メーカー製品の修理や医療機器の貸出から洗浄・修理、企業へ納品するパソコンの初期・個別設定、家電のレンタル、FRAPSと呼ばれる、様々な部品の中からバーコードの情報に基づいて必要な部品を必要個数詰める仕組み、通関手続などを行い、それらを終えた荷物を「スパイラルコンベア」に乗せて2階に運び、配送すべく仕分けを行う。こうしたサービスは、配送と修理、洗浄や通関手続等を物流センターで行うことで、集配された荷物を他業者へ配送する手間と時間を省くことができたり、複数の業者から取り寄せた部品がまとめて顧客に配送されるなどのメリットをもたらす。
物流センターを見学したのは今回が初めてであったため、様々な驚きや発見があった。ほとんどの作業が機械によって行われており、それを集中管理室で人間が監視してるとはいえ、そこにいる人数も3人以下と少数だ。何より、24時間止まることなく動き続けるというのだから、できるだけ早い配送を希望する顧客としては有難い話である。とても精密で正確な作業が出来る機械であるのだから、今後は機械がさらに活躍するようになるだろう。このように活躍する機械や発展していく技術によって、今後どのような物流上の変化がもたらされるのか注視したい。