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木立 真直ゼミ 見学調査報告書

テーマ  :80年余の歴史を刻む築地市場の現在
調査日  :2018年4月9日(月)
参加学生数:3年生19名、院生1名
調査先  :東京都中央卸売市場 築地市場(東京都中央区)
ご対応者 :東京都中央卸売市場管理部市場政策課 菅井淑章様 高橋蘭花様 加納陽菜様

調査の趣旨:

 日本最大規模の中央卸売市場である築地市場の流通機能の現状を知り、卸売市場のこれからについて考える。

調査結果:

 中央卸売市場は、生鮮食料品等の集荷・分荷、公正な価格の形成、確実な取引の決済、流通経費の削減、情報の提供、衛生の保持等の機能を担い、開設者・卸売業者・仲卸業者・売買参加者・関連事業者といった市場で働く方々から成り立っている。今回の訪問にあたり、東京都が作成された資料をいただいた。訪問後に、通読させていただき、分かりやすい図解説や概要により、さらに理解を深めることができた。

 かねてよりメディアで大きく取り上げられている老朽化問題は非常に顕著であった。築地市場が開設されたのは1935年であり、今もなおその当時の施設が使われているためである。駐車場屋上からの景色は、当時の列車での搬入の名残で扇状に施設が並んでいるのが印象的であった。また施設の老朽化はもとより、衛生面でも問題があると感じた。施設内は魚の保存や梱包に使われていたと思われる発泡スチロールの箱が溢れていた。しかし、実際には、利用された発泡スチロールは集積所に集められ、処理されているため、問題にはなっていないとのことである。

 さらに実際に現場に足を運んで分かったことは、外国人観光客の多さである。2015年度の東京都受付見学者数は合計35,261人に対し、外国人が23,024人(約65%)と、データにも表れている。しかし築地市場の施設等は本来卸売市場としての機能を前提にしており、現在のような観光客の増加に対応しきれていない部分があるように感じた。今後、移転が予定されている豊洲市場では千客万来施設事業を展開し、市場本体と連携し、集客を目指すとしている。

 質問の時間には、海外の輸出戦略についての考え方を伺うことができた。約3年前に水産業界で国際化に力を入れようとする動きがあったようだが、現在は豊洲市場への移転対応に追われており、移転がひと段落つけば、海外を視野に入れた取組の検討を開始するであろうとの話であった。

 短い時間ではあったが、普段見ることのできない内部を見学することができ、施設や機器の仕組みについて知ることができた。世の中で市場の移転問題の話が盛り上がるなかでの訪問であったため、その点も意識しながらニュースや新聞の記事との違いや実際の問題点などを見聞きすることができ、貴重な体験をさせていただいた訪問であった。

 東京都の菅井様、ほか2名のアテンドの方には、お忙しい中、お時間割いて対応して頂き誠にありがとうございました。

(文責:廣拓磨、杉本優佳、赤野雅章、山下舞子)