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斎藤正武ゼミ 海外実態調査報告

テーマ   : 演習Ⅲ・Ⅳ
ゼミ名   : 斎藤 正武 ゼミ
調査先   : インド ラクナウ サンジャイ・ガンジー・ポスト・グラデュエイト・インスティテュート(SGPGI)
        インド ラーイ・バレーリー県立病院
        インド バチャラワン第一次診療所
調査期間  : 2018年11月28日~12月3日
授業科目名 : 演習Ⅲ・Ⅳ
参加学生数 : 4年生2名

調査の趣旨

今回調査先として,3つの医療機関を訪問している.インド国内の医療研究の主力を担うSGPGIへの滞在および調査を中心として,実際にSGPGIの医師たちとDtoD,DtoPによる遠隔医療の連携をしている医療施設に訪問した.ヒアリング調査をおこなって得た情報を参考として,今後の展望,課題などの仮説検証をおこなう.

調査結果

SGPGIのDEANであるDr. S. K. Mishra氏に,遠隔医療についての現状や,SGPGIについての簡単な説明を受けた.その後直属のスタッフによって,SGPGIの施設案内をしてもらうこととなった.その中から,我々の研究に役立つと思われる情報を抜粋する.

① 移動型診療車両

移動型診療車両

SGPGIの所有している移動型診療車両は,主に農村部に住んでいる患者を対象として,1日に約150~200人を診察している.車両の中には身長,体重,胸部X線,レントゲン,血圧,血糖値等の基本的な情報が計測できるようになっている.計測したデータは車両の屋根に設置されているアンテナを使用し,衛星によりSGPGIにリアルタイムで転送される

②病院施設

病院施設

様々な診療科があるためとても広い.病院中に管が張り巡らされており,その中には患者から採取した血液が送られている.病棟は男女別である.救急科には4人の医師がおり,患者は容体ごとに赤,黄,緑と色分けされている.現在は女性の医師は少ないが,SGPGIの学生の中に女性が何人かいたため今後増えることを期待する.

③サーバールーム

SGPGIは施設内に病院としての機能に加えて,教育機関としての機能,ITや医療の発展のための研究施設としての機能が備わっている.SGPGIの研究施設はインド政府が主体となって設立した機関であるため,インド国内全域の遠隔医療,IT機能における主要施設としての役割を担っている.そのため施設内では国家規模の情報の取り扱いや,データの管理などがおこなわれており,その中の一例として大型のサーバールームが挙げられる.

④遠隔通信の設備

SGPGIの内部には,医師から医学生や研修生に向けて教育用の動画や放送を撮影する際に使用するスタジオが設置されている.内容としては,CME(Country Medical Education )のフランス語の授業を英語で発信するものなどが挙げられる.

⑤遠隔会議

遠隔会議

毎朝8時~9時,SGPGIの医師は他の病院や医療施設と遠隔会議を行っている.画面には複数の病院や診察所がまとめて表示されており,全員がリアルタイムで意見交換を行うことが出来る.この会議には毎回,会議を進行する医師に加えて数人の医師や学生が参加しており,患者の症例や治療法について話し合う.様々な専門性を持つ医師が話し合うことで,医師の質や専門性で弱小となる地方部の診療所でも,より正確な治療法を患者に提示することが出来るようになる.