学部・大学院・専門職大学院

木立 真直ゼミナール

■Treasury Wine Estates


訪問日時  : 2017年9月6日15:45〜17:45
訪問先   : Treasury Wine Estates (TWE)
ご対応者  : Ms.Kristy Keyte(Global Business Director Marketing)
        Ms.Rhea Guharoy(Global Brand Manager Wolf Blass)
        Mr. Sam Tomson(Senior Brand Manager Penfolds)
テーマ   : TWEの理念や経営方針、Wolf Blass、Penfoldsのブランド戦略
参加学生数 : 中央大学木立ゼミナール3年生18名
ゲスト・東京大学矢坂ゼミナール4年生1名 計19名

調査趣旨(目的)

 TWEのブランドマーケティング戦略について、今後の戦略について学ぶ

調査結果

 まず、Keyte様から歓迎の挨拶の後、TWEの事業概要・ブランドポートフォリオの管理方法に関して説明をしていただいた。TWEではもともと多くのブランドを展開していたが、海外への進出が難しかったため、15のブランドに焦点を当てて海外事業を行うことにしたという背景があった。

 次に、Guharoy様やTomson様からウルフ・ブラスとペンフォールズの両ブランドの概要と戦略に関してのお話を伺った。

 ウルフ・ブラスは若年層をターゲットとした中低価格帯のワインであり、来年からは日本をはじめ、世界規模で進出を予定しているそうだ。スポーツと絡めて宣伝を行うことで、世界規模で認知度を高める戦略をとっている。オーストラリアではフットボールが有名なので、パッケージデザインに有名なフットボール選手を入れたり、彼らにインタビューした動画を配信するなどし、さらにブランド力の強化に力を入れているとのことであった。

 ペンフォールズは高価格帯のワインであり、熟年層がターゲットとなっている。ペンフォールズが目指すのは、ワインが好きな人に高級ワインとして認知されることではなく、世界の高級品としてティファニーやコーチなどと並んでペンフォールズが挙がってくるようなブランドにすることである。ペンフォールズの大きな特徴のひとつに、多くのブドウから厳選した最高級のブドウをブレンドし使用していることが挙げられた。

 毎年、自社のブランド力診断というものを実施しているとのことであるが、日本の認知度は6%とオーストラリアと比較すると、かなり少ない値であった。前年より上昇はしているが、認知度は相変わらず低いのが現状である。そのため、ペンフォールズは主に熟年層をターゲットとしているが、全体的な認知度を上げる必要から、若年層への認知を狙い、TwitterなどのSNSを使用しているそうだ。

 最後の質疑応答の際に、日豪間のビジネスチャンスの相違点・共通点について質問したところ、全世界共通で広告や販売促進などが行われているとのご回答をいただくことができた。具体的にはスポーツのスポンサーになることはプロモーションに繋がるため、力を入れていると仰っており、日本でも日本野球機構の2016年度公式ワインサプライヤーとして提携を結んでいるという。スポンサーとして日本プロ野球の試合開催地やNBAの最大イベントであるオールスターゲームなどで、同社が生産するウルフ・ブラスの試飲会やプロモーションなどを行っているとのことであった。

 次に、スクリューキャップがなぜ採用されているのかという質問をしたところ、スクリューキャップは主にオーストラリア・ニュージーランドで普及しているが、中国やイギリスではコルク栓のワインを開ける=美という認識が強いことから、コルク栓が支持されていると教えて頂いた。スクリューキャップのメリットとして、ブショネを防ぐことが可能、ワインの開封が容易となることが挙げられ、TWEでは顧客の層とコスト面からスクリューキャップを採用しているそうだ。

 またeコマースについての質問では、低価格ブランドでは利用する可能性を示唆しており、ワインのブランドによって使い分けるとのことだった。

 今回の企業訪問では1つ1つのブランドをどのように市場に浸透し、確立させていくかについて、また特定のターゲットとなる消費者にどのようなプロモーションを行っているのかについて学ぶことができた。仕事に対しての熱意が高く、1人でも多くの人々にワインの魅力を伝えることを目的としているTWEの方々から貴重なお話をお伺いできたことを心から感謝し、今回得た知識を今後の研究に生かしたい。

(文責:渡邊文香)