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木立 真直ゼミナール

■日通オーストラリア


訪問日時  : 2017年9月4日 14:00~16:00
訪問先   : NIPPON EXPRESS (AUSTRALIA) PTY. LTD. (Melbourne Logistics Centre)

ご対応者  : 森山秀隆様(日通メルボルン支店長)山田友之様(メルボルン支店課長)
葛岡沙弥様(メルボルン支店係長)Mario Spagnolo様(Operations & Sales Manager)

テーマ   : 日通オーストラリアの物流事業について学ぶ
参加学生数 : 中央大学木立ゼミナール3年生18名

調査の趣旨

人件費、物価が高いなど、オーストラリアは企業として厳しい環境の中、日系物流企業はどのような事業を行っているのかを調査する。

調査結果

 当日は山田友之様、葛岡沙弥様、Mario Spagnolo様にご対応していただいた。倉庫内は、入庫、商品の中身の点検、棚付け、パレタイズ、出庫、配送の作業行程がスムーズになるよう配置が工夫されている。まず、Fast-movingかslow-movingなのかで商品を置く場所が異なる。Fast-movingは食品や賞味期限が近いものなど出庫する頻度が高いもので、slow-movingは年に1度程度の出庫頻度が低いもののことである。そのため、fast-movingのものは出庫場所から近い場所に、逆にslow-movingは遠い場所に置かれている。また棚付けの特徴として、棚の上段にはダンボールのままの大きな商品を置き、1番下の段には、少量の商品を置き、すぐに商品を取り出せるようにしている。別の棚では、下段に重量が重いジュース類が置いてあるなど、効率性や重さに応じて棚づくりに工夫が施されていた。

 日通ではダイソーとMUJIの商品を取り扱っており、2社の商品の取り扱い方の違いについてご説明いただいた。ダイソーの商品については箱に詰められるだけ詰めて積載率を高めるのに対し、MUJIは1つずつ箱を開いてサイズを揃えるなど仕分けが必要になる。また、オーストラリアの倉庫ならではの特徴として、地震がないため商品を高く積み上げることができるが、輸入品の検疫がとても厳しく、例としてマヨネーズ、ピーナッツ、つまようじ、箸が検疫の対象となり、検疫には10日間かかるということも教えていただいた。

 倉庫見学後、オーストラリアの雇用、物流事情についてご説明をいただいた。雇用に関しては、企業別の労働組合が強く、人件費が高いという特徴がある。企業側は、高い人件費に加え、力の強い労働組合からコストアップの要求もあり、特に製造業がオーストラリアで事業を続けるのは非常に困難であると伺った。例として、トヨタ、GM、フォードなど大手自動車会社が次々と撤退を決めている。この製造業にとって厳しい状況の中、物流事業が生き残れるのは、モノを運ぶ行為はどんな時代も変わらないからである、というお話が非常に興味深かった。

 日通オーストラリアは、人件費、物流コスト、固定費をいかに下げるかを常に考えており、近年ではトラック輸送を鉄道輸送に切り替えた結果、約3~4割の物流コストを削減した。CSRの取り組みとしては、ダンボールの使用を抑える、電気の自動オフ化を行い節電している。経営理念は、日本人、外国人ともに採用し、外国人雇用者に対しては、企業コンセプトを理解してもらうよう訓練を行っており、顧客に対しては、利益だけでなく、信頼関係も大切にしている。

 質疑応答であった今後ダイソー、MUJIの店舗が増えた場合の対応として、シドニーに倉庫を建てて、倉庫の2拠点化が現在の計画である、とのご回答をいただいた。

 最後に物流について詳しくないゼミ生に対して、用語から事業内容までご丁寧に教えて頂き、大変勉強になりました。改めて訪問をご了承いただき、心からお礼申し上げます。

(文責:楠本奈緒)