商学部木立ゼミナール国外実態調査報告書

■はくばくオーストラリア
 

訪問日時  : 2017年9月4日 9:30~11:00
訪問先   : Hakubaku Australia Pty.Ltd
ご対応者  : 中村龍児様(Managing Director/CEO)、浅井 明様
テーマ   : はくばくオーストラリアの小売販売戦略
参加学生数 : 中央大学木立ゼミナール3年生18名

調査の趣旨

乾麺の工場見学とオーストラリアでのマーケティングの手法について学ぶ

調査結果

 はくばくオーストラリア訪問では、工場見学をさせていただき、中村社長からプレゼンをしていただいた。

 工場見学では、間近で製粉から麺が出来上がるまでの一連の流れを説明していただいた。

 オーストラリアでは、乾麺工場ではどこも採用していない高温乾燥式を自社で設計して採用している。これは、通常の乾燥法では乾燥工程の管理が困難であり、熟練工を有さないオーストラリアの環境に合わせ、限りなく自動的に、すなわち乾燥工程での調整を必要としない高温乾燥式を採用しているというご説明をいただいた。また、ゼミ生からの、高温乾燥式を採用していることで味や食感が大きく変化するのではないかという質問に対しては一般に炒め物に利用するため日本のクオリティを求めないというご説明をいただいた。

 工場の中の事務所でご説明をいただいていた際に、「無駄 むだ ムダ MUDA=WASTE」という掲示があった。それを見て、「無駄」という日本特有な考え方を工場内で共有し、資源の無駄使いを無くすといった取り組みを行っているのだと感じた。

 中村社長のプレゼンでは、はくばくオーストラリアでは日本とは違った方法で、オーストラリアに適したマーケティングや、生産方法を行なっているという事を学んだ。

 中村社長が仰っていた「あくまでも和麺を広めることが目的なのであって、日本食を広めることが目的ではない。」というお言葉にはとても衝撃を受けた。目指す理想像ははくばくの麺を「これこそが本格的なホンモノの麺である」と認識させることであり、その過程としてコクモツを英語にできない日本語として認知されるほどに広める、という目標を掲げている。はくばくのロゴの下部には、kokumotsu companyという文字が記載されている。これは、日本のはくばくにも使用されているが、これは、mangaやninjaなど英語で訳すことのできない日本語がそのまま英語になったような単語にkokumotsuが仲間入りをし、海外に日本の穀物がどういったものなのかを浸透させていきたいという気持ちからできたものだということを伺った。ゼミ生一同で事前に行った議論では、穀物とは日本食で多くの料理に使用される食物であり、穀物をより広めるためには近年世界から注目されている日本食とともに広めることが最も良い方法であるという意見が出ていた。しかし、中村社長のお話で、そうではなく、現地の食べ方を提案することで和麺を身近に感じさせ、和麺自体の普及に努めているのだとわかり、はくばくオーストラリアが和麵という存在をいかに世界へと広めようとしている企業なのか知ることができた。

 また、ゼミ生が「オーストラリアにおいては、日本的な食べ方ではなく、マーケットに根付いた調理方法を提案することで、利益につながっていると存じていますが、うどんやそばがある程度認知されている東南アジアにおいては、日本的な食べ方で提案する戦略は有効ですか。」と質問したところ、中村社長からは、「東南アジアでは、スープヌードルといった商品が売られており、それに即した調理方法は受け入れられる可能性があるが、冷たい麺を食べるという習慣はない。つまり、一部の日本的な調理方法は有効かもしれない。」とのご回答をいただけた。

 オーストラリアでは、ほとんどすべてのスーパーではくばく製品の取り扱いがあり、消費者もはくばくを認知しているため雑誌やレシピサイトへの広告(above line・・・テレビ・新聞・ラジオ・雑誌のマスメディア4媒体を使ったプロモーション。)を見ての購買活動が期待できる。しかしアメリカやヨーロッパではそこまで認知度が高くないため、広告よりも値引きや売り場面積を大きく占める(below line・・・イベント、ダイレクトメール、店頭POPなどを介したプロモーション。)ことの方が費用対効果が高いということを伺った。これは、多数の国に進出しているはくばくに訪問したからこそ伺うことのできたお話であり、大変興味深いと感じた。

 以上の内容から、企業理念は存在するが、メーカーの1番の目的は自社製品をいかに消費者に手に取ってもらうかであることを再確認させられた。マーケティングのプロである中村社長から、貴重なお話を伺えたことは今後のゼミ活動に大きなプラスの効果をもたらすと強く感じた。改めて訪問を了承していただき、深く御礼申し上げます。

(文責:後藤創吉)